建設業許可の取得を検討した際、まず最初に立ちはだかる壁として、要件を満たしていることの証明があります。
特に常勤の役員等(経管)と営業所の技術者(専技)が大きな壁としてあります。
どちらも実務経験が必要なら、同じ書類でいいのでは?
・・と思われる方もいらっしゃるでしょうか。
結論からいうと、求められる役割が異なるため、証明するべき内容も、用意する書類も異なります。
今回は、この常勤の役員等(経管)と営業所の技術者(専技)の違いについて解説します。
そもそも常勤役員等と営業所技術者は何が違うの?
まずはそれぞれの役割を整理する必要があります。
許可要件には大きく分けて、経営のプロと技術のプロが必要です。
常勤役員等(経営業務の管理責任者)
建設業の経営者としての経験が問われます。会社の資金繰りや契約を適切に管理できる能力が問われます。
営業所技術者(専任技術者)
建設工事の技術的な責任者です。見積もり、入札、契約履行における技術的な判断を行う能力が問われます。
常勤役員等の証明に必要な書類
経営経験を証明するためには、「いつ、どの立場で、どのような事業を行っていたか」を裏付ける必要があります。
①立場を証明する書類
法人の役員であった場合は履歴事項全部証明書、個人事業主であった場合は確定申告書の控えが必要です。単に従業員として働いていた期間は原則として、経営経験にはカウントされません。
②経験期間中の実態を証明する書類
履歴事項全部証明書に役員として記載されているだけでは不十分といえます。実際に建設業を営んでいた証拠として、以下のものが必要になります。
・過去の建設業許可証の写し
・工事請負契約、注文書、請求書と通帳の入金記録
これらを経営経験が必要な5年分、空白期間がないように揃える必要があります。
営業所技術者の実務経験証明に必要な書類
技術者の場合、1級、2級建築施工管理技士などの資格を持っていれば、合格証の写しだけで済むため非常にシンプルです。しかし、実務経験10年などで申請する場合は、経営経験よりも詳細な証明が求められます。
①技術的経験の内容を証明する書類
実務経験証明書という書類を作成します。ここには、具体的にどのような工事に従事したかを1件ずつ記載します。
工事請負契約書、注文書、請求書など経営経験と異なるのは、申請しようとする業種の内容が明確に読み取れる書類である必要がある点です。例えば単に「リフォーム一式」と書かれた契約書では、内装工事の経験として認められないケースがありますので、できる限り具体的な工事内容を記載する必要があります。
②常勤性を証明する書類
営業所技術者は、その営業所に専任していなければなりません。
マイナ保険証への移行に伴い、建設業許可の手続きで常勤性を証明する方法が変わってきています。マイナ保険証(写)を提出するだけでは、常勤性の証明にはなりません。マイナ保険証には勤務先や資格取得日が記載されていないからです。今後は、資格確認書と別の書類を組み合わせる、あるいは全く別の公的書類で証明する流れになります。
また自治体によっては、マイナポータルの健康保険証情報画面には事業所名や資格取得日が表示されるため、この画面をプリントアウトして証明するケースもあります。
建設業許可は、申請先の都道府県によって、どの書類を証明とするかは、微妙に異なりますので、管轄の許可行政庁に確認しましょう。
なぜ同じ書類では済まないの?
前述したように、経営と技術で、チェックされるポイントが異なるからです。
| 項目 | 常勤役員等(経営) | 営業所技術者(技術) |
| 主に見られる点 | 役員としての地位があったか | 具体的にどんな工種に携わったか |
| 認められる範囲 | 建設業全般の経営経験 | 申請する業種に特化した専門的な経験 |
| 資格での代用 | 不可(経験が必須) | 可能(国家資格があれば経験証明不要) |
例えば、社長一人の会社で、社長が経営と技術の両方を兼ねる場合、提出する書類の枚数は多くなる傾向にあります。それは経営者としての5年分と、技術者としての10年分の契約書を、重複している箇所の整理をしながらすべて突合する作業が必要になるからです。
ただ、資格や指定学科卒業等で10年分の実務経験の証明が免除されるケースもあるため、一概にはいえませんが、書類は多くなりがちといえます。
書類準備で注意するべき落とし穴
特に注意するべきは下記の2点あります。
①通帳コピーは必須
最近は電子契約やネットバンキングも増えていますが、審査の現場ではいまだに請求書と入金記録(通帳)のセットが証明となります。請求書だけでは極端な話、架空の請求書を作成できてしまうため合わせて入金記録が必要となるわけです。古い通帳が見つからない場合もあるかと思います。その際は、早めに金融機関で取引推移明細を発行してもらうなどの対策が必要です。
②業種の整合性
営業所技術者の経験を証明する際、例えば大工工事で申請したいのに、持ってきた契約書がすべて解体工事だった場合、当然ながら認められません。契約書の工種や工事名が、申請する業種の内容に合致しているか、プロの目で精査する必要があります。
まとめ
建設業許可の要件証明は、手元にある大量の書類の中から、どれが経営の証明になり、どれが技術の証明になるかを仕分け、申請の内容に合わせて組み立てることが肝要です。
自分の経験で許可が取れるか不安・・
書類が多すぎて何から手をつけていいのか分からない・・
・・そんな時は、ぜひ当事務所へお気軽にご相談ください。
「グラス湘南行政書士事務所」