昨今の産廃業界において、デジタル化の波は止まりません。
今回は、改めて整理しておきたい電子マニフェスト導入義務化の現状と、運搬業者が準備するべきポイントについて解説します。

電子マニフェストとは?

そもそもマニフェスト(産業廃棄物管理票)とは、廃棄物の処理が適正に行われてきたかを確認するための重要な伝票です。これまでは複写式の紙マニフェストが主流でしたが、現在は日本廃棄物処理振興センターが運営するJWNETを利用した電子マニフェストへの移行が急速に進んでいます。

電子化が進む背景には、以下の3つの大きなメリットがあります。

事務作業の大幅削減

紙の保管(5年間)が不要になり、法定報告(実績報告)の手間もなくなります。

コンプライアンスの強化

記載漏れや虚偽報告をシステム上で防ぐことができ、法定違反のリスクを下げられます。

透明性の確保

リアルタイムで処理状況を把握できるため、透明性の確保に繋がります。

義務化の対象はどこまで?

ここで、義務化の範囲について正確に押さえておきましょう。

法的な義務化の対象

2020年4月より、前々年度の特別管理産業廃棄物の発生量が50トン以上の事業場を持つ排出事業者は、電子マニフェストの使用が義務付けられました。

実質的な義務化の流れ

法律上の義務がなくても、大手ゼネコンや製造業などの排出事業者は、自社のDX(デジタルトランスフォーメーション)推進やコンプライアンス管理のために、電子マニフェストの利用が契約の条件となっている企業もあります。
つまり、収集運搬業者にとって電子マニフェストへの対応は、法規制への対応以上に商機を逃さないための条件となっているのです。

収集運搬業者が準備するべき3つのステップ

電子マニフェストを導入するといっても、何をすればいいのか分からないという方もいらっしゃるでしょうか。

準備するべき事項を下記へまとめました。

➀JWNET(電子マニフェストシステム)への加入

まずは運営主体である日本廃棄物処理振興センターへ加入手続きを行い、IDを取得する必要があります。

・加入区分:収集運搬業者として加入します。
・料金:登録料や年会費が発生します。(車両数等によって変動)。
・注意点:手続き完了まで数日から1週間程度かかるため、余裕を持って申請しましょう。

➁運用端末(スマホ・タブレット)の整備

電子マニフェストは、現場で運搬担当者が操作する必要があります。

デバイスの支給

担当ドライバーが操作するためのスマホやタブレットを準備します。

アプリの導入

JWNETの公式アプリや、連携している民間ソフトをインストールし、操作に慣れておく必要があります。

➂従業員への教育とオペレーションの変更

操作説明

現場でどのように受領確認をするのか、運搬終了報告をどのように上げるのかをシミュレーションします。

紙との併用期間

すべてが一度に切り替わるわけではありません。当面は紙の現場と電子の現場が混在するため、仕分けのルール作りが重要です。

電子化で変わる!運搬業者のメリットと注意点

導入初期はコストや手間がかかりますが、長期的に見れば運搬業者にとってもメリットは絶大です。

項目紙マニフェスト電子マニフェスト
保管義務5年間のファイリングが必要システム保存のため不要
運搬終了報告排出事業者へ紙を郵送・持参システム上で即時完了
行政報告毎年、実績報告書の提出が必要システムが集計するため不要
紛失リスク紛失時の再発行手続きが煩雑データの紛失リスクが極めて低い

電子マニフェストには報告期限が厳格に定められています。運搬終了後、3日以内に報告を行わなければなりません。これを超過するとアラートが出たり、排出事業者に通知が行ったりするため、現場での即時入力が鉄則となります。

まとめ

神奈川県内でも、特に横浜、川崎エリアの現場では電子マニフェストの普及率が高くなっています。また、県や市の公共事業においても、電子化への対応が評価や選定の前提となるケースが増えています。
電子マニフェスト化は、最初は面倒に感じるかもしれません。しかし、一度仕組みを作ってしまえば、膨大な書類から解放され、より本業である運搬に集中できる環境が整います。
当事務所は、神奈川の産廃業者の皆様が、時代の変化をチャンスに変えられるよう全力でバックアップいたします。
グラス湘南行政書士事務所