今回は、宅建業免許の事務所所在地の変更届について、行政書士の視点で解説します。
手続きの期限は事後30日以内
最も、重要なルールは期限です。宅建業法第9条に基づき、事務所の所在地を変更したときは、変更の日から30日以内に変更届(宅地建物取引業者名簿登載事項変更届出書)を提出しなければなりません。
30日を過ぎてしまったからといって受理されないわけではありませんが、遅延理由書の提出を求められることがあります。あまりに遅れると、最悪の場合、業務停止処分などの行政処分の対象になりかねませんので、注意が必要です。
事務所の独立性という要件
宅建業の事務所には、厳しい独立性の要件があります。移転先の物件が決まった段階で、以下の条件を満たしているか再確認してください。
事務所として認められるための必須条件
物理的な隔離
他の法人や居住スペースと明確に仕切られていること。
専用の出入り口
他の会社を通らずに事務所に入れること。
設備
電話、事務机、接客スペースが整っていること。
昨今、増えているシェアオフィスやコワーキングスペースへの移転を検討される方も多いですが、個室かつ住所利用、登記可能であっても、当道府県によって判断基準が異なる場合があります。契約前に必ず管轄の許可行政庁に確認しましょう。
必要書類チェックリスト
手続きに必要な書類は多岐にわたります。代表的なものを下記へまとめました。
| 書類名 | 備考 |
| 宅地建物取引業名簿登載事項変更届出書 | 第1面から第4面(自治体による) |
| 事務所付近の見取図 | 最寄駅からの経路がわかるもの |
| 事務所の写真 | 外観、入口、内部(360度わかるように) |
| 事務所の建物登記簿謄本 | 発行から3ヶ月以内のもの |
| 賃貸借契約書の写し | 使用目的が「事務所」であること |
| 使用承諾書 | 転貸借や個人名義での契約の場合に必要 |
特に写真は審査の肝といえます。看板(商号)が掲示されているか、事務机や応接セットがあるかなど、実態が厳しくチェックされます。
管轄をまたぐ移転は要注意!
移転が、同じ都道府県内か県外によって変わってきます。
①同一都道府県内での移転
この場合、変更届で済みます。免許番号も変わりません。
②都道府県をまたぐ移転
この場合は、変更ではなく、免許換えという手続きになります。
知事免許から別の知事免許へ
新たに免許申請を行うのと同等の手続きが必要です。
知事免許から大臣免許へ
2つ以上の都道府県に事務所を構える場合は、国道交通大臣免許への切り換えが必要です。
この場合、免許番号のカッコ内の数字(更新回数)が(1)にリセットされる点に注意してください。
保証協会への届出
行政庁(知事や大臣)への届出が終わっても、まだやるべき手続きがあります。宅建保証協会である全宅連または全日への変更届も必須です。
この手続きを怠ると、変更後の情報が正しく反映されず、業者名簿と差異が生じてしまいます。また、あわせて変更事項が反映された履歴事項全部証明書の提出も求められます。
移転の流れを最適化する
事務所移転の手続きは、以下のステップで進めるのが最もスムーズです。
①物件選定・契約:ここで独立性を確認します。
②法務局での本店所在地変更登記:まずは登記を先に変えないと、行政庁への届出ができません。
③移転完了・備品配置:写真撮影ができる状態にします。
④行政への変更届出:移転から30日以内です。
⑤保証協会への届出
まとめ
宅建業の事務所移転は、その場所で本当に宅建業ができるか、という実態審査を伴うものです。
書類の不備で何度も行政庁に足を運ぶことになったり、写真の取り方で補正を受けたり、というケースが後を絶ちません。本業の営業活動に集中するためにも、正確かつ速やかな手続きは、当事務所のような専門家へご依頼ください。
貴社の免許取得を手続きの面でサポートいたします。
「グラス湘南行政書士事務所」