「この工事はどの業種に該当するのだろう?」と判断に迷うことはありませんか?
特に、一つの工事が複数の業種の技術的な側面を併せ持っている場合、更に判断が難しくなります。
今回は、そのなかでも特に間違えやすい看板設置工事の業種判断について解説します。
(1)建設業の29業種と業種判断
建設業には29種類の業種があるわけですが、一つの工事が複数の業種に該当するように見える場合でも、「主たる部分」や「総合性」に着目して判断します。例えば、建築物本体の工事に付随して行う給排水設備工事は「建築一式工事」に含まれます。一方、給排水設備工事を単独で請け負う場合は「管工事」となります。
(2)看板設置工事の業種判断
看板設置工事は、その内容によって「とび・土工・コンクリート工事」または「鋼構造物工事」に該当します。
「とび・土工・コンクリート工事」は、足場の設置、機械器具の組み立て、コンクリートの打設、杭打ちなど、土台などの基礎的な工事として幅広い作業を指します。
一方、「鋼構造物工事」は形鋼、鋼板等の鋼材の加工・組み立てにより工作物を建設する工事を指します。
この二つの業種の定義を念頭に置き、大型の看板を設置する工事は、地面に基礎を設置したり、大きな構造体を組み立てたりするため、両方の要素を含んでいるように見えるのです。
(3)業種判断のポイント
看板設置工事の業種判断のポイントを挙げます。
ポイント1:看板の構造に着目する
例えば、高速道路沿いの大型広告看板やビルの屋上のネオン看板などは、重量があるため落下しないよう、強固な基礎工事を必要とします。この場合、基礎工事、鉄骨の組み立て、看板の取付けという一連の流れで作業が行われます。
これは工事の大部分が鉄骨等の鋼材を加工・組み立てする作業であり、その工事が「工作物としての看板」を建設することを目的にしている場合、これは「鋼構造物工事」に該当する可能性が高くなります。
ポイント2:既存の構造物に取り付ける場合
一方で、建物の壁面や屋根など、すでに存在する構造物に取り付ける小型・中型の看板や、既存の支柱に看板を取り付ける作業は「とび・土工・コンクリート工事」に該当することが多いです。
これは基礎を新たに作るわけではなく、既存の構造物への取り付け作業がメインになります。このような工事は、足場の設置、高所の作業、取り付け作業といった要素が中心となるため、この場合は「とび・土工・コンクリート工事」となります。
(4)判断を誤るとどうなるの?
業種判断を誤って申請をしてしまうと、建設業許可が取得できない可能性があります。許可行政庁で指摘され、修正できれば良いですが、最悪な場合は、誤った許可で取得してしまい、その後に業種違反で指導が入るといったリスクが生じます。許可を必要とする工事を、許可がない業種で行うと、悪気がなくても「無許可営業」と見なされ、罰則の対象となりますので注意が必要です。
(5)正しい業種判断をするためにはどうしたら良い?
正しい業種判断をするためには、下記の点を総合的に考慮する必要があります。
・工事の目的と内容
構造物としての看板を新設するのか、既存の構造物に取り付けるのか
・使用する材料
鉄骨などの鋼材が主要な材料となるか
・作業の特性
基礎工事や鋼材の組み立て作業が中心か、高所での取り付けが中心か
このように、看板設置工事は工事の内容を総合的に考慮して業種を選択する必要があります。しかし、個々の工事の内容を詳細に検討する必要があるため、判断に迷うことがあれば当事務所へご連絡ください。正しい、業種判断を行い、建設業許可に関するサポートをさせて頂きます。