建設業許可を取得している業者の皆様にとって避けて通れない手続きの一つに、毎事業年度終了後に提出が義務付けられている決算変更届(事業年度終了届)があります。
この決算変更届について、「複数業種の許可を持っている場合、届出も業種分必要なの?」といった疑問があります。
結論からいうと、決算変更届の提出は、たとえ複数業種の許可を持っていても、事業年度ごと、つまり年に1回で大丈夫です。
「でも、複数の業種はどうやって報告するの?」という疑問も出てくるのではないでしょうか?
今回は、複数の建設業許可を持つ事業者が提出する決算変更届の全体像と、特に重要となる書類のポイントについて解説します。
決算変更届とは?なぜ年に1回で済むのか?
建設業許可業者の義務
建設業許可を取得した事業者は、建設業法第11条2項に基づき、毎事業年度終了後4ヶ月以内に、その事業年度の工事施工実績や財務状況などを記載した書類を許可行政庁に提出することが義務付けられています。これが決算変更届(事業年度終了届)です。
この届出は、許可業者が引き続き建設業法の要件を満たしているかを、許可行政庁が継続的にチェックするための重要な資料となります。
なぜ業種ごとではないのか?
建設業許可は29の業種ごとに取得しますが、決算変更届は、会社や個人事業主という事業主体そのものの状況を報告するものだからです。
提出書類の中心となる財務諸表(貸借対照表、損益計算書など)は、事業全体のものであり、特定の許可業種だけを切り離して作成することはできません。会社として事業年度の実績を報告する義務があるため、業種がいくつあっても、提出は事業年度の1回となるのです。
複数の許可業種に関する重要書類は工事経歴書
複数の業種の許可を持っている事業者にとって、決算変更届の中で特に注意が必要なのが、工事経歴書(様式第2号)です。
決算変更届の提出書類は多岐にわたりますが、中でも工事経歴書は、その事業年度に請け負ったすべての建設工事を許可業種別に記載し、施工実績を明らかにする書類です。
工事経歴書の記載ルール
許可業種ごとに記載
各業種について請け負った工事の合計額と完成した工事の合計額を記載します。
代表的な工事の記載
各業種について、請負代金の額が500万円(税込)以上の工事を個別に記載します。この個別記載の欄に、どの許可業種に関する工事であったかを明記します。
複数業種を持つ場合の届出のポイント
複数の許可業種を維持している事業者が決算変更届を作成、提出する際の重要なポイントをまとめます。
営業所の技術者(専技)の確認は念入りに
複数の許可業種を取得している場合、それぞれの業種について営業所の技術者(専技)が適切に配置されているかを許可行政庁はチェックします。決算変更届の提出のタイミングで、退職や異動などで営業所の技術者(専技)が欠けていないか、改めて確認する必要があります。
財務状況は常に意識を
特定建設業許可を受けている場合は特に、資本金や自己資本額、流動比率などの財産的基礎の要件を継続して満たしているかどうかが厳しく審査されます。財務諸表を提出することで、許可行政庁はその状況を把握します。赤字が続いている場合などは、許可の更新時に影響が出る可能性がゼロではありませんので注意が必要です。
提出期限は厳守する
決算変更届の提出期限は、事業年度終了後4ヶ月以内です。この期限を過ぎてしまうと、許可の更新や業種追加、経営事項審査(経審)などの重要な手続きができなくなるという事態を招きかねません。
まとめ
提出は事業年度ごとに年1回でOK
業種数に関係なく、会社(事業主体)としての実績を報告します。
すべての許可業種の実績を工事経歴書に集約して報告する
将来の業種追加のためにも、この書類の記載はできる限り正確に行う必要があります。
決算変更届は、建設業許可を維持していくために必要な届出です。正確な書類作成と期限内の提出が、許可行政庁からの信頼を維持し、安心して事業を継続していくための土台となります。
複雑な書類作成や、記載内容に不安がある場合は、当事務所へお気軽にご連絡ください。
「グラス湘南行政書士事務所」