建設業許可を取得しようとする際、最大のハードルとなるのが営業所の技術者(専技)の要件ではないでしょうか。特に資格を持っていない場合、原則として10年間の実務経験が必要になります。

うちは複数の業種を同時にやっているから、5年ずつ経験があれば合わせて10年でいいの?
同じ期間に2つの業種の工事をしていたら、期間をダブルでカウントできる?

今回は、そんな実務経験の重複期間に関する疑問を解説します。

期間の二重カウントは認められない?

結論からいうと、同じ期間に複数の業種の実務経験を積んでいたとしても、それらを二重にカウントすることはできません。
建設業許可の実務経験において、労働時間はカレンダー通りに計算されるといえます。
例えば、2015年4月から2026年3月までの10年間、ある工務店で大工工事と内装仕上工事の両方に携わっていたとします。この場合、実務経験としてカウントできるのは、あくまで10年間という実労働時間のみということになります。大工工事歴10年と内容工事歴10年で合算して20年とはなりませんのでご注意ください。
つまり、1年間に対して認められる経験は、原則として1業種のみです。もし2業種セットで許可を取りたい場合、大工工事で10年、内装工事でさらに10年、合計20年の実労働時間が必要というのが基本的な考え方です。

緩和措置!12年や7年で複数業種が取れるケース

一定の条件を満たせば実務経験の期間が短縮できる緩和措置があります。

①12年で2業種、またはそれ以上を取得する

複数の業種について実務経験を証明したい場合、10年と残りの業種を各2年ずつ上乗せすることで、複数の業種を同時に申請できる場合があります。
ただし、これは自治体によって運用が異なるため、事前に許可行政庁に確認が必要です。

②指定学科卒業による期間短縮

高校や大学で申請業種に関連する学科を卒業している場合、10年が5年や3年に短縮されます。この短縮された期間をベースに、他の業種の経験を合算していくことが可能です。

③一部業種間での実務経験の緩和

特定の業種間では、片方の業種の経験が、もう一方の業種の経験としてカウントを認めるというルールがあります。

申請したい業種認められる関連業種
一式工事(土木・建築)各専門工事(例:土木一式なら、とび・土工など)
専門工事(とび・土工など)一式工事(例:土木一式での経験を、とび・土工に流用)

④国家資格を取得し複数の業種を取得

国家資格を取得すると、1つの資格だけで複数の業種(中には10業種以上)の営業所の技術者要件を満たすことが可能になります。

実務経験vs国家資格の比較

実務経験と国家資格での申請比較を下記へ挙げます。

項目実務経験(10年ルール)国家資格(施工管理技士など)
必要期間1業種につき原則10年試験合格のみ(実務経験は受験資格に含む)
複数業種の取得重複合算不可(2業種なら20年必要)1資格で複数業種を同時取得OK
許可の種類一般建設業のみ1級なら特定も取得可能
証明の難易度10年分の注文書等が必要(集めるのに困難)合格証書1枚でOK(非常に簡便)

重複期間を証明する際の落とし穴

実務経験の証明で最も重要なのは、実際にその期間、その工事に従事していたかを客観的に証明することです。
実務経験を証明するためには、以下の書類が必要になります。

・実務経験証明書(様式第九号):以前の勤務先などの印鑑が必要です。
・当時の工事実績を裏付ける資料:注文書、請書、契約書、請求書と入金確認資料など。
・当時の在籍を裏付ける資料:厚生年金加入記録(被保険者記録回答票)など。

ここで問題になるのが、10年前の書類なんて今更残っていないというケースです。特に重複期間を計算して複数の業種を目指す場合、資料の整合性が厳しくチェックされます。この請求書の内容では、この業種の経験としては認められないと、差し戻されてしまうことも珍しくありません。

行政書士からアドバイス

複数の業種を一度に取得されたい気持ちは分かりますが、実務経験での申請は、資料の準備が非常に煩雑で、審査期間も長くなる傾向にあります。

・まずはメインの業種に絞って確実に取得する
・他の業種は、後から業種追加で申請する
・国家資格を取得して実務経験なしで申請する

このような判断が、結果として最短で許可取得につながることも多いのです。

自分の経験で、どの業種の許可が取れる分からない・・
10年前の書類が足りないかもしれない・・
・・と不安に思われたら、まずは一度当事務所へご相談ください。
グラス湘南行政書士事務所