クレーンリース業を営む方にとって、建設業許可が必要かどうかの判断は、事業の適法性を左右する重要なテーマといえます。
特に建設現場では、クレーン車は契約形態によって、建設業と見なされる場合があります。
今回は、クレーンリース業における許可の要否から取得のポイントまで、実務的な観点で解説します。
クレーンリース業に建設業許可は必要なの?
建設業法における建設業とは、建設工事の完成を請負うことを指します。しかし、建設現場で行われる業務には機械の貸与と工事の施工が混在しているケースが少なくありません。
事業内容が貸出のみのつもりでも、実態が工事の施工であると行政庁に判断された場合、建設業法第3条に基づき、無許可営業とみなされるリスクがあります。
特に近年、コンプライアンス意識の向上に伴い、元請業者から建設業許可証の写しを求められる機会は増加しています。許可を取得していないことで、元請案件が取りづらくなる傾向にあります。
リースか請負か?
クレーンリース業において、許可の要否を分けるのは指揮命令系統と工事に対する責任が挙げられます。
➀機械のみの賃貸借(許可不要)
これは、クレーン車両という動産を貸し出す契約です。
特徴
オペレーターは借り手側が手配する、または貴社の機械を借り手が操作する。
判断
貴社は機械をメンテナンスして貸す義務を負うのみとなり、現場工事の結果に対して責任を負いません。これは賃貸業に該当し、建設業許可は不要となります。
➁オペレーター付きリース(許可必要)
オペレーターが貴社の社員である場合、その社員が現場でクレーンを操作して物を吊り上げる、運ぶ、据え付けるという行為は、建設業法上の施工にあたります。
特徴
貴社から派遣されたオペレーターが、工事の進捗に合わせて作業を行う。
判断
契約名目がリース契約であっても、実態がクレーンによる施工であれば、それは建設工事の請負とみなされます。請負金額が500万円以上(建築一式工事は1,500万円以上)に達する場合、建設業許可が必須となります。
クレーンリース業が取得するべき業種とは?
とび・土工・コンクリート工事業
鉄骨の組立て、クレーンを用いた土工作業など、最も汎用性が高く、クレーン事業者が最初に検討する業種といえます。
機械器具設置工事業
工場のライン設備やプラントの重量物など、特殊な据付工事を伴う場合に適しています。
鋼構造物工事業
鉄骨構造物の架設など、特定の工事に特化して請け負う場合に選択します。
業種の判断を誤ると、将来的に他の工事を受注した際に許可の範囲外となってしまう恐れがありますので注意が必要です。
まずは貴社の現在の業務内容と、今後展開していく業務を整理して選択することが肝要です。
許可取得の5つの要件
許可を取得するには、以下の5つの要件をクリアする必要があります。
➀常勤役員等(経営業務の管理責任者)の設置
役員として5年以上、建設業の経営業務を管理した経験が必要です。この経験が不足している場合、法人の役員構成などを再検討する必要があります。
➁営業所技術者(専任技術者)の設置
営業所ごとに、国家資格(土木施工管理技士など)を持つ者、あるいは10年以上の実務経験を持つ技術者を配置する必要があります。
➂財産的基礎
一般建設業許可では、自己資本が500万円以上あること、あるいは500万円以上の資金調達能力が必要です。直近の決算書が重要となります。
➃誠実性
過去に建設業法や他の法律違反など、処分を受けたことがないかなどが問われます。
⑤社会保険への加入
健康保険、厚生年金、雇用保険などの社会保険への加入は絶対条件です。未加入の場合、許可は下りません。
実務上の注意点
クレーンリース業で許可申請を行う際、実務経験の証明には注意が必要です。
現場での工事記録、注文書、請求書などの書類が整っていないと、10年以上の実務経験があったとしても客観的な証明として認められません。
また、労働者派遣法との抵触にも注意しましょう。もし、貴社のオペレーターが、現場で建設会社の監督の指示を直接受けて作業している場合、それは偽装請負(実質的な労働者派遣)と判断されるリスクがあります。請負として適法に進めるには、貴社内で安全管理計画を策定し、現場のオペレーターに対し貴社自らが指揮命令を行う体制を構築しなければなりません。
まとめ
クレーンリース業において建設業許可を取得することは、建設工事の請負人として、責任ある施工ができる事業者という対外的な証になります。
許可を取得することによって、これまで受注できなかったオペレーター付きの大型案件も受注できるようになり、元請業者との継続的な取引に繋がりやすくなるといえます。
建設業のルールは法改正が頻繁に行われております。最新の法令動向を踏まえ、貴社の事業がスムーズに進むサポートをいたします。
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