建設業において、軽微な工事を超える工事を行う場合、建設業許可は欠かせません。
この許可の取得や維持に関する手続きのなかで、国土交通大臣認定という言葉を聞いたことがある方もいらっしゃるでしょうか?
特に、常勤役員等(経営業務の管理責任者)や営業所技術者(専任技術者)の要件をクリアする際に、この認定が重要な役割を果たすことがあります。
今回は、この国土交通大臣認定が具体的に何を指し、どのとうな場合に必要になるのかを解説します。
(1) 建設業許可の基本
まず、国土交通大臣認定の解説に入る前に、建設業許可の基本的な概要について触れます。
建設業許可は、建設工事の適正な施工と発注者の保護を目的とした制度です。請負金額が一定額以上の工事を請け負う場合、この許可が29業種ごとに必要となります。
許可を受けるためには、大きく分けて以下の4つの要件を満たす必要があります。
要件1:経営業務の管理を適正に行うに足りる能力
要件2:専任技術者
要件3:誠実性
要件4:財産的基礎または金銭的信用
このうち、国土交通大臣認定が特に関わってくるのが、要件1と要件2になります。
(2) 国土交通大臣認定とは具体的に何を指すの?
建設業許可における国土交通大臣認定とは、主に許可要件の基準を原則的な規定では満たせない場合に、個別の申請に基づき、国土交通大臣が例外的にその能力や資格を認める手続きのことを指します。
これは、建設業法の施行規則などに定められた特例的な措置であり、標準的な証明書類や経歴だけでは要件を証明できない、あるいは国外での経験など特殊なケースにおいて、大臣が個別に審査し、要件を満たしていれば認めるというものです。
(3) 国土交通大臣認定が関わる主要なケース
国土交通大臣認定が関わる主要なケースは、主に以下の3点が挙げられます。
経営業務の管理を適正に行うに足りる能力における認定
旧制度の経営業務管理責任者の要件、そして現在の経営業務の管理を適正に行うに足りる能力の要件を満たすためには、原則として役員等が一定期間以上の適切な経営経験を持っている必要があります。
しかし、以下のような例外的なケースで、大臣認定が用いられることがあります。
国外での経験による証明
海外の建設業者での役員経験など、日本国内の建設業許可制度に基づいた証明が困難な場合、その国外での経営経験が日本国内の経験と同等以上であることを、国土交通大臣に個別に認めてもらう必要があります。
特殊な組織形態・経歴による証明
企業の合併・分社化、あるいは複雑な組織変更を経てきたなかで、経営経験の証明書類が標準的な形式で揃えられていない場合など、個々の事情を鑑みて大臣の判断を仰ぐケースがあります。
専任技術者における認定
専任技術者の要件は、原則として国家資格の保有または一定期間以上の実務経験によって満たされます。しかし、ここでも以下のような特殊なケースで大臣認定が関わってきます。
国外での技術者資格・経験による証明
海外で取得した技術者資格や実務経験が、日本の建設業許可で認められる技術検定合格者や、経験者と同等以上の知識・技術を有していると認められるには、国土交通大臣の個別認定が必要となります。
例えば、海外の大学で土木工学を専攻し、その国で技術者として活躍していた方が、日本で専任技術者となる場合が該当します。
新しい工法・技術に関する認定
建設業界における技術は日々進歩しており、中には現行の建設業法上の技術者資格や、実務経験の範囲に明確に収まらない新しい工法や、特殊技術に関する専門知識・経験が必要な場合があります。
これらの未整備な分野において、特定の知識や経験が専任技術者としての能力を満たすと判断される場合に、大臣認定が下りる場合があります。
(4) 大臣認定の手続きの厳格さ
国土交通大臣認定は、特例的な措置であるため、その審査は非常に厳格です。
個別審査と膨大な資料
認定の申請は、許可申請先の地方整備局などを経由して国土交通省へ提出されます。申請にあたっては、通常の許可申請よりもはるかに詳細で、膨大な証明資料が必要です。
例えば、国外での経験を証明する場合、その国の法令、組織図、業務内容、契約書、技術証明など、多岐にわたる資料を日本語に翻訳し、その信憑性を裏付ける公的書類を添付する必要があります。
時間と金銭的なコスト
大臣認定は、個別の案件ごとに詳細な審査が行われるため、審査期間は通常よりも長くかかります。また、資料収集、翻訳作業など、時間と金銭的なコストも高くなる傾向にあります。
まとめ
建設業許可における国土交通大臣認定とは、標準的な許可要件で疑義が生じる例外的な、特に国外での経験や特殊な技術・経歴を持つ場合に、国土交通大臣が個々にその能力や資格を認めるという手続きです。
このケースは非常に稀な申請ではありますが、グローバル化が進む現代において、海外経験をもつ人材が建設業界で活躍する上では、この制度の理解が必要不可欠といえます。
当事務所では建設業許可申請を承ります。お気軽にご相談ください。