公共工事を元請けとして受注するために避けて通れないのが、経営事項審査(経審)です。
入札に参加する会社にとって、経審の総合評点(P点)を少しでも上げていくことは非常に重要となります。
今回は、経審の点数の見方やP点の基本的な計算方法や、令和8年7月の改正による評点アップのポイントを解説します。

経審の点数(P点)とは?全体像と見方

経審の結果通知書には、さまざまな数値が並びますが、入札や会社のランク付けで最も重視されるのは総合評点(P点)です。
P点は、会社の規模や経営状況、技術力などを総合的に数値化したもので、建設業許可の業種ごとに算出されるのが特徴です。同じ会社であっても、建築一式工事と土木一式工事ではP点が異なるのです。

P点を構成する5つの要素

P点は、以下の5つの評価項目(X1,X2,Y,Z,W)を特定の比率で掛け合わせて算出されます。

X1(完成工事高)
X2(自己資本額・利払前税引前償却前利益)
Y(経営状況分析)
Z(技術力)
W(その他社会性等)

令和8年7月施行!最新の経審改正ポイント

令和8年7月以降に申請する経審から、その他社会性(W点)の項目が大きく改正されています。最新の基準を把握していないと、想定外の減点や取りこぼしが発生するため注意が必要です。

➀建設技能者を大切にする企業の自主宣言制度の新設

担い手の育成・確保や労務費確保・賃金支払いのための取り組みを推進するため、自主宣言を行った場合に5点が加点される仕組みが新設されました。
これは審査基準日が宣言日以降であることと、宣言書・誓約書を提出していることが要件となります。

➁建設キャリアアップシステム(CCUS)等による就業履歴蓄積の配点見直し

上記の新設に伴い、既存の就業履歴蓄積措置に関する評価の配点が以下のように調整されました。

・民間工事を含む全ての建設工事対象 15点→10点
・全ての公共工事対象 10点→5点

既にCCUSを活用している企業でも、この見直しによって一部ポイントが変動するケースがあるため確認が必要です。

➂建設機械の保有状況の加点対象拡大

災害対応力の強化を図る観点から、従来の保有機会に加え、災害時の活用実績が確認された不整地運搬車およびアスファルト・フィニッシャが新たにW7(建設機械の保有状況)の加点対象に追加されました。

➃社会保険に関する評価項目の削減

建設業許可要件として社会保険の加入が義務化され、更新期間(5年)を経過したことから、経審における個別の加入確認が削除されました。すでに適法に加入している企業にとっては、実質的な数値に変化はありませんが、申請様式や確認書類が変わるため注意しましょう。

P点を効率よくアップさせるための重要ポイント

P点を上げるためには、どの項目に注力するべきかの費用対効果を見極めることが大切です。ウエイトが大きい項目中心に戦略を立てましょう。

➀技術職員数と資格を最適化する(Z点対策)

Z点(技術力)はウエイトが25%と高く、比較的コントロールしやすい項目です。

保有資格の確認

1人の技術者が複数の資格を持っている場合、主たる資格だけではなく、重複してカウントできる上限(通常2人まで)を意識して配置を検討します。

CPD(継続教育)の活用

技術者のCPD取得状況を積み上げることで、Z点の加点を大きく伸ばすことができます。

➁完成工事高(X1)と利益率(X2)のバランス

X1(完成工事高)はウエイト25%で最も影響力がありますが、単に売上を上げれば良いわけではありません。X2(自己資本額および利益額)は財務内容を評価するため、赤字決算や債務超過になると点数が大きく落ち込んでしまいます。安定した利益を確保し、自己資本を厚くすることが中長期的なP点維持・向上につながります。

➂W点(その他社会的等)の取りこぼしを防ぐ

ウエイトは15%ですが、プラス査定を積み上げることで効果を発揮します。

新設の自主宣言を行う

令和8年の改正で導入された建設技能者を大切にする企業の自主宣言制度を抜け漏れなく行い、確実に加点を獲得しましょう。

建機・認証の取得

保有している不整地運搬車やアスファルト・フィニッシャなどの定期検査・台数管理、ISOなどの各種認証取得状況を見直します。

労働環境の整備

建退共への加入や、若手技術者の育成状況など、地道な加点項目を確実に拾っていきます。

まとめ

経営事項審査(経審)の点数アップは、一朝一夕でできるものではなく、日頃の決算、資格取得の奨励、最新の法改正への対応が不可欠です。
特に令和8年からは、技能者の処遇改善や自主宣言制度を軸とした大きな変更が適用されています。貴社の現在の状況がどのように点数に反映されるのか、決算期や審査基準日を逆算して、計画的な準備を進めていくことが肝要です。
少しでもお悩みの方は当事務所までお気軽にご相談ください。
グラス湘南行政書士事務所