宅建業をスタートさせる際、最初の壁として会社設立と免許申請の手続きがあります。
宅建業免許の要件を見据えた法人を設立しなければ、後から定款変更などのコストが発生してしまいます。
今回は、宅建業免許取得をスムーズに進めるための会社設立手順を解説します。

会社設立の注意点

株式会社や合同会社は、今や極端な話、資本金1円からでも設立できてしまいます。しかし、宅建業免許には事務所の独立性、専任の宅建士の設置、事業目的の整合性といった厳しい審査基準があります。
免許申請を見据えていない設立をしてしまうと、法務局での登記が終わった直後に、免許における差戻し補正を求められるリスクがあります。

設立前に決めておくべき4つのポイント

履歴事項全部証明書に載る事項は、一度決めると変更に登録免許税がかかります。以下の4点は必ず宅建業仕様で決定してください。

➀事業目的(定款の書き方)

会社のルールブックである、定款の事業目的に、必ず宅建業を営む旨の文言が必要です。
例えば、宅地建物取引業、不動産の売買、賃貸、仲介、管理及び所有などと記載するのが一般的です。事業目的があまりにも抽象的すぎると、許可行政庁から修正を求められる場合があります。

➁資本金の額

法律上は1円でも可能なのですが、実務上は営業保証金(または分担金)の支払い能力を考慮するべきといえます。

保証協会に加入する場合

入会金等で約150万円から200万円の現金が必要です。

供託する場合

1,000万円を法務局に供託する必要があります。

初期費用を賄いきれない資本金額は、銀行融資や免許審査の継続性の観点から不利になることがあります。

➂事務所の選定

宅建業免許の落とし穴は事務所要件にあります。

自宅兼用

原則NGですが、生活スペースと完全に分離されているなどの要件がクリアできれば認められます。

レンタルオフィス・シェアオフィス

個室であり、かつ他社を通らずに出入りできる構造でなければ、認められないケースがほとんどです。設立の登記はしたけれど、そこでは免許が下りないという状況では目もあてられません。物件契約前に必ず間取り図を確認しましょう。

➃役員と専任の宅建士の確保

専任の宅建士

事務所ごとに、業務に従事する者の5人に1人以上の割合で設置。

欠格要件

役員の中に、過去宅建業法違反などで罰金刑を受けた人がいると、免許そのものが下りません。

会社設立から免許取得までのロードマップ

具体的な手順を時系列で整理しました。

ステップ内容注意点
1.基本事項の決定商号、目的、本店所在地、資本金、役員事務所の独立性を最優先で確認
2.定款作成・認証公証役場で認証を受ける
(株式会社のみ)
事業目的に宅地建物取引業が入っているか
3.資本金の払込発起人の個人口座へ振込通常のコピーが設立登記に必要
4.設立登記申請法務局へ申請
(この日が会社設立日)
登記完了まで約1週間~10日
5.免許申請書類作成行政書士へ依頼、または自作事務所の写真(外観・内観)が必須
6.免許申請知事または大臣へ提出標準処理期間は約30日~40日
7.免許通知・供託保証協会への加入、または供託この時点ではまだ営業不可
8.営業開始免許証の交付、供託届出の完了営業開始

失敗しないためのチェックリスト

商号(社名)に制限はないか?

〇〇不動産といった名称は自由ですが、他社の有名ブランドを模したものは不正競争防止法に抵触する恐れがあります。

役員は常勤か?

専任の宅建士だけではなく、政令で定める使用人や役員の常勤性も厳しくチェックされます。他社の役員を兼任している場合は注意が必要です。

事務所の契約名義は法人か?

設立前は個人名義で仮契約し、設立後に法人名義へ切り替える(または承諾書を得る)必要があります。

まとめ

会社設立はゴールではなく、宅建業を始めるためのスタートラインです。設立した後に、事務所が要件を満たしていないので、引っ越しして登記をやり直す、なんて事になったら損失は計り知れません。
宅建業の免許取得を前提とした法人設立は、最初から要件を熟知した行政書士へ依頼するのが最も近道といえます。当事務所では、会社設立から宅建業免許申請、その後の保証協会加入手続きまで、ワンストップでサポートしております。お気軽のご相談ください。
グラス湘南行政書士事務所