建設業許可を取得しようとする際、頭を悩ませるのが自社工事が29種類のどの業種に該当するのか、といった問題ではないでしょうか。
その中でも熱絶縁工事は、他の設備工事や内装工事と境界線が重なりやすく、判断を誤るとせっかく許可を取ったのに、肝心な工事の入札に参加できなかったり、無許可営業になってしまうリスクがあります。
今回は、熱絶縁工事の定義から具体的な例、そして間違いやすい他の工事との違いを解説します。

熱絶縁工事の定義とは?

国土交通省のガイドラインによれば、熱絶縁工事とは以下のように定義されています。
工作物又は工作物の設備を熱絶縁する工事。
簡単にいうと、熱や冷気を保温する断熱材などの材料を取り付ける工事のことです。熱という言葉がつきますが、冷凍倉庫のような冷たさを維持する工事も含まれるのがポイントです。

具体的な工事例

熱絶縁工事は、大きく分けて設備系と建築系の2つに分類されます。

➀設備系の熱絶縁工事(プラント・ビル設備)

配管・ダクトの保温保冷工事

ビルや工場の空調ダクト、給排水管にグラスウールやロックウールを巻き付ける工事。

乾燥機・ボイラーの断熱工事

高温になる産業機器からの放熱を防ぐための工事。

冷凍設備・冷蔵設備の断熱工事

冷凍倉庫の壁や配管に断熱材を施工し、冷却効率を高める工事。

➁建築系の熱絶縁工事(建物自体)

壁・屋根・天井の断熱施工

住宅やマンション等において、ウレタンフォームの吹き付けや断熱パネルを設置する工事。

ここが紛らわしい!他の専門工事との違い

➀管工事との違い

・管工事:配管そのものを設置し、付随的に保温材を巻く場合。
・熱絶縁工事:すでに設置されている配管に対して、断熱・保温を主目的として施工する場合。

一般的に、設備工事一式の中で行われる軽微な保温は、管工事に含まれますが、保温施工を専門に請け負う場合は熱絶縁工事の許可が必要です。

➁屋根工事、板金工事との違い

・屋根工事・板金工事:断熱材が付いている屋根材を葺く工事。
・熱断熱工事:屋根の裏側に、後から断熱材を貼り付けたり、吹き付けたりする工事。

➂冷暖房設備設置工事との違い

エアコンの設備などは、管工事に分類されますが、そのエアコンの効率を上げるためにダクト全体を特殊な断熱材で覆う専門的な工程は熱断熱工事に該当します。

工事内容該当する業種備考
エアコン配管の設置管工事付随する保温も含む
冷凍倉庫の壁断熱パネル施工熱断熱工事構造物自体の断熱
断熱材入りのサイディング貼り外壁工事(塗装・板金等)外壁材として機能が主
ボイラーの耐熱レンガ積み築炉工事(れんが工事)耐火が主目的の場合は「れんが」

熱断熱工事で許可を取るメリット

現在の建設業界では、500万円未満の軽微な工事であっても、コンプライアンスの観点から、建設業許可保有を取引条件とする元請業者が急増しています。
熱断熱工事の許可を取得することで、以下のようなメリットがあります。

➀500万円(税込)以上の大型案件を直接受注できる。
➁公共事業の入札に参加できる。
➂銀行融資などの信用力が飛躍的に高まる。

特に省エネ意識の高まりにより、工場の遮熱施工やビルの断熱改修ニーズは年々増加しています。熱断熱工事は、今後さらに需要が高まる環境配慮型の業種といえるのではないでしょうか。

実務経験の証明に注意!

熱絶縁工事の許可を取得するためには、営業所技術者(専技)の設置が必要です。1級熱絶縁施工技能士などの国家資格があればスムーズですが、資格がない場合は10年間の実務経験を証明しなければなりません。
この際、過去の契約書や注文書を確認しますが、工事名が「〇〇配管工事」という文言だと、許可行政庁に管工事と疑われる可能性がありますので注意が必要です。「〇〇配管保温工事」といった、熱絶縁工事であることが明確に分かる書類を準備しておくことが、許可取得の大きなポイントになります。

まとめ

熱絶縁工事は、建物のエネルギー効率を支える重要な専門工事です。もし、ご自身の工事が管工事なのか、熱絶縁工事なのか判断が付かない場合は、ぜひ当事務所へご気軽にご相談ください。現場の状況をヒアリングし、将来の事業展開まで見据えた最適な業種選択をサポートいたします。
グラス湘南行政書士事務所