産業廃棄物収集運搬業を営む皆様にとって、車両の安全運行は最優先事項です。
しかし、細心の注意を払っていても、予期せぬトラブルにより積載物の落下が発生してしまう可能性がゼロではありません。
積載物の落下は交通違反に留まらず、産業廃棄物収集運搬業許可の取消しにも繋がりかねない重大なリスクといえます。
今回は、落下事故が引き起こす法的リスクや正しい対応、そして日頃から行うべき対策について解説します。
落下事故が招く許可取消しの法的リスク
産業廃棄物収集運搬業許可は、廃棄物処理法に基づき、要件を満たした業者にのみ与えられます。
道路交通法違反による罰則
積載物の落下は、道路交通法第75条の10、転落等防止措置義務違反に該当します。万が一、落下物が原因で重大な事故が発生した場合、運転者だけでなく、事業者側も使用者責任や安全運転管理者への指導監督不足を厳しく問われます。
廃棄物処理法における欠格事由
許可取消しの根拠となるのが、廃棄物処理法の欠格事由です。
落下事故が原因で、廃棄物処理法または道路交通法に違反し、一定以上の罰金刑や禁錮刑以上の判決を受けた場合、許可の更新ができなくなったり、許可そのものを取り消される可能性が極めて高くなります。
万が一、落下させてしまった時の緊急対応
落下事故が発生した際、以下の手順を冷静に行うことが、被害の拡大を防ぐことにつながります。
➀安全な場所に停止し、状況を確認する
直ちに安全な場所に停車してください。道路上であれば、ハザードランプを点灯させ、後続車に合図を送ります。
➁負傷者の救護、安全確保
最も重要なのは人命です。もし負傷者がいる場合は、直ちに119番通報(救急)を行い、二次被害を防ぐために発煙筒や停止表示板を設置してください。
➂警察への通報(110番)
落下物があることを警察に届け出ることは義務です。これを怠ると報告義務違反とみなされます。
高速道路での落下事故対応
高速道路での落下事故は、死亡事故に直結する極めて危険な事態です。
道路緊急ダイヤル「#9910」への通報
高速道路では、警察への通報に加え、必ず「#9910」へ連絡してください。専門の道路管理者が落下物の回収や交通規制を行います。
車外への避難
高速道路上は非常に危険です。車両の影やガードレールの外側など、安全な場所に避難し、警察や道路管理者の到着を待ってください。決して自分で路上に出て落下物を拾おうとしてはいけません。
落下事項を起こさないための予防対策
事故は対策によって未然に防ぐことが可能です。
以下のチェックリストを日々の業務に組み込むことをお勧めします。
➀積載方法の徹底
廃棄物の形状や重量に合わせた適切な積載を行っているか。
シートの固定、ロープやベルトの緩みはないか確認しましょう。
➁出発前の3点チェック
・積込み後のシート掛けは適切か
・偏荷重になっていないか
・固定具の緩みはないか
➂定期的な車両メンテナンス
ベルトの劣化やフックの不具合は、事故の直接的な原因となります。車両点検記録簿の記帳を怠らず、定期的な点検を行いましょう。
➃ドライバーへの安全教育
急ハンドル、急ブレーキが落下を誘発する原因にもなります。丁寧な運転を徹底しましょう。
まとめ
運搬業は、廃棄物を預かるという責任が伴う業種です。
荷崩れや落下は、荷物の損失だけではなく、公道を利用するすべての人々への脅威となります。
積載物の落下は、許可取消しにつながるという強い認識を持ち、日々の運行管理を徹底することが、結果として貴社の持続的な経営に繋がるといえます。
貴社の安全管理体制や、過去の違反歴に関する法的な不安がある場合は、当事務所へご相談ください。
「グラス湘南行政書士事務所」