宅地建物取引業(宅建業)を営むためには、国または都道府県知事の免許を取得する必要があります。東京都にのみ事務所を置く場合は、東京都知事免許の取得が必須となります。
今回は、東京都における宅建業免許の申請から、取得までの流れや必要書類について解説します。
東京都で宅建業免許を取得するための主な3つの要件
宅建業免許を申請するにあたり、まずは東京都が審査する人的要件、物的要件などの要件をクリアしている必要があります。
事務所の独立性(物的要件)
宅建業を営むための事務所は、他の法人や居住スペースあるいは他社との曖昧に区切られただけの場所では認められません。社会通念上、独立した専用の出入口を持ち、業務を継続して行える環境が必要です。
専任の宅地建物取引士(宅建士)の設置(人的要件)
事務所の規模に関わらず、業務に従事する常勤の従業員5人に1人以上の割合で専任の宅地建物取引士を設置しなければなりません。この宅建士は専任である必要があるため、他の会社と兼務することはできません。
欠格要件に該当しないこと
申請者本人、法人の役員、政令使用人などが、破産者で復権を得ない者や一定の犯罪歴により刑の執行が終わってから5年を経過していない者などに該当しないことが求められます。
東京都の宅建業免許申請の流れ
東京都庁への申請から、実際に免許証を手にして営業を開始するまでの標準的な流れは以下の通りです。
➀事前準備と書類・図面の作成
事務所のレイアウト決定、専任の宅建士の確保や後述する必要書類や証明書の収集を行います。事務所の外観・内観の写真撮影や正確な間取り図の作成もこの段階で進めます。
➁東京都庁への申請
書類一式が完成したら、東京都庁の窓口へ持参し、新規申請を行います。
➂東京都による審査
書類が正式に受理されると、東京都による審査が始まります。
審査期間の目安は、概ね1ヶ月から2ヶ月程度の審査期間となります。この期間中、事務所への確認の電話が入る場合もあるため、連絡が取れる状態にしておく必要があります。
➃保証協会への加入手続き(または営業保証金の供託)
東京都の審査と並行して、ほとんどの事業者が利用する宅地建物取引業保証協会(全宅保証・全日不動産協会など)への入会手続きを進めます。
保証協会に加入しない場合は、法務局へ営業保証金1,000万円を供託する必要があります。保証協会に加入することで、この高額な供託金を抑えることができます。
➄免許通知ハガキの到着
審査が無事に完了すると、東京都から本店宛に免許通知ハガキが届きます。
➅保証協会の加入完了手続き・免許証交付
免許通知ハガキを確認後、保証協会での最終手続きを終える、または供託の完了届を提出することで、宅地建物取引業免許証が交付されます。
この交付を受けた日から、晴れて宅建業の営業を開始することができます。
東京都知事免許の必要書類一覧
東京都に申請する際の主な必要書類は以下の通りです。
法人成りの場合や個人の場合、また直近の状況によって細かな添付書類が追加されることがあります。
| 分類 | 書類名 | 個人 | 法人 |
| 申請書 | 宅地建物取引業免許更新申請書 | 〇 | 〇 |
| 登記事項 | 履歴事項全部証明書 (発行後3ヶ月以内) | ー | 〇 |
| 証明書 | 役員・政令使用人の身分証明書・登記されていないことの証明書 | ー | 〇 |
| 納税関係 | 納税証明書 (様式その1) | 〇 | 〇 |
| 財務関係 | 直近の事業年度の決算書 (貸借対照表・損益計算書等) | 〇 | 〇 |
| 事業関係 | 宅地建物取引業経歴書 | 〇 | 〇 |
| 事務所 | 事務所を使用する権原に関する書面(賃貸借契約書等) | 〇 | 〇 |
| 事務所 | 事務所の平面図・案内図・写真 | 〇 | 〇 |
| 宅建士 | 専任宅建士の宅建士証の写し | 〇 | 〇 |
| 宅建士 | 専任宅建士の略歴書 | 〇 | 〇 |
| その他 | 誓約書 | 〇 | 〇 |
| その他 | 役員・株主・出資者等の名簿 | ー | 〇 |
本籍地で取得する身分証明書や法務局で取得する登記されていないことの証明書など、公的証明書には有効期限や取得の手間がかかるものも含まれます。計画的な収集を行うことが肝要です。
申請時の注意点
➀定款の目的に「宅建業」が入っていない
会社の履歴事項証明書の「目的」欄に、宅地建物取引業を営む旨の文言が登記されていなければ、申請を受け付けてもらえません。事前に必ず定款・登記内容を確認しましょう。
➁事務所の「独立性」の不備
自宅の一室や、他の事業者と壁で完全に仕切られていないオープンスペースなどを事務所として申請し、図面不備で差戻しを受けるケースもあります。
写真や間取り図は実態を正確に反映させる必要があります。
➂専任宅建士の常勤性・専任性の誤認
他の会社で社会保険に加入したままになっている場合や、遠方に居住していて物理的に通勤が困難と判断された場合は、専任と認められません。
まとめ
東京都での宅建業免許申請は、要件や膨大な書類作成、図面の準備、保証協会への加入手続きに至るまで、多くの時間と労力を要します。ご自身で進めようとすると、ちょっとした記載ミスや書類不足で何度も都庁へ足を運ぶことになり、事業のスタートが遅れてしまうリスクも高まります。
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