これから公共工事への参入を目指す事業者様にとって、経営事項審査(経審)は避けては通れない重要な手続きです。経審の結果は、公共工事の入札参加資格を決める格付けに直結するため、非常に気になる事項だと思われます。
近年、この経審に関して重要な変更点がありました。それは、原則として申請者の都合による二度目の受け直し(経審)が廃止されたことです。
今回は、この経審の受け直し廃止がどのようなケースを指すのか、また事業者が取るべき対応策について解説します。

申請者の責に帰する事由による受け直しは認められない?

今回の制度変更は、申請者側のミスや準備不足によって一度目の審査で満足のいく結果が得られなかったとしても、それを理由とする二度目の受け直し(経審)は認められないという点です。
具体的には、以下のようなケースが、申請者の責に帰する事由と見なされ、受け直しが不可となります。

新設・変更申請書の記入漏れ(記入ミス)

経営状況分析結果通知書、あるいは申請書の数字や内容に、記入ミスや計算ミスがあった場合。

申請時の確認資料不足による内容否認

技術職員名簿の確認資料(資格証、雇用保険加入証明等)が不足していたため、技術者として認められなかった。または、完成工事高や自己資本額の確認資料(決算報告書、勘定科目内訳等)が不十分で、審査機関に内容を否認されてしまった場合。

審査日当日の準備不足

審査日当日に審査担当官から求められた追加資料を提示できず、結果として低い評価となってしまった場合。
これらの場合、審査機関は提出された資料に基づいて適正に審査を実施しており、その結果を申請者の自己責任として確定させます。一度審査が終了し、結果通知書が交付されたら、「もっと良い点数を取りたい」という理由での受け直しは、原則としてできないということになります。

行政機関のミスによる再審査の申し立て制度とは?

では、一度結果通知書を受け取ったら、もう打つ手はないのでしょうか?
実は唯一、結果通知書の内容が、申請の内容と異なる場合(審査機関側のミスがあった場合)に限り、事業者は不服を申し立てる手段があります。これが再審査の申し立てです。

再審査の申し立てが認められるケース

再審査の申し立てが可能なのは、あくまで診査機関側の過誤が原因である場合に限られます。

審査機関の採点ミス

提出した完成工事高の数字が正しく反映されていない。

計算の誤り

審査機関が評点計算を行う際に、法令に基づかない誤った計算を行った。

確認漏れ

提出資料に記載されているにもかかわらず、審査機関がその項目を見落とした。

再審査の申立て期限は厳守

この再審査の申立ては、結果通知書を受領してから30日以内に行う必要があります。この期限を過ぎてしまうと、審査機関側のミスであっても受け付けてもられなくなる可能性が高いため、通知書を受け取ったらすぐに内容を精査することが重要となります。

業種追加による審査は従来のまま可能?

受け直し廃止は、同一業種に対する同一の審査期間内での再申請を指します。
これに対し、建設業許可の業種追加を行い、その追加した業種について経審を受ける場合は、従来通り可能です。

例えば、
①土木一式工事で経審を受けた
②その結果に不満があるが、受け直しはできない。
③数か月後に、新たに舗装工事の許可を取得した。
④この舗装工事について、あらためて経審の申請を行うことができる。

これは、審査対象となる業種が異なるため、新規の申請と見なされるためです。公共工事の受注を急ぐ場合は、この業種追加による経審の機会を活用することも一つです。

まとめ

原則廃止

申請者の責に帰する事由による経審の受け直しは原則廃止。

再審査の申立て

審査機関のミスによる結果内容の相違がある場合のみ、通知書受領後30日以内に再審査の申立てが可能。

業種追加

建設業許可の業種追加による経審は、従来通り可能。

今回の経審の受け直し廃止は、申請前の準備と正確な申請の重要性を求められる制度といえます。
一度の審査で経るには以下のサポートが欠かせません。

①事前シミュレーションの実施

決算書や技術者名簿に基づき、詳細な評点シミュレーションを実施し、改善点を指摘します。

②申請書作成の完全サポート

記載ミスや記入漏れがないよう、申請書の内容をチェックします。

③添付資料の準備

審査で否認されないよう、確認資料の漏れや不備がないことを確認します。
当事務所では最高の評点を獲得できるよう、サポート致します。お気軽にご相談ください。
グラス湘南行政書士事務所