建設業界における深刻な人手不足を背景に、外国人材の活用はもはや経営戦略の柱となりつつあります。しかし、建設業は他業種に比べ、外国人雇用に関するルールが非常に厳格といえます。
不適切な雇用形態や手続きの漏れがあると、建設業許可の維持が危うくなるだけでなく、最悪の場合、欠格事由に該当して許可取消しという事態になりかねません。
今回は、外国人雇用における建設業許可上の注意点と必須手続きについて解説していきます。
建設業で受け入れ可能な主な在留資格とは?
まず前提として、どのような資格を持つ外国人を雇用できるかを確認しましょう。建設現場で作業に従事できる主な在留資格は以下の通りです。
特定技能(1号・2号)
即戦力としての期待が高く、現在主流となっている資格です。
育成就労(旧:技能実習)
2024年の法改正により、従来の技能実習制度から人材育成・確保を目的とした新制度へ移行が進んでいます。
技術・人文知識・国際業務
文系・理系の専門職。現場管理やCADオペレーター等が対象で、直接的な現場作業は原則不可です。
居住系在留資格
永住者、日本人の配偶者等。就労制限がなく、日本人と同様に雇用可能です。
建設業許可維持のための3つの絶対条件
外国人雇用が建設業許可に与える影響のうち、特に審査や維持において重要視されるのが以下の3点です。
①社会保険への加入(完全義務化)
建設業許可の維持・更新において、適切な社会保険への加入は絶対条件です。社会保険とは、健康保険、厚生年金、雇用保険のことをいいます。外国人労働者であっても例外ではありません。特に特定技能外国人の場合、社会保険への加入は在留資格の要件にもなっているため、未加入が発覚すれば、建設業法違反と入管法違反の両方に問われるリスクがあります。
②日本人と同額以上の報酬
外国人であっても同じ業務に従事する日本人と同額以上の給与を支払うことが、国土交通省の基準で厳格に定められています。これが守られていない場合、常勤役員等(経管)としての誠実性に疑義が生じ、許可の欠格要件に触れる可能性がありますので注意が必要です。
③適切な職種で現場管理
建設業許可を受けている業種と、外国人が実際に従事する作業内容が一致している必要があります。例えば「とび・土工」の許可で受け入れた外国人を、許可のない「電気工事」の現場に専ら従事させることはできません。これは建設業法上の無許可営業や一括下請負の禁止、さらには入管法上の資格外活動のリスクを伴います。
建設業特有の必須手続き(CCUSとFASS)
建設業で外国人を雇用する場合、特に特定技能においては、他業種にはない独自の登録・申請手続きが求められます。
建設キャリアアップシステム(CCUS)への登録
特定技能外国人を受け入れる企業は、事業者としての登録および該当外国人の技能者登録が義務付けられています。CCUSは就業履歴を蓄積し、技能を客観的に評価する仕組みです。この登録を怠ると、国土交通省からの受入停止処分等の対象となり、結果として建設業許可の適正な運営を妨げる要因となります。
一般社団法人 建設技能人材機構(JAC)への加入
特定技能外国人を受け入れるには、JACへの加入または各建設業者団体への加入が必要です。受入負担金の支払いも発生するため、コスト面での資金計画も重要です。
よくある落とし穴
実務上、特に注意が必要なのが、常勤性の証明です。
建設業許可の営業所の技術者(専技)や常勤役員等(経管)に外国人を充てる場合、日本人以上に厳しい常勤性のチェックが入ります。在留カードの写しはもちろん、住民税の納税証明書など、書類の整合性が一カ所でも合わないと許可申請がストップしてしまいます。
また、不法就労助長罪に問われた場合、法人は罰金刑に処される可能性が高く、そうなれば建設業許可は即座に取消しとなり、以後5年間は再取得できません。
まとめ
外国人作業員の雇用は、人手不足解消の切り札となりますが、、その手続きは多岐にわたり、建設業法、入管法、労働基準法の3つの視点が必要です。
・適切な在留資格の確認
・社会保険の完全加入
・CCUS等の建設業特有の手続きの完遂
これらを確実に行うことが、貴社の建設業許可維持に繋がり、持続可能な経営を実現していけるといえます。
外国人雇用に関する手続きや、それに伴う建設業許可の変更届など、少しでも不安がある場合は、ぜひ一度当事務所へご連絡ください。複雑な書類作成から行政庁との調整まで、トータルでサポートいたします。
「グラス湘南行政書士事務所」