不動産取引を営むためには宅地建物取引業免許(以下、宅建業免許)の取得が法律で義務付けられています。この免許を持たずに不動産売買、賃貸仲介などを業として行うことはできません。
不動産会社の立ち上げで最初の壁といえるのが、この宅建業免許の要件です。特に専任の宅地建物取引士(以下、専任の宅建士)や事務所のルールについては、誤解が多いポイントといえます。
今回は、宅建業免許を取得するために満たすべき具体的な要件をお伝えします。

宅建業免許の要件は主に3つ

宅建業免許を取得するためには、主に以下の3つの要件をクリアする必要があります。

①人的要件(専任の宅建士の設置)
②物的要件(事務所の設置・独立性)
③欠格要件に該当しないこと(信頼性・法令遵守)

人的要件:専任の宅建士の設置ルール

宅建業を適切に営む上で、専門的な知識を持つ人材の確保は不可欠です。それが専任の宅建士の設置義務です。

専任の宅建士とは?

専任の宅建士とは、その事務所に常勤し、専ら、宅建業の業務に従事する宅地建物取引士のことです。他の会社の役員や、他の業務を兼任している場合は、原則として専任とは認められません。

設置人数の割合

設置が必要な専任の宅建士の人数は、その事務所で働く従業員5人につき1人以上と定められています。

(宅地建物取引士の設置)
第31条の3
 宅地建物取引業者は、その事務所その他国土交通省令で定める場所(以下この条及び第50条第1項において「事務所等」という。)ごとに、事務所等の規模、業務内容等を考慮して国土交通省令で定める数の成年者である専任の宅地建物取引士を置かなければならない。
2 前項の場合において、宅地建物取引業者(法人である場合においては、その役員(業務を執行する社員、取締役、執行役又はこれらに準ずる者をいう。))が宅地建物取引士であるときは、その者が自ら主として業務に従事する事務所等については、その者は、その事務所等に置かれる成年者である専任の宅地建物取引士とみなす。
3 宅地建物取引業者は、第1項の規定に抵触する事務所等を開設してはならず、既存の事務所等が同項の規定に抵触するに至つたときは、2週間以内に、同項の規定に適合させるため必要な措置を執らなければならない。

・従業員が1人~5人:最低1人
・従業員が6人~10人:最低2人
・従業員11人~15人:最低3人

申請時に提出する専任性を証明する書類は、許可行政庁が最も厳しくチェックする項目の一つです。特に申請者が別の会社で役員を兼任している場合などは、専任性が保たれているか理由を明確に説明できる準備が必要です。

物的要件:事務所の設置に関するルール

宅建業を営む事務所には、法令で定められたいくつかの要件があります。

事務所の独立性と継続性

事務所として認められるには、以下の点が重要になります。

独立性(明確な区画)

他の業種の事務所や自宅などの生活空間とは明確に区画されている必要があります。パーテーション、固定された仕切りなどで物権的に区切られていることが求められます。同一フロア内で他社と同居する場合も、出入り口や執務スペースが完全に分離・独立している必要があります。

継続性・使用権原

事業を継続して行うための使用権原(賃貸借契約など)が確保されている必要があります。一時的な利用を目的としたレンタルオフィスや、コワーキングスペース内の区画は、原則として独立性が認められにくいため注意が必要です。

標識の掲示

宅建業免許を取得後、事務所の見やすい場所に標識(業者票)を掲示することも義務付けられています。
また、バーチャルオフィスでの申請は、物理的な独立性を証明できないため認められません。また、自宅の一部を事務所とする場合は、専用の出入り口があるか、生活スペースと完全に分離されているかなど、厳格に審査されます。事務所選びには、免許申請の成否を分ける重要なポイントです。

欠格要件:信頼性を担保するための基準

宅建業は社会的な信用が不可欠な取引を行うため、申請者や役員などが、法令に違反する行為を行っていないか、財産的な信用力があるかが審査されます。これを欠格要件と呼びます。具体的には、以下のいずれかに該当する場合、免許を取得することができません。

・免許不正取得、業務停止処分などに該当し、その処分の日から5年を経過していない者
・破産手続き開始の決定を受けて復権を得ていない者
・禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わり、または執行を受けることがなくなった日から5年を経過していない者
・宅建業法に違反し、罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、またはその執行を受けることがなくなった日から5年を経過していない者
・暴力団員または暴力団員でなくなった日から5年を経過していない者
・心身の故障により宅建業を適正に営むことができない者として国土交通省令で定めるもの。

財産的要件:営業保証金の供託または保証協会への加入

上記3つの要件となりますが、免許取得後、業務を開始する前までに営業保証金を供託するか、保証協会に加入する必要があります。これは、万が一取引で損害を与えてしまった場合の消費者保護を目的としています。
特に供託に比べ、保証協会への加入は、初期費用を大幅に抑えられるため新規開業のほとんどの方がこちらを選択します。

まとめ

宅建業免許の取得は、提出書類の多さや、専任の宅建士や事務所のルールに関する厳格な審査基準など、非常に煩雑な手続きです。人的要件と物的要件は許可行政庁との事前相談や綿密な準備が不可欠です。
当事務所ではお客様が安心して本業に専念できるよう、書類作成から行政庁との調整、免許取得後の届出までをトータルでサポートしております。お気軽にご連絡ください。
グラス湘南行政書士事務所