宅建業者にとって報酬額表(仲介手数料)の透明性は、不動産取引における重要な要素の一つです。
宅地建物取引業法第46条第4項には、宅建業者はその事務所ごとに、公衆の見やすい場所に国土交通大臣が定めた報酬の額を掲示しなければならない旨が定められています。
しかし、単に掲示していれば良いわけではなく、デジタル化に伴う運用ルールの変化により、その掲示のあり方もアップデートが求められています。
今回は、令和8年度の最新の運用を踏まえ、改めて確認するべき報酬額の掲示義務と、実務上の注意点を行政書士の視点から解説します。

報酬額の掲示が厳格化されている?

不動産取引において、仲介手数料は顧客にとって重要な関心事です。報酬額の掲示は、以下の目的で義務付けられています。

過大な報酬受領の防止

法定の上限を超えた報酬を請求することを未然に防ぐ。

消費者保護

消費者が事前にコストを明確に認識し、納得した上で取引に臨めるようにする。

業者としての適格性

法令を遵守する姿勢を公に示すことによる、社会的信頼の担保。
特に近年は、空き家対策の推進や消費者保護の観点から、報酬額の特定措置が整備されています。これは低廉な空き家等の売買・交換における媒介報酬の特例といって、不動産取引において現地調査等の費用が割高になりがちな低価格物件をスムーズに流通させるため、業者側が受け取れる報酬の上限を一定の範囲内で引き上げる制度です。
低価格物件でもあっても、契約実務や現地調査にかかる手間やコストは高額物件と大きく変わりません。この不均衡を是正し、不動産流通を促進するために設けられたのが本特例です。

対象物件

売買代金(または交換価格)が800万円以下の宅地又は建物。
空き家という名称ですが、現に居住中であっても、更地であっても対象となります。

報酬上限額33万円

税込で33万円が報酬の上限額となります。
これに伴い、最新の告示内容に即した報酬額表を掲示し続けることが、これまで以上に重要視されています。

事務所掲示の基本原則

以下のポイントを確認してみてください。

掲示場所

公衆のみやすい場所である必要があります。来店客など誰でも容易に確認できる受付付近が推奨されます。

内容の正確性

国土交通大臣が定めた報酬額表の内容であること。特に税率変更や特例改正があった場合、古い情報のまま掲示していないか注意が必要です。

全事務所への設置

本店のみならず、支店や営業所ごとに掲示義務があります。

デジタル時代の新たな掲示

近年のデジタル化の進展を受け、紙媒体以外の掲示方法も一定の要件下で認められています。

以下のルールをクリアしているか確認してください。

➀即時閲覧性

営業時間内であれば、公衆がいつでも確認できること。

➁常時明示

デジタル画面内で、報酬額を確認できる旨やその場所が常に表示されていること。

➂視認性の確保

顧客が確認する際に、操作の必要性が極力低く、直感的な操作で閲覧できること。
デジタルサイネージを活用することで、常に最新の告示内容を反映させやすくなるというメリットがあります。一方で、システムトラブルで表示されないという事態は法令違反と見なされる恐れがあるため、バックアップ体制を整え、紙媒体での掲示にも速やかに対応できるように十分留意する必要があります。

トラブルを未然に防ぐ事前説明

掲示義務は最低限の義務として、以下の対応を行いましょう。

重要事項説明での再掲示

媒介契約前には、改めて報酬額表の上限や計算方法について、顧客へ明確に説明し承諾を得てください。

特例適用の透明化

特に低廉な空き家特例などを活用する場合、報酬額を算出根拠とともに書面に残すことが、肝要です。

まとめ

最新の報酬額表になっているか、見やすい場所に設置されているかなど、これらを定期的にチェックすることが重要です。
当事務所では宅建業免許の書類作成から申請まで承っています。お気軽のご相談ください。
グラス湘南行政書士事務所