宅建業の事務所移転は大きな転機となります。しかし、宅建業免許は事務所の要件が非常に厳格であるため、引っ越し作業で終わりというわけにはいきません。
住所変更の届出(変更届)には法定の期限があり、添付書類や写真の撮り方にも独自のルールが存在します。今回は、宅建業免許の住所変更手続きの流れから、審査のポイントやスムーズな移転のためのチェックリストを行政書士の視点で解説します。

住所変更(事務所移転)届出の基本ルール

宅建業者が事務所を移転した場合、知事又は国土交通大臣に対して、宅地建物取引業者名簿登載事項変更届出書を提出しなければなりません。

提出期限は30日以内

宅建業法第9条に基づき、事務所の所在地に変更があった日から30日以内に届け出る必要があります。この期限を過ぎると遅延理由書の提出を求められるほか、あまりに放置が長いと情状によっては行政処分の対象となる可能性も否定できません。移転後は速やかに手続きを行いましょう。

提出先

知事免許の場合

主たる事務所を管轄する都道府県の宅建業担当部署(土木事務所など)。

大臣免許の場合

主たる事務所の所在地を管轄する地方整備局(都道府県経由で提出する場合もあります)。

事務所変更届に必要な書類一覧

届出には、申請書だけではなく新しい事務所が宅建業の拠点として適切かを証明する書類が多数必要です。

基本的な必要書類

➀宅地建物取引業者名簿登載事項変更届出書(第一面、第二面)
➁事務所の付近の見取り図(最寄り駅から事務所までの地図)
➂事務所の平面図(間取りや什器の配置が分かるもの)
➃事務所の外観・内部の写真
⑤建物登記簿謄本(履歴事項全部証明書)
⑥事務所の使用権原を証する書類

 自社所有の場合:登記簿謄本
 賃貸の場合:建物賃貸借契約書の写し

事務所の写真撮影と実体

宅建業の免許審査において、不備が出やすいのが事務所の写真といえます。宅建業法では、事務所は継続的に業務を行うことができる独立したスペースである必要があります。

写真撮影のチェックポイント

・建物の全景:ビル全体が写っているか。
・入口付近:ビルの集合看板やポストに商号(社名)が掲示されているか。
・事務所の入り口:扉に商号が掲示されているか。
・内部の様子:事務机、椅子、電話、パソコンなどの備品が整っているか。
・接客スペース:応接セットやカウンターがあるか。

認められない例

・個人の生活スペースを通らないと事務所に行けない。
・他社と完全に混在しており、パーテーション等の仕切りがない。
・バーチャルオフィスや、実体のないレンタルオフィス。

事務所移転のチェックリスト

手続きを漏れなく進めるための実務チェックリストです。

免許関係

・変更届出書の作成
・事務所の写真撮影
・建物賃貸借契約書の確認(使用目的が事務所になっているか)
・役所への提出(移転から30日以内)

保証協会への届出

意外と忘れがちなのが、行政庁への届出とは別に、所属する保証協会への手続きも必須です。
保証協会には、全国宅地建物取引業保証協会(全宅)または不動産保証協会(全日)があります。

法務局

・本店所在地の移転登記

先に登記を完了させ、履歴事項全部証明書を取得してから宅建業の変更届に移る流れが一般的です。

掲示物・備品の準備

・宅地建物取引業者票(報酬額表含む)の書き換え
・新しい事務所への看板設置(表札、ポスト等)
・専任の宅地建物取引士の登録情報の変更届

まとめ

宅建業の事務所移転は、住所変更以上に事務所の形態そのものが厳しくチェックされます。特に賃貸物件を契約する際は、事前に宅建業の免許が下りる構造かを確認しておくことがリスク回避に繋がります。
手続きに不安がある場合や、日常業務で時間が取れない場合は、当事務所へご連絡ください。
正確な書類作成とスムーズな手続きを行い、皆様の宅建業進展をバックアップいたします。
グラス湘南行政書士事務所