建設業を取得することは、事業の発展に向けた大きな一歩です。そして建設業許可後も継続的に事業を営み、社会的な信頼を高めるためには、建設業法をはじめとする法令順守(コンプライアンス)体制の構築が不可欠です。
適切なコンプライアンス体制がなければ、予期せぬ行政指導や営業停止処分、さらには社会的信用の失墜といった深刻なリスクに直面する可能性があります。
今回は、建設業許可取得後の建設業者が安心して事業を継続するためのコンプライアンス体制構築について解説します。
建設業におけるコンプライアンスの重要性
建設業は、公共の安全と国民生活に深く関わる事業といえます。そのため、建設業法、労働安全衛生法、刑法など、遵守するべき法令が多岐にわたります。
法令違反が招く深刻なリスク
建設業法に違反した場合、以下の厳しい処分が下される可能性があります。
指示処分・営業停止処分
違反の内容に応じて、国土交通大臣または都道府県知事から業務改善の指示処分や、最長1年間の営業停止処分が下されます。
許可の取消し
特に悪質な違反や、営業停止処分中に改善が見られない場合、建設業許可が取り消され、事業継続が不可能になる場合があります。
罰則(罰金・懲役)
無許可での建設業の営業など、特定の違反行為に対しては、罰金や懲役といった刑事罰が科せられます。
社会的信用の失墜
指導や処分は公表されるため、金融機関からの融資停止、元請・発注者からの取引停止など、経営に致命的な影響を与えます。
違反は「知らなかった」では済まされない
法令違反は知らなかったり、うっかりミスでは済まされないところがあります。経営陣から現場の作業員まで、全従業員が法令に対する正しい知識を持ち、日常業務の中で遵守を徹底することが求められます。
コンプライアンス体制構築の3つの柱
効果的な建設業のコンプライアンス体制は、以下の3つの要素を軸に構築されます。
①法令遵守の仕組みづくり(内部統制の構築)
コンプライアンスを個人の努力に頼るのではなく、組織全体で実行するための仕組みを構築します。
建設業法、労働基準法、安全衛生法など、事業に関連する法令を網羅したコンプライアンス規程(行動規範)を策定します。
規程への明記
建設業法上の主任技術者・監理技術者の配置義務、契約書面の交付義務、一括下請(丸投げ)の禁止などを具体的に明記します。
全従業員への周知
規程を全従業員に配布し、理解度を確認するための研修を定期的に実施します。
チェックリストの活用
契約締結時や現場着工時、完成引渡し時など、業務の節目ごとに法令遵守を確認するチェックリストを導入します。
定期的な内部監査
専任の担当者や外部の専門家による定期的な内部監査を実施し、違反リスクを早期に発見し是正します。
②知識を定着させる継続的な教育を実施
仕組みがあっても、従業員に知識がなければ機能しません。法令知識を定着させるための継続的な教育が重要です。
全ての従業員を対象とする研修に加え、役員・管理職・営業部門、現場技術者など、役割や業務内容に応じた研修を実施します。
現場技術者向け
主任技術者・監理技術者の職務、適正な施工体制台帳の作成方法、安全衛生管理のポイントなどに焦点を当てます。
営業・事務部門向け
契約書面記載事項の不備防止、顧客が求める発注・支払いの適正化、不当要求の対応方法などを学習します。
③問題を早期発見・是正する報告・相談窓口の設置
万が一、法令違反の疑いが生じた場合に、組織の隠ぺい体質を防ぎ、問題を早期に是正できる風通しの良い環境を整備します。
匿名性の確保
通報者が不利益を被らないよう、匿名性を確保し、プライバシーを保護する仕組みとルールを明確にします。
外部窓口の活用
外部の専門家を窓口とすることで、社内では言い出しにくい情報も集まりやすくなり、より客観的かつ公正な調査。対応が可能になります。
当事務所では、コンプライアンス体制構築をサポートします。
現状の法令遵守診断
まずは、現状の業務プロセス、契約書類、組織体制などをヒアリングし、建設業法や関係法規との適合性を客観的に診断します。
実効性のある規程・マニュアルの作成
特定されたリスクを踏まえ、事業規模や業務内容に合ったコンプライアンス規程、各種チェックリスト、マニュアルなどの文書作成を支援します。標準的なひな形ではなく、現場で使える文書を作成します。
継続的なサポート体制の構築
規程作成で終わりではありません。定期的な法令改正情報の提供、従業員研修の実施など、構築したコンプライアンス体制が形骸化しないよう、継続的にサポートしていく体制を構築します。
まとめ
建設業許可後のコンプライアンス体制構築は、行政処分を避けるためのリスク回避のでならず、優良な建設業者として発注者や社会から高い評価を受けます。これは、他者との差別化や、公共工事入札における経営事項審査(経審)での加点など、直接的な競争力強化に繋がります。
「グラス湘南行政書士事務所」