宅建業を始めるにあたって最大のハードルの一つが、専任の宅地建物取引士(以下、専任の宅建士)の設置です。
宅建士の資格を持っていれば良いだけではなく、この専任という言葉には、宅建業法上の非常に厳しい基準があります。ここを見落として申請すると、免許が取得できないばかりか、開業後の欠格事由に該当してしまうリスクもあります。
今回は、実務で特に多い専任性の判定基準と、注意するべきポイントを解説します。

そもそも専任の宅建士は何人必要なのか?

まず基本となるのが、設置義務のある人数です。事務所の形態によって異なります。

事務所(本店・支店)

業務に従事する者5人に1人以上の割合で設置が必要です。少なくとも1人以上の設置が必要です。
ここで注意したいのは、もし専任の宅建士が退職などで不足した場合です。不足が生じたときは、2週間以内に新たな補充をするなど、必要な措置を講じなければなりません。この期間を過ぎると、業法違反となるため、常に予備の体制を考えておくことが重要です。

専任と認められるための2つのキーワード

宅建業法における専任とは、以下の2つの要件を同時に満たしている状態を指します。

①常勤性(その事務所に常勤すること)

当該事務所の営業時間中は、原則としてその事務所に常に勤務している必要があります。そのため、通常の通勤が不可能と判断されるような遠方に居住している場合は、専任の宅建士として認められることが困難となります。物理的に通える距離かどうかが厳しくチェックされます。

②専従性(宅建業に専ら従事すること)

文字通り、宅建業の業務に専念している状態です。原則として他の業務を兼務できないものと考えられており、時間的、空間的に宅建業に集中できる環境になければなりません。

兼務ができるケースとできないケースに要注意!

他の仕事と掛け持ちできるのかという点についてですが、これは非常に細かく分類されています。

原則として認められないケース

他の法人の代表取締役や常勤役員

他の会社で経営責任がある立場の方は、専任とは認められません。

他の法人の従業員

アルバイトやパート、非常勤であっても、他社で雇用関係がある場合は認められません。

国会議員や地方議会議員

国会議員や地方議会議員も兼務が認められていません。

監査役

監査役は職務の性質上、その法人の他の業務を兼ねることができないためです。

判断が分かれるケース

以下の場合は、業務量や勤務実態を総合的に判断して認められることがあります。

同一法人内での兼務

専任の建築士、専任の技術者、不動産鑑定士など。ただし、それぞれの法定で兼務を禁止している場合は不可となります。

同一の事務所内での他の士業

行政書士、土地家屋調査士など。

同一事務所内での小売業・飲食業など

代わりのスタッフが確保されており、宅建業を優先できる体制であれば、認められる可能性があります。

認められるケース

他の法人の非常勤役員

非常勤証明書の提出を条件に認められます。

業務に従事する者のカウント方法

5人に1人を計算する際の分母となる業務に従事する者の定義についても、間違えやすいポイントです。
これは宅建業務に携わる営業担当者だけでなく、以下のスタッフも含まれます。

・代表者(社長)
・常勤役員(専業業者の場合、全員含む)
・一般管理部門(庶務・経理など)のスタッフ
・継続的な雇用関係にあるパート・アルバイト

建設業など、他の業務を兼業している場合は?

他の事業(建設業など)と兼業している場合は、事務スタッフの人数は業務比率で案分して計算します。
例えば、建設業と宅建業の業務比率が1:2の会社の場合、会社全体に経理スタッフが9人いるとすれば、9人×2/3=6人が宅建業の従事者としてカウントされます。
このように、一見すると宅建士の数が足りているようでも、案分計算の結果、不足してしまうケースがあるため注意が必要です。

まとめ

宅建業免許の申請において、専任の宅建士の要件確認は最も神経を使う部分です。特に、他社の役員を兼ねていたり、複数の事業を行っているといった事情がある場合は、慎重な裏づけと説明資料の準備が欠かせません。
「自分のケースはどうなんだろう?」と不安に思われたら、まずは当事務所へご相談ください。専任性の判断や申請書類の作成を代行させて頂きます。
グラス湘南行政書士事務所