宅地建物取引業の免許申請は、事業者様の事業開始に向けた最初の壁といえます。
中でも、事務所要件は形式的なチェックポイントが多く、実務上最も申請者がつまずきやすいポイントといえます。
今回は、申請で直面する事務所要件の落とし穴を、具体的なチェックポイントとともに解説します。間違った申請による手戻りを避け、スムーズな免許取得を目指しましょう。
独立性の確保:他法人・他業者との共同使用は原則不可
宅建業の事務所は、業務を継続的に行える環境、つまり独立性が求められます。これが事務所要件における最大の壁です。
共同使用の原則禁止
他業種や他法人の事務所スペースとの共同使用は、コスト削減のために検討しがちです。
しかし、別法人の事務所内の一角であったり、親会社や関連会社の事務所内のパーテーションで区切っただけのスペースなどは原則として不許可となります。
宅建業は高額な取引を扱うため、顧客や取引先相手の信用保護が行政の主眼です。他の業務と混然一体となっていると、宅建業としての責任の所在やプライバシーの保護が不十分と判断されます。
独立性を証明するための必須要件
事務所の独立性を客観的に証明するためには、以下の物理的な要件が必須となります。
専用の出入り口(玄関)
他のテナントや共同使用スペースとは明確に区分された、宅建業者専用の出入り口が必要です。
固定された間仕切り(壁)
天井まで達する固定された壁で、他のフロアや他のテナントと完全に区分されている必要があります。可動式のパーテーションや背の高い棚だけでは独立性として認められません。
賃貸借契約書上の区分だけではなく、現地調査で物理的な独立性が厳しくチェックされます。図面や写真での事前確認を徹底しましょう。
使用権原の確実性:賃貸借契約の目的と契約期間
事務所の適法な使用権原の確認も、申請の重要なポイントです。書類上の不備で申請が差し戻されるケースがあります。
賃貸借契約の目的に注意
賃貸借契約書において、使用目的が居住専用となっている物件を事務所として申請することはできません。目的としては「事務所・店舗」または「居住以外」となっていなければなりません。
特にマンションの一室などを事務所とする場合、管理規約で事務所使用が禁止されていないかも確認が必要となります。
賃貸借契約の契約期間に注意
申請日時点で、賃貸借契約期間が極端に短い、又はすでに期間満了を迎えている契約書を提出してしまうミスがあります。宅建業は継続的な事業であるため、原則として申請日から1年以上の契約期間が残っていることが求められます。
転貸(又貸し)に注意
申請者が建物の所有者や賃貸人ではなく、第三者から借り受けている(転貸借)場合、賃貸人の承諾書が必須となります。承諾書がない転貸借契約は無効とみなされ、使用権原が認められません。
バーチャルオフィス・レンタルオフィスの取扱い
近年増加しているバーチャルオフィスやレンタルオフィスについては、許可行政庁の審査基準が厳しくなっています。
バーチャルオフィス(住所貸し)は不許可
バーチャルオフィス(住所のみを借りる形態)は、いかなる場合も認められません。宅建業法では継続的に業務を遂行し得る施設であることが求められ。これは人的・物的体制が整っている状態を意味します。
レンタルオフィス・シェアオフィスは独立性が鍵
レンタルオフィスやシェアオフィスの一室を使用する場合、以下の要件を満たせば例外的に認められることがあります。
個室であること
壁やドアで完全に区切られた、施錠可能な専用の個室であること。
物理的な独立性
固定された仕切りで他の使用者との間が完全に区分されていること。
継続性の証明
申請者がその個室を排他的に利用できることを証明する契約書や図面。
看板の設置
外部からその個室が宅建業者であることが認識できる看板等がされていること。
受付けや会議室を他の使用者と共有する形態は問題ありませんが、宅建業の主な業務スペースが他の利用者と混在するオープンスペースでは、原則として認められません。
自宅兼事務所の取扱い
個人事業主や法人設立直後で、代表者個人の自宅の一室を事務所にするケースも多くみられます。これも独立性の証明が焦点となります。
自宅兼事務所で許可される要件
専用の部屋の確保
事務所として使用する部屋が、生活空間と完全に区分されて、宅建業専用となっていること。
固定された間仕切り
他の居住との間が固定された壁とドアで完全に区切られていること。
事務所専用の出入り口の確保
理想は、生活用の玄関とは別に事務所専用の出入り口を設けることですが、困難な場合は、生活空間を経由せずに専用の部屋に到達できることが求められます。例えば、玄関からすぐに事務所の部屋につながり、事務所は他の生活空間を経由しない。
自宅兼事務所の場合、生活感のある物品(寝具、私物など)が写り込んだ写真では、その部屋が業務のみに使われているか疑われます。申請時には、業務に必要なものだけが置かれた状態の写真を用意しましょう。
まとめ
宅建業免許申請における事務所要件は、顧客の信用保護と継続的な業務遂行体制が整っているかを問うものです。使用予定の物件が以下の3つの内容を満たしているかをチェックしましょう。
①物理的な独立性
固定壁と専用の出入り口で他者と完全に区分されているか。
②適法な使用権原
賃貸借契約の目的が事務所で、契約期間も十分に残っているか。
③継続的な業務遂行環境
バーチャルオフィスではなく、常勤役員等が常勤できる環境が整っているか。
当事務所では、これらの内容を確認し、速やかな申請手続きを代行します。お気軽にご相談ください。
「グラス湘南行政書士事務所」