1件の請負代金が500万円(建築一式工事の場合は1,500万円)以上の建設工事を請け負うには、建設業許可が必須となります。しかし、ここで非常に重要なポイントがあります。それは、現場で行う作業のすべてが建設工事に該当するわけではないということです。
請け負っている業務が法律上の建設工事に該当しなければ、金額がいくら高額であっても建設業許可は不要です。逆に、建設工事であるにもかかわらず無許可で高額受注をしてしまうと、厳しい罰則の対象となる恐れがあります。
今回は、建設業許可の判断基準となる建設工事に該当しないものについて、具体例を挙げながら解説します。

建設工事の定義とは?

建設業法において、建設工事とは土木工作物等を建設、改造、保存、修理など、これらに類する工作をすることと定義されています。一方、物の販売や清掃、管理、調査などは、建設現場で行われていても建設工事には含まれません。

建設工事に該当しない具体例

判断に迷いやすい建設工事に該当しない業務を分類して見ていきましょう。

保守点検・修理管理・清掃系

建物の機能を維持するために定期的に行う作業は、原則として建設工事には当たりません。

保守点検

エレベーターの定期点検、消防設備の点検、エアコンのフィルター清掃・点検など。

維持管理

道路の巡回監視、ビルメンテナンス業務

浄化槽清掃・ボイラー清掃

内部の汚れを取り除く作業であり、設備の設置や修理とは異なります。

除草・草刈・除雪

道路わきの草刈や冬場の除雪作業は、環境維持のための軽作業とみなされ、建設工事には該当しません。

調査・設計・コンサルタント系

形あるものを作るという前段階の作業や、現状を把握するための作業は建設工事ではありません。

計測・地質調査

測量法や地質調査業に基づき行われるもので、これ自体は工事ではありません。

設計

建築士法などに基づく図面の作成業務です。

樹木の伐採・造林

森林整備としての伐採や造林は農業、林業の範疇となります。ただし、建設工事に伴う伐採や、庭園を造るための植栽は建設工事(造園工事)に含まれる場合があるため注意が必要です。

物品販売・リース・製造系

資材の提供や、工場内での作業も建設工事には該当しません。

資材の販売

砂利、生コン、鉄筋などの材料を現場に納品するだけの行為。

リース

重機や機材を現場に貸し出す行為(オペレーター付きでない場合)。

機械器具製造・造船

工場内で製品を組立てるのは製造業の範疇です。ただし、製造した機械を現場で据え付ける作業は機械器具設置工事という建設工事に該当します。

砕石

岩石を砕いて砂利等を作る作業は、採石業にあたります。

間違えやすい建設工事の判断

建設工事がどうかの判断は、非常に微妙です。発注者や民間の契約でも、以下の点には特に注意してください。

修理?点検?

例えば、エアコンの点検は建設工事ではありませんが、故障したコンプレッサーを交換、修理する作業は、その規模や内容によって管工事に該当する可能性があります。同様に、浄化槽の清掃は工事ではありませんが、破損したパーツを補修するのは工事となります。

運搬?工事?

建設現場から出る廃土や産業廃棄物を運ぶだけの収集運搬は建設工事ではありません。しかし、現場否で土を掘り起こし、形を整える作業とセットで請け負う場合は、全体として建設工事とみなされます。

建設工事かどうかの重要性

なぜ建設工事かどうかの判断を細かく把握しておく必要があるのでしょうか。
理由は主に2つあります。

➀建設業法違反(無許可営業)を防ぐため

500万円以上の業務を受注する場合、それが建設工事であれば許可が必要です。もし、これは点検業務だと思っていたという言い訳が通用せず、実態が建設工事であった場合、無許可営業として3年以下の懲役または300万円いかの罰金という重い罰則を受けるリスクがあります。

➁経営事項審査(経審)の売上高から除外するため

公共工事を検討されている方は、経営事項審査を受けることになります。この際、完成工事高に建設工事ではない売上を含めて計上してしまうと、虚偽記載とみなされる恐れがあります。正しい売上区分を行うことが、健全な経営と高い評価に繋がります。

神奈川県での建設業許可申請における注意点

神奈川県(神奈川県知事許可)の審査においても、この工事該当性は厳しくチェックされます。
例えば、過去の経験(実務経験)を証明して許可を取得しようとする際、提出する契約書や注文書の内容が除草や保守点検ばかりであると、それは建設工事の経験として認められません。せっかく何年も仕事を続けていても、書類上の名目が清掃や管理になっているだけで、許可取得のハードルが上がってしまうのです。
神奈川県知事許可の手引きでも、建設工事に含まれない業務については明記されています。申請を検討されている方は、ご自身の業務がどの区分に該当するのか、契約書の件名や業務内容を今一度、見直してみることをお勧めします。

まとめ

建設工事に関わる業務であっても、以下のようなものは建設工事に該当しません。

・保守点検・浄化槽清掃・ボイラー清掃
・除草・草刈・伐採・除雪
・計測・地質調査・設計
・資材販売・リース・機械製造

実際の現場では、これらが複雑に組み合わさって発注されることが多々あります。
当事務所では、建設業者様を対象に、許可取得から維持管理、経審対策まで幅広くサポートしております。少しでも不安に感じられたら、ぜひ当事務所までお気軽にご連絡ください。
「グラス湘南行政書士事務所」