建設現場の工事において、建物取り壊しにより出たゴミをトラックで運ぶ行為は、一見、通常の作業のように思えますが、実はここには、廃棄物処理法という厳格な法律のハードルが存在します。
今回は、神奈川県で産廃・建設業の許認可を取り扱う行政書士が、解体工事と産廃収集運搬業許可の複雑な関係を解説します。
誰がゴミの持ち主か?が分かれ道?
産業廃棄物のルールを理解する上で、最も重要な概念が排出事業者です。
法律上、解体工事から発生した廃棄物の排出事業者は、原則として元請業者と定められています。たとえ実際に解体したのが下請業者であっても、そのゴミの責任者は元請業者なのです。
この排出事業者が誰であるかによって、運搬に必要な資格が変わります。
事故運搬(許可が不要なケース)
元請業者が、自ら排出した(自ら元請として受注した現場の)廃棄物を、自社の車両で処理場まで運ぶことを事故運搬と呼びます。ただし、車両への表示や書面の携帯義務など、守るべきルールは存在します。
収集運搬業許可が必要なケース
問題は、下請業者が現場のゴミを運ぶ場合です。
下請業者は法律上、排出事業者ではありません。他人のゴミを運ぶことになるため、たとえわずかな距離であっても、産業廃棄物収集運搬業許可を受けていなければなりません。
解体工事業登録があれば運べるという誤解
うちは500万円以下の小規模な解体しかやらないから、建設業許可ではなく解体工業登録だけでやっている。だから産業廃棄物の許可はいらないよね?
これは、よく聞かれる危険な誤解です。
解体工事業登録(または建設業許可):解体工事そのものを行うための資格
産業廃棄物収集運搬業許可:廃棄物を運搬するための資格
これらは全く別の法律に基づく許可です。解体してよいという許可は、決して他人のゴミを運んでいいですよ、という免状ではありません。下請として現場に入り、廃材を積み込んで公道を走った瞬間、産廃の許可がなければ無許可営業として厳しい罰則の対象となりますので注意が必要です。
無許可運搬のリスクは想像以上に重い!
もし無許可で産廃を運搬した場合、運んだ業者(下請)だけでなく、運ぶことを指示した業者(元請)も責任を問われます。
刑事罰:5年以下の懲役、もしくは1,000万円以下の罰金(または併科)
行政処分:建設業許可の取り消しや、数日間の営業停止
特に建設業界では、コンプライアンス(法令遵守)が厳格化しています。元請業者もリスクを避けるため、産廃許可を持っていない下請業者には運搬を任せない、あるいはそもそも現場に入れないという傾向になりつつあります。
つまり、産廃許可は仕事を受注するための通行券のような役割を果たしているといえます。
神奈川県で許可を取る際の注意点
神奈川県内(横浜市、川崎市、相模原市、横須賀市を含む)で産業廃棄物収集運搬業許可を取得する場合、いくつかのステップがあります。
①講習会の受講
日本産業廃棄物処理振興センター(JWNET)の講習を受け、修了証を取得する必要があります。
②車両の確保
土砂禁止ダンプなどの形状や、過積載防止の配慮が必要です。
③経理的基礎の審査
直近の決算が赤字だったり、債務超過であったりする場合、追加の書類(診断書など)が求められることがあります。
特に解体業をメインにされている方は、廃プラスチック類、ガラスくず、コンクリートくず、陶磁器くず、がれき類といった「建設系5品目」に加え、アスベスト(石綿含有廃棄物)の取扱いについても慎重に検討する必要があります。
まとめ
解体工事と産廃運搬はセットです。しかし、法律の解釈を間違えると、長年築きあげてきた会社の信頼が一瞬で崩れてしまうリスクを孕んでいます。
少しでも、ご不安に感じられたら、当事務所へお気軽にご相談ください。複雑な書類作成や行政庁との調整を代行し、安心して現場に集中できるようサポートいたします。
「グラス湘南行政書士事務所」