産業廃棄物収集運搬業の許可は、取得した後の維持管理こそが、事業を継続する上で重要となります。
万が一、許可が取り消されるような事態になれば、その日から産廃業ができなくなるだけではなく、5年間の欠格期間という厳しいペナルティが課され、再取得も困難になります。
今回は、神奈川県内で産廃業に携わる事業者様に向けて、許可取り消しに繋がるNG行為と、日々の運用で注意するべきポイントを解説します。
許可取り消しに直結するNG行為の代表例
産業廃棄物処理法には、許可を取り消さなければばらない必要的取消と、取り消すことができる任意的取消の規定があります。特に注意するべきは以下のケースです。
①欠格事由への該当
役員や株主が欠格事由に該当してしまうケースです。
刑事罰を受ける
法令を問わず、懲役刑や一定の罰金刑(廃棄物処理法違反や傷害罪など)が確定した場合。
役員の変更届を怠る
新しく就任した役員が、実は他社で許可取り消しを受けてから5年経過していなかった場合など。
特に注意したいのが、交通違反や個人的なトラブルでの罰金刑です。事業とは無関係と思われがちですが、役員が罰金刑以上の刑に処されると、その瞬間に会社全体の許可が取り消しの対象となります。
②名義貸し
自社の許可証を他人に貸して、その他人が収集運搬業務を行うことは厳格に禁止されています。
例えば、急ぎの案件で、協力会社の車両に自社の看板を付けて走らせたといった行為も名義貸しとみなされます。発覚すれば一発で許可取消となります。
③不適切な処分、投棄への加担
自ら不法投棄を行わなくても、無許可業者への再委託やマニフェストの虚偽記載は重い罪に問われます。運搬先が適切な処分場であることを確認せずに荷を下ろす行為は、業としての信頼を揺るがすNG行為となりますので注意が必要です。
変更届の提出失念による落とし穴
許可の維持管理において、変更届の提出失念があります。以下の変更があった場合、定められた期間内に届け出なければなりません。
・役員の変更(退任・就任・氏名変更)
・住所の変更(本店・支店)
・車両の増減・入れ替え
・駐車場の変更
通常は10日以内、法人の登記事項証明書を添付する場合は30日以内に届け出なければなりません。
変更届を放置している状態で立入検査が入った場合、改善命令の対象となり、最悪の場合は許可の更新が認められないこともあります。
維持管理で特に注意するべき3つのポイント
神奈川県で事業を行う場合、県知事許可だけでなく、横浜市、川崎市、相模原市、横須賀市の各政令指定都市のルールにも留意する必要があります。日々の運用では以下の3点を徹底しましょう。
①車両の表示と書面の携帯
収集運搬車には、定められた形式で産業廃棄物収集運搬車である旨、氏名または名称、許可番号を表示しなければなりません。また、許可証の写しとマニフェストの携帯も義務です。これらが不足している状態で指導を受けると、行政処分の対象となる可能性があります。
②講習会の有効期限チェック
産廃許可は5年(優良認定の場合は7年)ごとに更新が必要です。更新の際には、日本産業廃棄物処理振興センター(JWNET)が実施する講習会の修了証が必要となります。
時期によって、講習会の予約が取りにくい状況があるため、有効期限が切れる1年前には受講計画を立てるのが安全です。
③実績報告書の提出(毎年)
毎年6月30日までに、前年度の運搬実績を報告する義務があります。これは許可の更新とは別の手続きです。実績がなくても報告が必要な自治体が多いため、提出漏れがないようスケジュール管理を徹底することが肝要です。
※横浜市などの自治体では、収集運搬業の実績報告が廃止されたことが明示されています。神奈川県内の各地自体においても、処分業許可に基づく実績報告の義務がなくなっています。
万が一、行政処分を受けそうになったら
行政側もいきなり許可を取り消すことは稀ですが、改善の兆しが見られない、あるいは悪質な隠ぺい工作があると判断されれば、厳しい判断が下されます。
神奈川県内でも、法令遵守(コンプライアンス)に対する意識は年々高まっています。特に建設業界や不動産業界と密接に関わる収集運搬業においては、許可の維持が受注の生命線となります。
まとめ
産廃収集運搬業の許可を維持することは、リスクマネジメントそのものともいえます。
・役員に欠格事由がないか定期的に確認する
・変更事項があれば速やかに届け出る
・マニフェストと現物の整合性を常にチェックする
これらを徹底することで、不意の許可取り消しリスクを最小限に抑えることができます。
日々の業務が忙しく、管理まで手が回らないという事業者様も多いかと思います。書類整備や期限管理など、ぜひ当事務所へお気軽にご相談ください。
「グラス湘南行政書士事務所」