建設業許可閲覧制度によって、建設業許可を取得している業者を名簿で閲覧できるのはご存じでしょうか?
この閲覧制度とは、建設業者の許可申請書類の一部を一般に公開する制度です。
今回は神奈川県の建設業許可業者の閲覧制度について解説します。
閲覧制度の変更点について
神奈川県の閲覧制度は、知事許可業者の閲覧は可能なのですが、大臣許可業者の閲覧が平成27年4月の建設業法改正により、神奈川県ではできなくなりました。
閲覧制度で確認できる内容
大臣許可業者の閲覧はできなくなりましたが、神奈川県知事許可業者の閲覧は引き続きできるわけですが、この閲覧できる内容は以下のとおりです。
【基本情報】
・許可業者名
・代表者名
・本店・営業所の所在地
・許可年月日と許可番号
・許可業種と工事内容
【経営管理体制】
・経営業務の管理責任者の情報
・専任技術者の配置状況
・財産的基礎・金銭的信用の状況
【工事実績】
・過去の施工実績
・完成工事高
・自己資本額・流動比率
建設業許可の閲覧場所
閲覧場所については神奈川県知事免許と大臣免許で場所が異なります。
神奈川県知事免許業者の閲覧場所は神奈川県県土整備局事業管理部建設課となります。
大臣免許業者の閲覧場所は国土交通省関東地方整備局となり、埼玉県さいたま市になります。
「大臣免許業者を閲覧するには、さいたま市まで行かないとだめなのか・・」と思われる方もいらっしゃると思いますが、直接さいたま市まで足を運ばなくても、オンラインでの検索が可能なのです。
このオンライン検索は、国土交通省が運営する「建設業者・宅建業者等企業情報検索システム」で、全国の業者をオンラインで検索することができます。
閲覧手続きの流れ
(1)事前確認
閲覧したい業者が神奈川県知事許可か大臣許可かを確認します。
(2)身分証明書の準備
閲覧には身分証明書が必要です。一般的には運転免許証やマイナンバーカードなどが挙げられますが、具体的な身分証明書は、各行政庁によって若干の違いがある場合がありますので確認が必要です。
(3)閲覧申請書の提出
所定の様式で申請内容を記載します。
(4)閲覧料の支払い
既定の閲覧手数料を支払います。
(5)閲覧
指定された場所で閲覧することができます。
建設業許可閲覧制度のメリット
閲覧制度のメリットとしては、発注者側と建設業者側に分けられます。それぞれのメリットは下記の通りとなります。
発注者側のメリット
取引前の信用調査として有効
取引を行う前に、その業者の経営状況や技術力を確認できるため、適切な業者選定ができます。特に大規模な工事を発注する際には、事前の信用調査は不可欠といえるでしょう。
リスク回避ができる
許可の有効性や業種の範囲を事前に確認することで、取引の相違を避けることに繋がります。
建設業者側のメリット
透明性の確保
自社の情報が公開されることで、取引先に対して透明性を示すことができます。
競合他社の調査
同業他社の経営状況や技術者の配置状況を把握することで、自社の競争力分析に活用できます。
建設業許可閲覧制度の活用
更新手続きの期限管理
5年ごとの更新申請は許可期限の3ヶ月前から1ヶ月前が提出期間となります。この期間を過ぎると許可は失効してしまい、新たに新規申請として許可を取り直さなくてはなりません。自社で期限管理をすることが望ましいですが、閲覧制度には許可申請書や変更届出書などを閲覧できます。更新漏れを防ぐためにこの閲覧制度を活用し、適切な期限管理を行うことが重要です。なお、建設業許可の申請書そのものの閲覧をオンラインで行うことは、原則としてできませんのでご注意ください。
また、建設業許可の更新には、過去すべての年度について決算変更届が提出されていることが条件となります。未提出の年度がある場合は更新ができないため、この決算変更届においても継続的な提出が必要です。
建設業許可の取得から閲覧制度の活用まで、専門的な知識が必要です。当事務所では建設業許可に関するご相談、ご依頼を承っています。お気軽にご連絡下さい。