建設業を営む皆様にとって、工事現場から排出される産業廃棄物の処理は、事業継続や環境保存に、なくてはならない業務といえます。
自社で収集、運搬を行う場合や他社から排出される廃棄物の運搬を受注する場合に、必要となるのが産業廃棄物収集運搬業許可です。
この許可を取得することは、法律を守るということだけではなく、会社経営に大きなメリットもたらすといえます。
今回は、建設業者が産業廃棄物収集運搬業許可を取得することのメリットと、許可を得るために必要な条件について解説します。
(1) 建設業者が産業廃棄物収集運搬業を取得する5つのメリット
建設業者がこの許可を取得することのメリットは、以下の5つのメリットが挙げられます。
メリット1:コスト削減と作業効率の向上
工場現場から発生した産業廃棄物を、外部の収集運搬業者に依頼せず自社で行えるため、コスト削減に繋がります。これは自社で中間処理場や最終処理場まで、運搬できる点がメリットといえます。
メリット2:元請業者としての競争力強化と差別化
特に元請の立場で、工事を請け負う場合、自社で産業廃棄物までを一貫して行える体制は、大きな強みといえます。また、公共工事など、一部の大型案件の入札では、許可取得が参加資格となっていることもあります。
メリット3:新たな収益源の確保
許可を取得することで、自社が排出した廃棄物だけではなく、他社(排出事業者)が排出した産業廃棄物の収集運搬を請け負うことができるようになります。
メリット4:法令遵守(コンプライアンス)の徹底
廃棄物処理法では、無許可で他社の産業廃棄物の収集運搬を行うと、業務停止命令や許可の取り消しなどの行政処分の対象となります。この許可を取得することで、法令遵守(コンプライアンス)に繋がります。
メリット5:災害廃棄物処理への貢献
災害発生時には、自治体からの要請に応じて、災害廃棄物の処理に携わることが可能になる場合があります。地域企業として、社会貢献に繋がる活動を行うことができます。
(2) 許可取得のためにクリアすべき5つの要件
産業廃棄物収集運搬業許可は、廃棄物の適正処理という社会的な責任が伴うため、建設業許可申請と同様に、申請には厳しい要件が定められています。
要件1:講習会の受講と修了
産業廃棄物を適正に処理するために、必要な専門知識と技能を有していることが求められます。それは「公益財団法人日本産業廃棄物処理振興センター」が実施する「新規許可申請に関する講習会」を受講し、修了証を取得する必要があります。法人の場合は、代表者または役員、個人の場合は本人などが受講対象となります。
要件2:経理的基礎の要件
事業を的確かつ継続的に行うために、財産的基礎があることが求められます。これは、処理途中の廃棄物を放置して事業を廃止してしまう事態を防ぐためです。
経理的基礎の要件を下記へ記載します。
①原則として、直近3年分のいずれかの決算で、黒字であること。
②負債が資産を上回っていないこと(債務超過)。
ただし、債務超過の場合でも、事業改善計画書を提出するなど、改善の見込みを示すことで、許可が得られる場合があります(各自治体により判断基準が異なります)。
建設業許可のように「500万円以上の資産」という明確な基準ではない場合が多いのですが、経営の安定性が重要視されます。
要件3:運搬施設の要件
産業廃物を運搬するためには、適切な施設・設備を有している必要があります。
例えば、産業廃棄物が飛散、流失、悪臭などが漏れる恐れのない構造であることや、シートを掛けるなどの必要な措置を講じる必要があります。
また、車両の駐車場確保も必要です。申請者が運搬車両について、使用権原を有していること(自己所有または賃貸借契約)を証明する必要があります。
運搬車両には、社名、許可番号、産業廃棄物の収集運搬である旨を見やすい場所に表示する義務もあります。
要件4:事業計画の的確性
産業廃棄物の種類、運搬量、運搬先、具体的な収集や運搬方法および環境保全措置などを記入した事業計画が、適法で実現可能なものである必要があります。
要件5:欠格要件に該当しないこと
申請者、役員、政令で定める使用人などが、産業廃棄物処理法などに違反し、罰金以上の刑を受けてから5年を経過していない、暴力団員である、破産者で復権を得ていないなど、法律で定められた欠格事由に該当しないことが必要になります。
まとめ
産業廃棄物収集運搬業許可は、建設業者にとってコンプライアンスを徹底し、コスト削減に繋がるなど、新たなビジネスチャンスを創出するための有効な経営展開といえます。
許可申請の手続きは、複数の要件を厳密に満たす必要があり、提出書類も多岐に渡ります。更には各自治体のローカルルール(独自のルール)も考慮する必要があります。
申請手続きに不安がある方は、ぜひ当事務所へご相談ください。