宅建業免許の新規申請や更新申請において、避けて通れない重要書類の一つが、専任の宅地建物取引士設置証明書(様式第九号)です。
本店のみの事務所であれば、分かりやすいのですが支店などの従たる事務所が複数ある場合、どのように書けばよいのか悩まれている方もいらっしゃると思います。
今回は、神奈川県の手引きを参考に、複数の事務所がある場合のポイントを解説します。

専任の宅地建物取引士設置証明書とは?

この書類は、宅地建物取引業第31条の3第1項に基づき、各事務所に法律で定められた人数の専任の宅地建物取引士(以下、専任の宅建士)が正しく設置されていることを、代表者が証明するものです。
宅建業法では、一つの事務所において宅地建物取引業に従事する者の人数に対し、一定割合以上の専任の宅建士を置くことが義務付けられています。

設置義務の基準

一つの事務所につき、以下の計算式を満たす必要があります。

つまり、従業者5名に対して1名以上の専任の宅建士が必要です。1名でも不足していると、免許を受けることができません。

複数事務所がある場合の記載例

神奈川県の手引きを基に、具体的な書き方を見ていきましょう。

※神奈川県 宅地建物取引業法免許申請書等の記載手引 引用

①事務所の名称・所在地

複数の事務所がある場合は、上段から順番に本店、○○支店と並べて記載します。

名称:免許申請書に記載する事務所名と完全に一致させてください。

所在地:登記簿や賃貸借契約書に基づき、正確な住所を記載します。

②専任の宅地建物取引士の数

その事務所に常駐し、専任として登録されている宅建士の人数を記入します。
他の法人の役員を兼ねている、あるいは他の業務に従事している人は専任と認められませんので注意が必要です。

③宅地建物取引業に従事する者の数

ここが間違えやすいポイントです。ここには、専任の宅建士を含めた、その事務所で宅建業に従事する全員の数を記入します。
手引きにも赤字で注釈がある通り、右側の従事する者の数には、左側の専任の宅建士の数が含まれます。
例えば、本店で専任の宅建士2名とそれ以外の営業担当4名の場合は、専任の宅地建物取引士の数は2名となり、宅地建物取引業に従事する者の数は6名となります。

複数事務所における従事者の定義とは?

複数事務所がある場合、従業員をどの事務所の人数にカウントするべきか明確にする必要があります。

カウント対象

代表者、役員、営業担当者だけではなく、受付や事務担当であっても、宅建業の業務に少し手も携わるのであれば、原則として従事者としてカウントします。

カウント対象外

完全に他事業のみに従事し、宅建業には一切関わらない人は除外します。
これらの人数は、同時に提出する従業者名簿の人数と必ず一致していなければなりません。

よくある間違いと修正のポイント

実務上、審査で差し戻しになりやすいポイントをまとめました。

①人数の不一致

設置証明書の人数と、従業者名簿の人数が合っていない。

②専任の重複

一人の宅建士を、本店と支店の両方で専任としてカウントしている。専任は一か所にしか設置できません。

③代表者の氏名・住所

複数事務所があっても、証明書はあくまで法人の代表者です。代表者の氏名を記載し、法人の実印(代表者印)を押印します。

④専任の宅建士設置ルールの計算ミス

従業者6名になった瞬間、専任の宅建士は2名必要になります。1名で足りると思われているケースが多いので注意が必要です。

まとめ

専任の宅地建物取引士設置証明書は、一見シンプルですが、その裏付けとなる専任性や人数比率が厳しくチェックされます。特に支店が増えるほど、人員配置の管理は複雑になります。
神奈川県の申請においては、手引きに沿った正確な記載はもちろん、社会保険の加入状況などから実態として専任であるかを判断される場面もあります。
少しでもご不安を感じられたら当事務所へご連絡ください。スムーズな免許申請をサポートいたします。
グラス湘南行政書士事務所