産業廃棄物の収集運搬業許可を持っていれば、不要になったテレビや冷蔵庫などの家電も運べるのでしょうか。
結論からいうと、産業廃棄物収集運搬業許可だけで家庭から出る家電を運ぶことはできません。
ここには産業廃棄物処理法と家電リサイクル法という2つの異なる法律が絡んでおり、正しく理解していないと、知らぬ間に無許可営業として厳しい罰則の対象となる恐れがあります。
今回は、産業廃棄物収集運搬業許可と家電リサイクル法の関係性、そして家電を運ぶために必要な条件について、行政書士の視点から解説します。

産業廃棄物収集運搬業許可とは何か?

産業廃棄物収集運搬業許可とは、事業活動に伴って生じた産業廃棄物を運ぶための許可です。
法律上、廃棄物は大きく分けて以下の2種類に分類されます。

産業廃棄物

法令で定められた20種類の廃棄物(廃プラスチック、金属くず、がれき類など)。

一般廃棄物

産業廃棄物以外の廃棄物(家庭ごみ、事業所から出る紙くずなど)。
重要なのは、一般家庭から排出される古いテレビや冷蔵庫、洗濯機などは、たとえ中身が金属やプラスチックであっても、法律上は一般廃棄物に分類されるという点です。つまり、産業廃棄物の許可だけでは、家庭からの不用品回収を行うことはできないのです。

家電リサイクル法(特定家庭用機器再商品化法)の基本

今回のテーマとなる家電リサイクル法について整理しましょう。

家電リサイクル法の対象となる4品目

この法律は、特定の家電製品から資源を回収し、廃棄物を減らすことを目的としています。対象となるのは以下の家電4品目です。

➀エアコン
➁テレビ
➂冷蔵庫
➃洗濯機

これらの製品は、通常のゴミとして捨てることはできず、製造業者等によるリサイクルが義務付けられています。排出者はリサイクル料金を支払い、適切なルートで引渡さなければなりません。

家庭用と業務用の決定的な違い

家庭用と業務用の違いは、製品の見た目ではなく、出所による扱いの違いです。

家庭から排出される場合

前述のとおり、一般家庭から出る家電4品目は一般廃棄物です。これを収集運搬するには、原則として一般廃棄物収集運搬業許可が必要です。ただし、多くの自治体では一般廃棄物の新規許可は制限されており、取得は極めて困難といえます。

事業所から排出される場合

事務所や店舗などで使われていた家電4品目が廃棄される場合はどうでしょうか。
実は、事業所から出る家電4品目であっても、多くの場合、これらは一般廃棄物(事業系一般廃棄物)として扱われます。
ただし、産業廃棄物の廃プラスチック類、金属くず、ガラス・コンクリート・陶磁器くずの混合物として、産業廃棄物として処理できるケースもあります。しかし、この場合でも家電リサイクル法のスキームに則って指定引き取り場所に運搬しなければならないため、通常の産業廃棄物として処分場へ持ち込むことはできません。

収集運搬業者が家電を運べる例外的なケースとは?

以下のケースでは、産業廃棄物の許可や一般廃棄物の許可がなくても運搬が認められる場合があります。

➀販売店による下取り・買い替え

家電量販店などの小売業者は、自ら販売した商品や、買い替えの際に引き取る古い家電について、収集運搬の許可がなくても運ぶことができます。(家電リサイクル法に基づく義務・権利)。

➁小売業者からの委託

家電量販店などから委託を受けて、指定引き取り場所まで運搬する場合です。この場合、委託を受けた業者は家電リサイクル券とともに適切に運搬する役割を担います。

➂中古品としての買い取り

廃棄物ではなく中古品として買い取る場合は、廃棄物処理法の対象外となります。ただし、この場合は古物商許可が必須です。
壊れていて動かないものを、壊れているけれど買い取ると、称して実質的に処分費用を受け取る行為は、脱法行為(無許可営業)とみなされるリスクが高いです。

無許可営業のリスクと厳しい罰則

産業廃棄物収集運搬業許可のみの状態で、一般家庭から家電を回収し、不適切な処分を行った場合、以下のような厳しい罰則が科される可能性があります。

無許可営業

5年以下の懲役もしくは1,000万円以下の罰金またはその併科。

許可の取消し

廃棄物処理法違反で罰金以上の刑が確定すると、現在持っている産業廃棄物収集運搬業の許可も欠格要件に該当し、取り消されてしまいます。

一度許可を失うと、その後5年間は再取得ができません。事業の継続そのものが危ぶまれる事態となってしまいます。

まとめ

家電リサイクル法と廃棄物処理法の境界線は、専門家でも判断に迷うことがあるほど複雑です。しかし、近年の環境問題への関心の高まりから、不適切な回収業者への取締りは年々厳しくなっています。

・家庭用家電を運ぶなら一般廃棄物の視点が必要。
・産業廃棄物の許可だけで家電4品目の回収は原則NG。
・中古品として扱うなら古物商許可と適正な査定が必須。

当事務所は、神奈川県全域を中心に、産業廃棄物収集運搬業の新規許可申請から更新、品目追加まで幅広くサポートしております。県外のご依頼も承っております。お気軽のご連絡ください。
グラス湘南行政書士事務所