建設業界で事業を展開する上で、避けて通れないのが建設業法です。
今回は、国土交通省の資料を基に、建設業法における重要な用語の定義と、建設業許可を持っていない無許可業者が注意するべきルールや法違反のリスクについて解説します。
建設業と建設業者の定義を正しく理解する
まず、私たちが普段何気なく使っている言葉の定義を法的に整理しましょう。
建設業者とは
建設業法第3条第1項の許可を受けて、建設業を営む者のことを指します。つまり、建設業の許可を持っている人、会社だけが、法的に建設業者となります。
建設業とは
建設工事の完成を請負う業者を指します。ここで重要なのが、元請(発注者から直接受ける)か、下請(他の業者から受ける)かは関係ないという点です。どんな名義であっても、工事の完成を約束して報酬を得る事業であれば建設業に該当します。
建設工事の請負契約とは
報酬を得て、建設工事の完成を目的として締結する契約のことです。
ここで注意が必要なのは、資材購入、調査業務、運搬業務、警備業務などは、建設工事の請負契約には該当しないという点です。これらは建設業法の適用外となりますが、実態が工事の完成を伴う場合は、契約書のタイトルがどうであれ建設業法が適用されるため注意が必要です。
建設工事の種類(29種類)
建設業法では、建設工事を2つの一式工事と27の専門工事の計29種類に分類しています。
一式工事
土木一式工事、建築一式工事
専門工事(一部抜粋)
大工、左官、屋根、電気、管など
許可を受ける際は、どの業種の許可を取るのかを明確にする必要があります。
無許可業者は違法なの?軽微な工事の壁
建設業許可を持たずに営業している方はすべて違法かというと、そうではありません。建設業法では、一定規模以下の工事のみを行う場合は、許可がなくても適法に営業できると定めています。これが軽微な建設工事です。
軽微な建設工事の基準
許可がなくても請負える工事の範囲は以下の通りです。
建築一式工事の場合
1件の請負代金が1,500万円未満(税込)
または、延べ面積が150㎡未満の木造住宅工事
建築一式工事以外(専門工事など)の場合
1件の請負代金が500万円未満(税込)
ここで重要なポイントがあります。この請負代金の額には、消費税及び地方消費税の額を含むということです。
例えば、460万円(税抜)の工事は、税込で506万円となり、500万円の壁を超えてしまいます。この場合、許可がなければその工事を請け負うことはできず、違法な無許可営業となってしまいます。
無許可営業に潜む3つのリスク
無許可で営業を続けることは、以下のような深刻なリスクを伴います。
➀刑事罰と行政処分
許可が必要な規模の工事を無許可で請け負った場合、建設業法違反となり、3年以下の懲役または300万円以下の罰金という重い刑事罰が科される可能性があります。また、一度処罰を受けると、その後5年間は建設業許可を取ることができなくなります。(欠格事由への該当)
➁取引先(元請)からの排除
昨今、コンプライアンス(法令遵守)意識の高まりにより、ゼネコンの多くは、500万円未満の工事であっても、建設業許可のない業者とは契約をしないという方針を打ち出しています。許可がないというだけで、ビジネスチャンスを大きく逃すことになります。
➂社会的信用の失墜
建設業許可は、その業者が経営体制が整っており、営業所技術者(専技)がいて、一定の財産的基礎があることを知事が証明するものです。許可がないことは、それだけで対外的な信用力が低いとみなされ、銀行融資や新規契約において不利に働きます。
発注者、元請負人、下請負人の関係性
建設業法では、立場の定義も明確にされています。
・発注者(施主):建設工事の注文者(他の者から請け負ったものを除く)。
・元請負人:下請契約における注文者で、かつ建設業者であるもの。
・下請負人:下請契約における請負人。
この関係性は、一次下請、二次下請、三次下請と連鎖していきますが、どの立場であっても、建設業法のルール(一括下請の禁止など)を遵守しなければなりません。
まとめ
建設業法の用語を正しく理解すことは、会社を守るための第一歩です。
特に軽微な工事の範囲を勘違いして、意図せず法違反を犯してしまうケースは少なくありません。消費税を含めた金額管理を徹底し、少しでも500万円(建築一式なら1,500万円)を超える可能性があるなら、早急に許可取得を検討するべきです。
建設業許可を取得することは、大きな現場への参入や銀行融資、取引先からの信頼獲得といった攻めの武器になります。
少しでも建設業許可申請に不安のある方は、ぜひ当事務所へお気軽にご相談ください。複雑な法定義を整理し、貴社のスムーズな事業拡大をサポートいたします。
「グラス湘南行政書士事務所」