建設業許可を取得しようとする際、多くの方が最初に直面するのが、29種類のどの業種に該当するのかという疑問ではないでしょうか。
特に大工工事は、木造住宅の建築からマンションの内装、コンクリート建造物の型枠工事まで多岐にわたり、他の専門工事との区別が非常に分かりづらいケースが多々あります。
今回は、大工工事の定義、具体的な工事例、間違えやすい他の工事のとの違いについて解説します。
大工工事の定義とは?
国土交通省のガイドライン(建設業許可事務取扱指針)によれば、大工工事は以下のように定義されています。
木材の裁断、加工若しくは組み付けにより工作物を築造し、又は工作物に木製設備を取り付ける工事
ポイントは、木を使用しているということだけではなく、構造物を作るための加工や組付けが含まれているかどうかが、大工工事と判断する基準となります。
大工工事に該当する具体的な工事例
具体的にどのような工事が大工工事として扱われるのか、代表的な例を挙げます。
・大工工事:木造住宅の柱や梁の組立、棟上げなど。
・型枠工事:コンクリートを流し込むための「型」を木造(合板等)で組み立てる工事(型枠工事)。
・造作工事:鴨居、敷居、階段、備え付けの棚などの取り付け。
・木製内装工事:壁の木製下地、フローリング貼りなど。
ここで注意が必要なのが型枠工事です。コンクリートを流し込む作業自体は「とび・土工工事」に分類されますが、その枠を作る作業は大工工事に分類されます。
混同しやすい大工工事と他の専門工事の違い
実務上、最もトラブルや申請ミスが起きやすいのが、他業種との境界線です。特に以下の3つの業種とは混同しやすいため、明確に区別しておきましょう。
①左官工事との違い
・大工工事:木材等を使用して下地を作る。
・左官工事:モルタルやプラスター、漆喰などを塗ることで仕上げる。
床の仕上げにおいても、フローリングを貼れば大工、セルフレベリング材を流し込むのなら左官となります。
②内装仕上工事との違い
ここが最も間違えやすいポイントです。
| 工事内容 | 大工工事 | 内装仕上工事 |
| 主な材料 | 木材、集成材、合板 | クロス、ボード、畳、カーペット |
| 作業の性質 | 木材の加工、組み付け、構造に関わる作業 | 表面の仕上げ、装飾、最終的な貼り付け |
| 具体例 | フローリング貼り、木製間仕切り壁の設置 | 壁紙貼り、天井のジプトーン貼り、OAフロア設置 |
判断の目安としては、木製の板を打ち付けて壁や床を作るのは大工工事ですが、既にある石膏ボード等の下地に壁紙を貼る、あるいは軽量鉄骨で下地を組むのは内装仕上工事に該当します。
③とび・土工工事との違い
前述した型枠工事に関連します。
・大工工事:型枠の組み立て・加工。
・とび・土工工事:足場の組み立て、コンクリートの打設、解体。
④建具工事との違い
・大工工事:現場で木材を加工して棚や枠を作る。
・建具工事:工場で作られた完成品のドア、サッシ、窓を取り付ける。
なぜ業種の見極めが必要なの?
大工でも内装でも、どちらでもいいのでは?と思われるかもしれませんが、許可申請においては以下の2点が非常に重要です。
①営業所の技術者(専技)の要件
大工工事の許可を得るためには、大工工事に関する実務経験(原則10年、指定学科卒業で3~5年)または一級建築施工管理技士などの国家資格を持つ技術者が必要です。内装仕上工事の経験では、大工工事の許可は取れませんので注意が必要です。
②常勤性の役員等(経管)の実績
法人の役員や個人事業主としての経営経験が、どの業種に基づいているかも審査の対象となります。現在は建設業全般での経験で良くなりましたが、過去の請負実績を証明する際には、注文書の内容が大工工事として適切である必要があります。
まとめ
大工工事は建設業の基本ともいえる重要な業種ですが、その範囲は現代の工法の変化に伴い、複雑化しています。
・構造に関わる木工作業か?
・仕上げのための装飾作業か?
・型枠の組み立てか?
これを正しく整理をせずに申請を行うと、補正を求められたり、最悪の場合は許可が下りない事態もあります。また、500万円以上の工事を請け負う際に、実態と異なる業種の許可しか持っていない場合、建設業法違反に問われる可能性もゼロではありません。
またリフォーム工事をメインにされている業者様の場合、大工工事と内装仕上工事の両方の許可を取得するという選択もあります。これは将来的な事業拡大を見据えて、両方の要件を満たせるか検討してみるのも一つの戦略といえます。
不安に思われたら、当事務所へお気軽にご相談ください。貴社のこれまでの実績を精査し、最適な業種での許可取得をサポートいたします。