建設業を営む上で、一定規模以上の工事を請け負うために必要となるのが建設業許可です。この許可申請を行う際、多くの方が最初の段階で疑問に感じられるのが、ご自身が請け負う工事が建築一式工事に該当するのか、それとも専門工事に該当するのか、という点です。
この違いを正しく理解することは、適切な業種で許可を取得し、その後の事業運営を円滑に進めるための鍵となります。万一、誤った業種で申請すると、最悪の場合、許可が下りなかったり、請け負える工事の範囲が限定されてしまったりする可能性があるため、注意が必要です。
今回は、建築一式工事と専門工事の明確な違いと、それぞれの許可を取得する上でのポイントを解説します。

大まかな分類(19種類の建設業許可)

現在、建設業法で定められている建設業の許可業種は、以下の2種類に大別される一式工事と27種類の専門工事です。

一式工事:2種類

・建築一式工事
・土木一式工事

専門工事:27種類

・27種類

建設工事の種類
大工工事左官工事とび・土工・コンクリート工事
石工事屋根工事電気工事
管工事タイル・れんが・ブロック工事鋼構造物工事
鉄筋工事舗装工事しゅんせつ工事
板金工事ガラス工事塗装工事
防水工事内装仕上工事機械器具設置工事
熱絶縁工事電気通信工事造園工事
さく井工事建具工事水道施設工事
消防施設工事清掃施設工事解体工事

このうち、特に混同されやすいのが建築一式工事と、それ以外の専門工事です。

建築一式工事とは?その定義と特徴

建築一式工事とは、読んで字のごとく、総合的な企画、指導、調整のもとに建築物を建設する工事を指します。

①総合的な元請けとして

建築一式工事の最大のポイントは、その総合性にあります。
通常、複数の専門工事を有機的に組み合わせて一つの建築物を完成させる、大規模で複雑な工事です。多くの場合、施主(お客様)から直接請け負う元請けとして、工事全体の工程管理、品質管理、安全管理、下請け業者の指導・調整を一手に担います。

②許可の万能性はない

注意が必要なのは、建築一式工事の許可があれば、その建築物に付随する全ての専門工事を請け負えるわけではないという点です。
例えば、建築一式工事の許可業者が、請け負った建築工事の中の電気工事部分を下請けに出さずに自社で施工する場合、その電気工事の金額に関わらず電気工事業の許可が別途必要となります。
ただし、請負金額が4,000万円未満(木造住宅の場合は3,000万円未満かつ延べ面積150㎡未満)の軽微な工事であれば、専門工事の許可がなくても自社で施工することは可能です。
建築一式工事の許可は、あくまで総合的な管理・調整を行うための許可であり、個別の専門工事を行うための許可ではない、という点はご注意ください。

専門工事とは?その定義と特徴

専門工事とは、29業種のうち建築一式工事と土木一式工事を除く27業種を指し、個別の技術や技能に特化した工事です。

①専門に特化した業者として

専門工事のポイントは、その特化性です。
例えば大工工事業は木材の加工・取り付けに特化し、電気工事業は電気設備の設置に特化しています。多くの場合、前述の建築一式工事を請け負った元請け業者から発注を受ける下請けとして、工事の一部を担当します。もちろん、専門工事のみを単独で施主から直接請け負うこともあります。

②許可の必須性

専門工事の許可業者は、その許可を持たないと、500万円以上(消費税込)の該当する専門工事を請け負うことができません。
自社が常態的に行っている専門工事があれば、請負金額が500万円未満であっても、将来的な事業拡大を見据えて許可を取得しておくことが推奨されます。

スムーズな申請のための判断基準(実態に合った業種を選ぶ)

ご自身の事業実態に合わせて、どちらの許可を取得するべきかを判断する際の基準は以下の通りです。

項目建築一式工事専門工事
主な業務内容複数の専門工事を調整し、建築物全体を完成させる総合的な管理・施工特定の技術・技能に特化し、その部分の施工を行う
施主との関係主に元請けとして工事全体を請け負う元請け・下請けの両方があり得る
許可が必要な場合総合的な企画・指導・調整のもとに建築工事全体を請け負う場合単独の専門工事を500万円以上(税込)で請け負う場合
自社施工自社で専門工事を施工する場合は、別途専門工事の許可が必要(軽微な工事を除く)その業種の工事を500万円以上で請け負うなら必須

まとめ

建設業許可申請は、自社の実態と法律の規定を照らし合わせる、非常に専門的な作業といえます。

・建築一式工事は、建築物全体の総合的な管理・調整を行うための許可。
・専門工事は、特定の技術による個別の施工を行うための許可。
・自社で専門工事を施工する場合は、建築一式工事の許可を持っていても、その専門工事の許可が必要になることが多い。

この違いを正しく理解し、自社が行う事業内容に合わせて必要な業種を漏れなく申請することで、許可取得後のコンプライアンス遵守と、スムーズな事業展開が可能になります。
ご自身の事業内容でどの業種が適切が判断に迷われた場合は、ぜひ当事務所へお気軽にご相談ください。円滑な手続きをサポートいたします。
グラス湘南行政書士事務所