建設業を営むには、原則として建設業法に基づき、建設業許可を取得する必要があります。しかし、全ての工事に許可が必要なわけではありません。
建設業法第3条ただし書きでは「軽微な工事」については許可が不要と定められています。

建設業の許可

第3条 建設業を営もうとする者は、次に掲げる区分により、この章で定めるところにより、二以上の都道府県の区域内に営業所(本店又は支店若しくは政令で定めるこれに準ずるものをいう。以下同じ。)を設けて営業をしようとする場合にあつては国土交通大臣の、一の都道府県の区域内にのみ営業所を設けて営業をしようとする場合にあつては当該営業所の所在地を管轄する都道府県知事の許可を受けなければならない。ただし、政令で定める軽微な建設工事のみを請け負うことを営業とする者は、この限りでない。

 建設業を営もうとする者であつて、次号に掲げる者以外のもの

 建設業を営もうとする者であつて、その営業にあたつて、その者が発注者から直接請け負う一件の建設工事につき、その工事の全部又は一部を、下請代金の額(その工事に係る下請契約が二以上あるときは、下請代金の額の総額)が政令で定める金額以上となる下請契約を締結して施工しようとするもの

軽微な工事とはどんな工事?

建築一式工事の場合

工事1件の請負代金の額が1,500万円未満、または延べ面積が150㎡未満の木造住宅工事

建築一式工事以外の場合

工事1件の請負代金の額が500万円未満

「附帯工事」は、この「軽微な工事」とは異なる考え方で、許可が必要な工事に付随して行う工事のことをいいます。

附帯工事とは何か?

附帯工事とは、ある建設工事を行うにあたり、その主たる工事に付随して行う、他の種類の建設工事を指します。例えば、内装工事の請負業者が、内装工事を行う際に、その工事に必要な電気工事や配管工事の一部を合わせて請け負う場合がこれに該当します。

(附帯工事)

第4条 建設業者は、許可を受けた建設業に係る建設工事を請け負う場合においては、当該建設工事に附帯する他の建設業に係る建設工事を請け負うことができる。 

主たる工事の建設業許可があれば、その附帯工事を行うことができるとされています。この規定は、複数の業種にまたがる工事を円滑に進めるための措置といえます。

附帯工事の定義と注意点

附帯工事と認められるには、以下の3つの要件を全て満たす必要があります。

要件1:主たる工事と密接な関係があること

附帯工事は、主たる工事を行うために技術的、機能的、または経済的に一体不可分である必要があります。例えば、内装工事に付随する照明器具の取り付けは、一体不可分と認められやすいといえます。

要件2:主たる工事が許可を受けた業種であること

これは大前提ではありますが、主たる工事が建設業許可を受けた業種でなければなりません。例えば、許可を持たない業者が請け負った500万円以上の内装工事に付随する電気工事は、附帯工事とは認められません。

要件3:附帯工事の請負代金の額が、主たる工事の請負代金の額を上回らないこと

附帯工事の金額が主たる工事の金額を上回る場合、「附帯」とはいえません。この場合、附帯工事として扱うことができず、その工事の大部分を占める工事として別途、その業種の建設業許可が必要となります。

附帯工事の判断に迷ったら?

附帯工事であるかどうかは、個別のケースで慎重な判断が必要です。曖昧なまま工事をすすめた結果、附帯工事と判断されてしまうと、建設業法違反で罰則の対象となる可能性がありますので注意が必要です。

特に注意が必要な具体的なケースを挙げます。

複数業種にまたがる工事の請負代金の配分

契約書上で主たる工事と附帯工事の金額を明確に分け、附帯工事の金額が主たる工事の金額を上回らないように注意しましょう。

「軽微な工事」との混同

「軽微な工事」の請負代金500万円未満という上限は、あくまで単独で完結する工事に適用されるものです。附帯工事の金額が500万円以上であっても、主たる工事の許可があれば請け負える可能性があります。

「付帯工事」と「附帯工事」の違いとは?

「付帯工事」と「附帯工事」は同じ意味に思えますが、厳密には意味合いが異なります。
・附帯工事・・建設業法上の概念で、許可を受けた主たる工事に付随する他の種類の工事。
・付帯工事・・建設業界で一般的に使われている言葉で、単に追加や付属で発生する工事を指します。例えば、解体工事に伴って発生する廃棄物処理や整地作業などがこれに該当します。「付帯工事」には法定な効力や許可の例外規定はなく、あくまで商慣習上の言葉であるという点です。あくまで「附帯工事」の要件を満たしているかどうかか重要です。

「附帯工事」の考え方を曖昧なまま、工事を進めてしまうと、無許可営業として厳しい罰則を受けるリスクがあります。また、許可行政庁によって、判断が分かれる場合がありますので、管轄の許可行政庁へ確認が必要です。ご自身の行う予定の工事が、附帯工事に該当するかどうか、また建設業許可が必要な工事なのか、少しでも判断に迷われた方は、当事務所までご連絡下さい。

グラス湘南行政書士事務所