建設業を営む皆様、毎年訪れるこの決算変更届の提出に不安や疑問を抱えていませんか?
決算変更届の提出は、建設業許可を維持するために法律で義務付けられている重要な手続きです。建設業法上の義務として、その重要性と正確な手続きを理解することが肝要です。
今回は、決算変更届の提出期限、必要書類、そして提出と同時に行うべき重要な届出について解説します。

決算変更届とは?その目的と提出期限

決算変更届の目的としては、経営状況の継続的な把握が挙げられます。正式名称は建設業法施行規則第22条の規定による変更届といい、建設業許可を受けた業者が、毎事業年度終了後、その経営状況や工事の施工実績などの変化を許可行政庁(国土交通大臣または都道府県知事)に報告するための書類です。
建設業の許可は、業者の財産的基礎や技術力が適格であることを前提に与えられています。許可行政庁は、この届出により、許可業者が引き続きこれらの許可要件を満たしているか、また適正に建設工事を請け負っているかを継続的にチェックしているのです。
また、建設業法では、この届出の提出期限を毎事業年度終了の日から4ヶ月以内と定められています。例えば、3月決算の会社であれば、7月末日が期限となります。
この期限は法律上の義務であり、遅延すると建設業法違反として指導の対象となる可能性があります。また、経営事項審査(経審)を受ける際や、許可の更新・業種追加の申請をする際には、過去全ての事業年度の決算変更届が提出済みであることが必須条件となります。

決算変更届の提出に必要な書類

提出先の許可行政庁によって、若干の様式や必要部数が異なる場合がありますが、一般的に求められる主要な書類は以下のとおりです。

書類名内容建設業法施行規則様式番号
変更届出書届出の基本情報、商号・名称、主たる営業所の所在地などを記載する表紙様式第二十二号の二
工事施工金額建設業許可を受けた業種ごとの工事の完成高(売上高)を記載様式第三号
貸借対照表決算期末時点の会社の財務状態を示す書類(ア、イ、ウの合計額なども記載)様式第十五号
損益計算書決算期における会社の経営成績を示す書類(完成工事高、売上原価などを記載)様式第十六号
株主資本等変動計算書資本金、資本剰余金、利益剰余金などの増減を示す書類様式第十七号
事業報告書会社の事業概況、業績、重要な決定事項などが記載された書類(任意様式)任意様式
確定申告書の写し法人事業概況説明書を含む確定申告書一式の控え任意様式

決算変更届による重要事項

税務署に提出した確定申告書の数字と、決算変更届に添付する財務諸表の数字は、必ず一致していなければなりません。
特に完成工事高や完成工事原価の計上方法について、建設業会計の原則に従って正確に作成されているか確認が必要です。

決算変更届と同時に行うべき事業年度終了報告

決算変更届の提出と同時に、事業年度終了報告として、以下の重要な届出も併せて行う必要があります。これらは、事業年度内に生じた変更を報告するためのものです。

役員等の一覧表(役員・株主の変更)

前事業年度の終了日時点で、役員(取締役、監査役、執行役など)や一定以上の株主に変更があった場合は、その情報を許可行政庁に届け出る必要があります。

役員の就任、退任、氏名変更

役員の欠格要件(過去の法令違反など)に該当しないかを確認するため、許可行政庁へ報告が求められます。

一定の株主、出資者の変更

法人役員と並んで、会社の経営に大きな影響を与える株主の情報も、許可要件の適格性を判断する材料となります。

定款、履歴事項全部証明書等の変更

定款に記載された事業目的や商号(社名)、資本金の額などに変更があった場合は、変更後の定款の写しや履歴事項全部証明書(商業登記簿謄本)を添付し、その旨を届け出ます。

令3条に規定する使用人の変更

令3条に規定する使用人とは、支店長や営業所長など、契約締結権限を与えられた建設業の営業所の代表者のことを指します。
この営業所長の交代や新設、廃止があった場合は、必ず決算変更届と同時に報告しなければなりません。
営業所長も、許可要件である専任技術者や経営業務の管理責任者(役員)と同様に、欠格要件の有無が審査されます。

まとめ

決算変更届の提出は、確認申告書との数字の整合性や建設業会計原則に基づく正確な財務諸表の作成が必要です。また同時提出が義務付けられているその他の変更届出の確認が必要です。万が一、遅延があった場合、許可行政庁への説明を求められるなど、専門的な知識と細やかな作業が求められます。
決算変更届に関するお悩みや、その他の許可申請についてご不明な点があれば、当事務所へお気軽にご相談ください。
グラス湘南行政書士事務所