建設業許可取得は、新たなスタートラインといえます。この建設業を営む上で、意識しておくべきことの一つに立入検査があります。
「突然、許可行政庁の職員が来るの?」と不安に思われる方もいらっしゃるかもしれません。今回は、建設業許可後の立入検査について、その目的や流れなど、検査に備えるための準備について解説します。

立入検査とは?その目的と根拠

建設業許可後の立入検査は、建設業法に基づき、許可を受けた業者が許可要件を継続的に満たしているか、また建設業法をはじめとする関係法令を遵守し、適正な事業運営を行っているかを確認するために行われます。

許可要件の維持確認

経営業務を管理する常勤役員等や専任技術者、財産的基礎などの要件が、許可取得後も継続して満たされているかをチェックします。

法令遵守の確認

帳簿の作成、保存状況、契約の適正、下請代金の支払い状況などが、建設業法やその他の関連法規に則っているかを確認します。

根拠となる法律

立入検査は、建設業法第28条や第47条などに基づき、国土交通省や都道府県知事の権限として実施されます。不正行為や法令違反が発覚した場合、指示処分、営業停止処分、さらには許可の取消といった重い監督処分の対象となる可能性があります。

立入検査の対象と時期

立入検査は、全ての許可業者に対して、一律に行われるわけではありません。主に以下の様なケースで実施される可能性があります。

①特定建設業の許可業者

特定建設業者は一般建設業者よりも厳格な検査を受ける傾向があります。

②新規許可取得後の一定期間

許可を取得してから間もない業者に対して、初期の体制確認のために、行われることがあります。

③情報提供や通報があった場合

元請・下請間でのトラブル、不当な行為、または法令違反の疑いに関する情報が行政庁に寄せられる場合があります。

④その他、行政庁が必要と認めた場合

無作為の抽出や、特定の業種・規模の業者に対する重点検査などが考えられます。

⑤大臣許可業者への国土交通省による検査(特に大規模な場合)

神奈川県の場合、国土交通大臣許可業者に対する関東地方整備局による検査や、神奈川県知事許可業者に対する県による検査があります。

検査の通知と実施時期

原則として、立入検査は事前に通知されます。
行政庁から電話や文書で連絡があり、検査の日時、必要な書類、検査担当者の氏名などが伝えられます。
抜き打ち検査の可能性もありますが、これは主に重大な法令違反や不正行為の疑いが濃厚な場合に限られます。通常は、円滑な検査を行うために、事前に通知されるのが一般的です。

立入検査でチェックされる主なポイント

立入検査では、建設業の適正な経営体制と施工体制が確認されます。特に重要となるチェックポイントを下記へ挙げます。

経営体制・許可要件に関するチェック

専任技術者の常勤性

営業所に専任技術者が常勤しているか。出勤簿や給与明細などで確認されます。

経営業務の管理体制

経営業務を管理する常勤役員等(旧、経管)の体制が維持されているか。

営業所の実態

許可を受けた営業所に事業実態があるか、適切な設備と看板があるか。

書類・帳簿に関するチェック

契約に関する書類

請負契約書(建設業法第19条の規定を満たしているか、特に書面による交付がされているか)。

発注者との契約約款、変更契約書など。

帳簿に関する書類

建設業法第40条の3に基づく帳簿(営業に関する事項と施工体系に関する事項)が適切に作成され、5年間または10年間、保存されているか。

技術者の配置に関する書類

工事現場への主任技術者・監理技術者の配置状況。

雇用関係(健康保険、雇用契約書、給与明細など)の確認。

賃金・支払いに関するチェック

下請代金の支払い

下請業者への支払いが、適正な期日と方法で行われているか(特に、特定建設業の場合、支払期日や遅延利息など)。

適切な会計処理

帳簿と決算書の内容に大きな乖離がないか。

検査当日の流れと行政書士の役割

検査当日の一般的な流れ

1.検査官の来訪
事前に通知された日時に、行政庁の検査官(通常2~3名)が来訪します。

2.来訪の目的を説明
検査官が身分証を提示し、検査の根拠と目的が説明されます。

3.書類の確認
依頼された書類や帳簿を提示し、検査官が細部にわたって確認します。

4.ヒアリング
経営者、専任技術者、経理担当者などに、事業内容や体制、書類の作成・保管状況について質問が行われます。

5.必要に応じて現場確認
営業所や保管されている書類、設備などが確認されます。

6.統括と講評
検査の結果について、口頭で講評や是正すべき事項の指摘が行われます。

行政書士の活用と立ち会い

建設業許可を取り扱う行政書士は、検査に必要な書類や帳簿の整備を日頃からサポートしています。

事前準備のサポート

検査通知があった際、不足している書類や不備がないかを行政書士が事前にチェックし、是正をアドバイスします。

検査当日の立ち会い

行政書士が立ち会うことで、検査官への説明をスムーズに行い、心理的な負担を軽減し、落ち着いて対応できる環境を作ります。

神奈川県の許可業者が備えるべきポイント

神奈川県の許可業者として、日頃から以下の点を徹底し、いつ検査があっても慌てない体制を築くことが肝要です。

①帳簿の継続的な作成と保存

工事の完了ごとに、遅滞なく帳簿を作成し、決められた期間(5年または10年)保管するようにしましょう。

②専任技術者の管理徹底

専任技術者が他の会社の役員を兼任していないか、また常勤性を疑われるような働き方をしていないかを常にチェックしましょう。

③適正な請負契約書の作成

必ず書面で契約を締結し、建設業法第19条に定められた事項を全て記載しましょう。契約書がない、あるいは不備があることが、最も指摘されやすい点です。

立入検査に関するご不安や、日々の書類管理に関するご相談があれば、いつでもお気軽にご連絡ください。
グラス湘南行政書士事務所