宅建業を営んでいると、経営者の引退や法人の解散、組織再編など、様々な理由で免許を廃止する場面が訪れます。
しかし、宅建業における廃業届は、宅建業法第11条によって、誰が、いつまでに届出なければならないかが定められており、これを怠ると過料の対象とる可能性があります。
今回は、宅建業免許の廃業届について、提出期限や必要書類、そして注意するべきポイントを解説します。

廃業届が必要になる5つのケースと提出期限

廃業届(宅地建物取引業名簿登載事項変更届出書)を提出しなければならない理由は、主に以下の5つのパターンです。それぞれ誰が届出て、期限はいつまでかが異なります。

届出が必要な事由届出義務者提出期限
免許権者(個人)の死亡その相続人死亡を知った日から30日以内
法人の合併による消滅消滅した法人の代表者だった者合併の日から30日以内
法人の破産手続開始の決定その破産管財人決定の日から30日以内
法人の解散(合併・破産以外)その清算人解散の日から30日以内
宅建業の廃止免許を受けていた個人または法人の代表者廃止の日から30日以内

解散の場合、株主総会で解散決議をした日ではなく、登記上の解散日が基準となります。

免許の有効期限が残っていても届出は必須

更新期限が近いから、そのまま放置して失効させればいいのでは・・
・・このように考える方もいらっしゃると思いますが、これはNGです。事業を廃止した場合は、有効期間内であっても遅滞なく届出る義務があります。

廃業届の提出先

提出先は、現在受けている免許の種類によって異なります。

知事免許の場合

主たる事務所を管轄する都道府県の宅建業主管課

国土交通大臣免許の場合

主たる事務所を管轄する地方整備局(ただし、窓口は都道府県の宅建業主管課を経由することが一般的です)
現在は多くの自治体で電子申請(JCIP)も導入されていますが、免許証の原本返納が必要なため、郵送や窓口持参が必要になるケースが依然として多いのが実情です。

廃業届の必要書類

自治体によって細かな書式や添付書類が異なる場合がありますが、一般的に共通して必要となる書類は以下の通りです。

➀宅地建物取引業者名簿登載事項変更届書(廃業届)

所定の様式に、廃業等の理由と年月日を記載します。

➁宅地建物取引業者免許証(原本)

現在交付されている免許証を返納します。紛失している場合は、別途紛失届の提出を求められます。

➂事由を証する書類

事由に応じて、以下の公的書類の添付が必要になることもあります。

死亡の場合

戸籍謄本、除籍謄本など(相続関係がわかるもの)

解散の場合

履歴事項全部証明書で解散の記載があるもの

合併の場合

履歴事項全部証明書で合併による消滅の記載があるもの

廃業届提出後の3つのポイント

廃業届を提出してから、特に注意するべき点が3つあります。

➀営業保証金の取り戻し

営業保証金を供託所に預けている場合、廃業後にそれを取り戻すことができます。ただし、通常は6ヶ月以上の期間を定めて公告(官報への掲載)を行い、債権者(取引先など)から申し出がないことを確認する手続きが必要です。
一方、保証協会に加入している場合は、保証協会が手続きをサポートしてくれますが、返還までには時間がかかることを念頭に置いておきましょう。

➁みなし業者としての義務

廃業届を提出とはいえ、その瞬間にすべての責任が消滅するわけではありません。
廃業前に締結した契約の決済や、物件の引き渡しなど、結了していない事務がある場合、その事務が完了するまでは宅建業者とみなされます。

宅建業法第76条
(免許の取消し等に伴う取引の結了)
第76条 第3条第2項の有効期間が満了したとき、第11条第2項の規定により免許が効力を失つたとき、又は宅地建物取引業者が第11条第1項第1号若しくは第2号に該当したとき、若しくは第25条第7項、第66条若しくは第67条第1項の規定により免許を取り消されたときは、当該宅地建物取引業者であつた者又はその一般承継人は、当該宅地建物取引業者が締結した契約に基づく取引を結了する目的の範囲内においては、なお宅地建物取引業者とみなす。

➂専任の宅地建物取引士の登録変更

会社が廃業した場合、そこに勤務していた専任の宅建士は、自身の登録について勤務先の退職の手続きを行う必要があります。これを怠ると、宅建士個人が次の職場に移る際に支障をきたす場合があるため、注意が必要です。

まとめ

宅建業の廃業手続きは、期限が30日以内と意外に短く、また免許証の返納や保証金の還付など、法律、実務の両面で正確な処理が求められます。
特に相続が絡むケースや、法人の解散に伴う手続きは、登記申請とのタイミング調整も重要です。手続きの煩雑さや保証金の還付まで、確実に進めたい方は、当事務所までご連絡ください。貴社の状況に合わせた最適なスケジュールをご提案いたします。
「グラス湘南行政書士事務所」