建設業を営む上で、一定規模以上の工事を請け負うには、建設業許可が必要です。この許可を取得するための申請手続きには、様々な書類が必要となりますが、そのなかで「誓約書」についての書類があります。
しかし、「誓約書って何を書くの?」「誰がサインして押印するの?」といった疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか?

今回は、建設業許可申請における、誓約書の役割、記載内容、そして誰が誓約すべきなのかを解説します。

(1)建設業許可申請における「誓約書」の役割とは?

建設業許可は、建設業法という法律に基づいて、事業者が適正に事業を遂行できる能力と体制を持っているかを審査し、認めるものです。
この審査において、事業者が「建設業法で定められた欠格要件に該当しないこと」を自ら表明し、法律を遵守することを約束するための書類が誓約書となります。
誓約書は、申請者が「私たちは法律を守って、健全に事業を行います」ということを、公的に宣誓する法的文書となります。この誓約が許可要件を満たしていることの証明の一部となります。

(2)誓約書に記載されている主な内容とは?

誓約書の内容は、主に欠格要件に該当しないことを誓約するものです。
欠格要件とは、建設業許可を与えてはいけないと、建設業法で定められた事由のことで、具体的には以下のような項目が含まれます。

許可申請者が不正行為をしていないことの誓約

過去に建設業法や他の法令(刑法、暴力団対策法など)に違反し、一定期間を経過していない者は、許可を受けることができません。具体的には以下の項目について誓約します。

不正行為・不誠実な行為の否定

請負契約に関して、不正または不誠実な行為(詐欺、脅迫、横領など)をしていないこと。

刑罰の否定

建設業法違反や特定の法律(暴力団対策法など)違反により、禁錮以上の刑に処せられ、その執行が終わって5年を経過していない者ではないこと。

許可取消し後の期間経過

建設業許可を取り消されてから、5年を経過していない者ではないこと。

暴力団等との関係がないことの誓約

建設業の健全な発展を阻害する、暴力団員等との関係がないことも、重要な誓約事項です。

暴力団員等の否定

役員や政令で定める使用人(支配人など)、または顧問等が、暴力団または暴力団員でなくなった日から5年を経過しない者ではないこと。

暴力団による支配的な影響の否定

暴力団または暴力団員が、事業活動を支配する者ではないこと。

申請者が未成年者の場合

未成年者である場合に、法定代理人が上記項目のいずれにも該当しないことも誓約の対象となります。
これらの内容は、事業者が「私たちは法律を守って、事業を行う意思があります。」ということを、許可行政庁に対して、明確に示し、かつ、虚偽の申告ではないことを確約するものです。万一、誓約内容が虚偽であったり場合は、許可の取り消しや罰則の対象となります。

(3)誰が誓約する者なの?

誓約書を作成し、署名・押印する誓約者は、申請者の形態(個人事業主か法人か)によって異なります。
建設業法上、許可の要件(欠格要件など)の対象となる者は、許可申請者本人だけでなく、その事業運営に深く関わる者、全てに及びます。
具体的な誓約者は以下の通りです。

法人として誓約する場合

法人で申請する場合は、会社の事業運営に責任を持つ全ての者が、誓約者となります。
役員(取締役、執行役)などの会社経営を担う全ての役員が対象です。
名称のいかんにを問わず、会社に対して支配力を有すると認められる者とされています。
また、政令で定める使用人(支配人、支店長、営業所長)などで、本店以外の支店や営業所のうち、契約の締結など、建設業に関する重要な権限を持つ役職に就いている者も対象となります。
これらの政令で定める使用人は、各営業所につき1名選任され、個別に誓約書を作成、提出する必要があります。
ポイントとしては、名義上の役職だけではなく、「実質的に経営を支配している者」が誓約の対象になるということです。

個人事業主として申請する場合

個人事業主として申請する場合は、以下の者が誓約者となります。
申請者本人(個人事業主)
政令で定める使用人:法人と同様に、本店以外の営業所に重要な権限を持つ者がいる場合はその者。

未成年者の場合

未成年者が申請者となる場合は、未成年者が営業に関し成年者と同一の行為能力を有しないときは、未成年者本人に加えて、親権者などの法定代理人も誓約者となります。ただし、未成年者本人が営業に関する許可を得ている場合は、法定代理人の誓約は不要です。

(4)誓約書の作成と提出における注意点

誓約書は、既定の様式に従って作成する必要があります。都道府県ごとに若干様式の差異がありますので、申請先の行政庁が指定する最新の様式を使用する必要があります。

虚偽の誓約は絶対に避ける

前述のとおり、誓約書は法的な拘束力を持つ公的文書です。万一、欠格要件に該当する事実(過去の違反行為など)を隠して虚偽の誓約をしたことが判明した場合、建設業許可は取り消され、最長5年間は許可申請ができなくなります。
事実を正直に申告し、それでもなお許可の要件を満たせない場合は、時期を待って再度申請することが肝要です。

誓約者全員の署名・押印漏れに注意

法人の場合、多くの役員が誓約者になるため、署名や押印の漏れが生じないよう、注意が必要です。提出前に、誓約者全員分の誓約書が揃っているか、誤記はないかをチェックする必要があります。

まとめ

建設業許可における誓約書は、単に形式上の書類に留まらず、「申請者は建設業法が求める適正な事業者である」ことを、申請者自身が行政に対して、誓約するものです。
誓約書を含む許可申請書類の作成には、専門的な知識と細かな注意が必要です。日々の業務に尽力されている皆様におかれましては、建設業許可申請を日々の業務と並行して行うことは容易ではありません。
当事務所では建設業許可申請はもちろん、建設業許可に関わるご相談も承ります。お気軽にご相談ください。

グラス湘南行政書士事務所