建設業許可申請において、営業所の存在を証明するための写真撮影は、重要な手続きといえます。しかし、「どのような写真をどこまで撮れば良いのか?」といった疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか?
今回は、許可が下りるための、営業所写真の具体的な撮影方法と、注意するべきポイントを解説します。
なぜ営業所の写真が必要なの?
建設業許可要件の一つに、適正な事務所(営業所)を有していることがあります。これは、申請者が事業を継続的に行うための拠点を持っていることを証明しなければなりません。
賃貸借契約書や登記簿謄本を提出するだけでは、実際にその場所で事業が行われているかを確認することができません。そのため、写真で事業活動の拠点として実態があることを客観的に示す必要があるのです。
許可行政庁の審査では、提出された写真から、以下の点をチェックしています。
事業所の独立性・実用性
居住スペースと明確に区別されているか、事業を行うための設備が整っているか。
所在地との一致
申請書に記載された住所・建物と、写真の場所が一致しているか。
看板・標識の設置
申請者の商号(屋号)が外部に明示されているか。
これらの要件を満たさない写真では、追加資料の提出や再撮影を求められ、許可取得が遅れる原因となります。
撮影するべき写真の内容と具体的な方法は?
営業所の証明写真として、行政庁が主に求めるのは、以下の4つの区分です。
①建物の外観写真
これは、申請する営業所が申請地の住所に実在することを証明する写真です。
撮影ポイント
建物全体を収める
建物全体(マンション・ビルの場合は、その棟全体)が写るように引いて撮影します。
住所の特定が分かるものを写し込む
可能な限り、建物名、番地プレート、又は周辺の目印となるものが、写り込むように工夫します。
申請地であることを示す標識(看板)を撮影する
外部に掲示された商号・屋号の入った看板が写り込んでいると、所在地と事業実態の証明ができます。
②営業所の入口と商号(屋号)が確認できる写真
申請者がここで事業を行っていること外部に明示している証明となります。
撮影ポイント
商号の明示
申請する法人の商号または個人事業主の屋号を記載した、表札、看板、プレートなどが明確に写っている必要があります。
入口との同時撮影
事務所の入口ドア、玄関などと、上記の商号を記載した標識が一枚の写真に収まっているのが理想です。
独立性の証明
自宅兼事務所の場合、居住用の玄関とは別に、営業所専門の出入り口がある場合は、それを撮影します。専門の出入り口がない場合は、その入口が事業活動の拠点であることが分かるように工夫して撮影する必要があります。
看板(表札)の注意点
手書きや、許可後にすぐに取り外せそうなマグネットは避けた方が良いでしょう。恒常的に使用する表札や、しっかりとした素材の看板を使用しましょう。
また、許可が下りるまでの間だけでも、ガムテープなどで貼り付けたものは仮設と見なされ、認められない可能性がありますの注意が必要です。
③営業所の内部写真
実際に事業活動が行われる内部スペースの独立性と実用性を証明する写真です。
撮影ポイント
事務所専用スペースの全景
事務所内部の全体が分かるように、部屋の角から対角線を向けて広角で撮影します。
事務機器の写し込み
事業を営むために必要な机・椅子・パソコン・書類棚などの事務機器が、設置されている様子を写し込みます。
生活感の排除
自宅兼事務所の場合、寝具や生活用品などの私物が一切写り込まないように注意する必要があります。これらのものが写っていると、独立した事務所として認められない可能性がありますので注意が必要です。
④備品の写真(電話・FAX、契約書等)
上記③で写り込んでいる備品について、実際に使用していることをさらに裏付ける写真です。
撮影ポイント
固定電話・FAX
申請に使用する電話番号が、この事務所で実際に使用していることを示すため、固定電話・FAXを接写で撮影します。
許可申請書類や関連書類
申請書類一式や、日々の業務で使用する見積書、請求書、契約書ファイルなどを机の上に広げて一部を写し込むと、事業実態の説得力が増します。但しその際も、個人情報などの特定されるものが映らないよう注意する必要があります。
自宅兼事務所の場合のチェックポイント
自宅の一部を事務所として使用する場合(自宅兼事務所)は、事務所の独立性を最も厳しくチェックされます。
入口の分離
理想は、自宅部分とは別の専用の出入り口があること。
物理的な区画
専用の事務室が、壁やパーテーションなど、固定された家具などによって、他の居住スペースから完全に区切られていること。
生活感の排除
前述したとおり、事務所スペースから生活用品を完全に排除すること。
NG例
・リビングやダイニングの一角に机を置いているだけ。
・寝室と仕切りなく繋がっている部屋を事務所にしている。
・生活用品が写り込んでいる(洗濯物、布団、食器、子供のおもちゃなど)。
許可行政庁は、事業を継続するための恒常的な拠点があるかを見ています。一時的な仮設ではなく、事業専用のスペースが確保されていることを明確にする必要があります。
写真撮影一つとっても、建設業許可申請は専門的な知識が必要であり、日々の業務に尽力されている皆様にとって、並行して行うことは容易でありません。
当事務所では、写真撮影はもちろん建設業許可申請を承ります。お気軽にご相談ください。
「グラス湘南行政書士事務所」