日本のインフラを支え、私たちの暮らしを守る建設業界。しかし、その裏側には古くからの課題である多重下請け構造が深く根を張っています。
近年、この構造を是正しようとする動きがあります。今回は、建設業許可を取扱う行政書士が、業界の構造改革と、建設業許可の必要性について解説します。
なぜ多重下請け構造が問題なの?
建設業界は、元請から一次下請け、二次下請けと連なるピラミット構造になっています。これが適正に機能すれば、各専門分野の技術を集結できる効率的な構造ではあるのですが、現状では多くの問題を抱えています。
中間マージンの発生と利益の圧縮
下請けの階層が下へ行けば行くほど、受け取れる工事代金は少なくなります。結果として、実際に現場で作業する方々の賃金が上がりにくいという現実があります。
責任の所在が不透明に
階層が深くなると、指示系統が複雑になり、施工ミスや事故が起きた際の責任の所在が難しくなります。
コンプライアンスの欠如
三次請け、四次請けとなると、元請けの目が届きにくくなり、適切な社会保険への加入や安全管理が疎かになりがちです。
この負の連鎖を断ち切るべく、適切な下請け階層の維持や社会保険未加入業者の排除を国は推し進めています。
建設業許可は、多重下請け構造を断ち切る制度となるのか?
ここで重要になるのが建設業許可です。
500万円未満の軽微な工事しかしないという方もいらっしゃるかと思います。しかし、この軽微な工事しか受注しないということは、大きな機会損失をしている可能性があります。昨今、建設業界で起きている変化は、工事の受注には建設業許可が必須条件になりつつあるという点です。
①信頼という名の大きな武器
建設業許可を取得しているということは、国や自治体から経営能力があり、財産的基礎がしっかりしており、技術力があると認められた証です。
多重下請け構造の改善を目指す元請け企業にとって、コンプライアンスが不透明な無許可業者に発注し続けるリスクは年々高まっています。許可がないことで、発注の対象にならないということがあります。
②受注チャンスの拡大
軽微な工事である500万円(建築一式工事なら1,500万円)という金額の壁は、想像以上に大きいといえます。
元請業者から、もっと大きな現場を任せたい、と言われた時に許可がなければ、見送るしかありません。許可取得は、より元請けに近いポジションで契約を受託するための最低条件なのです。
③融資やビジネスチャンスの獲得
銀行融資を受ける際や、企業と取引を始める際、建設業許可の有無はチェックされます。許可は行政上のルールに留まらず、貴社の信用そのものといえます。
働き方改革と建設業許可の深い関係
令和6年4月から建設業でも時間外労働の上限規制が適用されました。業界全体が人手不足と生産性向上に直面するなか、国はCCUS(建設キャリアアップシステム)の導入などを通じて、技術者の処遇改善を求めています。
こうした新しい制度の多くは、建設業許可を保有していることが前提で、スムーズに運用できる仕組みになっています。つまり、許可を取ることは建設業界で事業を営んでいくために必要なものです。
行政書士が伴走する許可取得のその先
建設業許可の申請は、膨大な書類と複雑な要件を伴います。常勤の役員等(経管)や営業所技術者(専技)の要件を満たしているか、過去の経験をどう証明するかなど、ここが大きな壁といえます。
当事務所では書類作成はもちろん、下記のサポートをいたします。
・現状を分析し、許可取得への最短ルートを提示します。
・5年後、10年後の経営を見据えた事業継承のアドバイスを行います。
・毎年の決算変更届や更新を管理し、経営の守りを固めます。
許可取得をきっかけに、多重下請け構造から脱却し、自立した強い経営体へとシフトしていきましょう。
まとめ
多重下請け構造への解消に向かうべく、許可を持つことは攻めの経営ともいえるのです。
貴社の技術と実績を、目に見える許可という形に変え、新しいステージへ事業を展開していきましょう。
「グラス湘南行政書士事務所」