建設業許可の実務上の視点から屋根工事の定義、該当する具体的な内容、そして非常に間違えやすい他の専門工事との境界線について解説します。
許可申請や、500万円以上の受注を検討されている事業者様にとって、どの業種で許可を取るかは重要な問題といえます。
一見すると屋根に関わることなら全部屋根工事だろうと思われがちですが、実は使用する材料や工法によって、他の業種と密接に関係しており、判断を誤るとコンプライアンス違反に繋がってしまうリスクがあります。
今回は、ご自身の会社の工事が屋根工事に該当するのか確認していきましょう。

屋根工事の定義と具体的な内容

国土交通省のガイドラインによると、屋根工事とは瓦、スレート、金属薄板等により屋根をふく工事と定義されています。
キーワードはふく(葺く)という言葉です。屋根の最上層を覆い、雨露を凌ぐ仕上げを行うことが屋根工事の本質です。

具体的な工事例

・瓦ふき工事:和瓦、洋瓦などを並べて固定する工事。
・スレートふき工事:カラーベストやコロニアルなどの化粧スレートを張る工事。
・金属薄板等ふき工事:ガリバリウム鋼板などの金属板を用いて屋根を仕上げる工事。
・屋根断熱工事:屋根の仕上げと一体となって行われる断熱材の施工。
・屋根一体型太陽光パネル設置工事:屋根材そのものが太陽電池になっているパネルの設置。

混同しやすい専門工事との決定的な違い

実務で最も相談が多いのが、この工事は屋根工事なのか、それとも別の工事なのか、という区分です。特に混同しやすい3つの業種と比較してみましょう。

①屋根工事と板金工事

金属製の屋根を扱う場合、どちらの業種か迷うことがあります。

・屋根工事:金属薄板を用いて屋根をふく行為そのもの。
・板金工事:金属板を加工して取り付ける工事全般。

判断のポイントとしては、ガルバリウム鋼板を屋根に張る場合は、屋根工事になります。一方で、屋根に付随する雨どいの設置や、壁面の水切り板の設置などは板金工事に区分されます。

②屋根工事と防水工事

雨漏りを防ぐという意味ではどちらも同じですが、材料によって明確に分かれます。

・屋根工事:瓦やスレートなどの固形物(屋根材)を組み合わせて覆う。
・防水工事:アスファルト、シート、ウレタンを用いて不透過の膜を作る。

判断のポイントとしては、平らな屋根などの陸屋根に防水シートを貼る場合は防水工事です。勾配のある屋根にアスファルトシングルを「ふく」場合は屋根工事に該当します。

③屋根工事と大工工事

・大工工事:屋根の下地や構造を作る工事。
・屋根工事:下地の上に仕上げ材を載せる工事。

業種別の違いまとめ表

項目屋根工事板金工事防水工事
主な材料瓦、スレート、金属板金属板(加工品)シート、ウレタン、アスファルト
主な目的屋根の仕上げ・葺き替え金属加工・雨樋設置水密性の確保(漏水防止)
典型例スレート屋根の施工雨樋の交換・取り付け陸屋根の防水塗装

太陽光パネル設置はどっち?

近年増えている太陽光発電システムの設置ですが、これには注意が必要です。

・屋根一体型:屋根材としての機能を持っているため、屋根工事。
・屋根置き型:すでにある屋根の上に架台を組んで設置するため、基本は電気工事。

ただし、設置に伴い屋根の補修や加工を伴う場合は、屋根工事の許可も持っておくことが望ましいといえます。

実務上の注意点

許可申請の際、以下の2点に注意してください。

実務経験の重複カウントは不可

例えば、ある工事が金属屋根の葺き替えだった場合、それは屋根工事としての実績にはなりますが、同時に板金工事の実績として二重にカウントすることはできません。どちらの業種で申請するか、主たる目的を見極める必要があります。

営業所の技術者(専技)の資格

屋根工事の技術者(専技)になれる資格は以下の通りです。

・1級・2級建築施工管理技士(仕上げ)
・技能検定:建築板金・瓦ぶき・スレート施工

これらの資格を持っているかどうかで、取得できる業種が左右されます。

まとめ

屋根工事は、建物の寿命を左右する非常に重要な工程です。建設業許可における屋根工事は、あくまで屋根材をふく行為を指します。
雨樋も、防水塗装も行う事業者様の場合は、屋根工事の許可だけではなく、板金工事や防水工事の許可も併せて取得しておくことが、肝要といえます。
どの業種に該当するのか、またお持ちの資格で許可が取れるのか少しでも不安に思われたら、ぜひ当事務所へご相談ください。過去の主要な工事内容をヒアリングし、適切な業種区分をアドバイスさせて頂きます。
グラス湘南行政書士事務所