建設業許可を維持していく上で、毎年の避けては通れない義務が決算変更届です。
何をどのように書けば良いのか、といった声を頂くのが、事業報告書です。
今回は、事業報告書とは何か、またその重要性について解説します。
そもそも事業報告書とは何か?
建設業における事業報告書とは、一言でいえばこの1年間、会社がどのような活動をし、どのような結果を得たか」をまとめた書類といえます。
決算変更届には、貸借対照表や損益計算書といった数字の書類を添付しますが、それだけでは見えてこない経営の背景を文章で補足する役割を担っています。
誰が作成しなければならないのか?
事業報告書の作成義務があるのは、株式会社などの法人のみです。
| 区分 | 事業報告書の作成 |
| 法人(株式会社・合同会社等) | 必要 |
| 個人事業主 | 不要 |
個人事業主の場合は、事業報告書の代わりに納税証明書や所得税の確定申告書の写しなどで売上を証明する形になります。
事業報告書には何を書くべき?
書式が自由すぎて困るとったお声も多いですが、基本的には以下の項目を記載します。自治体によって所定の様式がある場合もありますが、以下の要素を盛り込みます。
①事業の概況
今期、どのような工事をメインに受注したか、売上の増減はどうだったか、業界の動向が自社にどう影響したかを簡潔に記載します。
②受注工事の状況
公共工事が好調だった、民間マンションの修繕工事に注力したなど、具体的な受注の傾向を記します。
③設備投資や資金調達
新しく重機を購入した、事務所を移転した、あるいは増資を行ったといったトピックスがあれば記載します。
④今後の課題と見通し
来期以降、どのように事業を展開していくか。人手不足への対応や、新しい工法への挑戦など、前向きな展望を書くのが一般的です。
なぜ事業報告書を必ず作成しなければならないのか?
税務署に出す決算書があるんだから、それで十分じゃないか・・と思われるかもしれません。しかし、建設業法において事業報告書が必須とされているのには、明確な理由があります。
①建設業法上の法的義務
建設業許可業者には、毎事業年度終了後4ヶ月以内に決算変更届を提出する義務があります
建設業法第11条第2項引用
この届出を怠ると、5年ごとの許可更新ができなくなるほか、最悪の場合は罰則(6ヶ月以下の懲役または100万円以下の罰金)の対象になる可能性があります。
②閲覧制度により外部から見られる書類である
建設業許可の書類(決算変更届を含む)は、役所で一般公開(閲覧)されています。
・元請業者が下請業者を選定する際
・金融機関が融資の判断をする際
・競合他社が市場調査をする際
これらの場面で、会社の事業報告書がチェックされている可能性があります。単に義務だから出すのではなく、自社の健全性をアピールするツールという側面があるのです。
作成時に気をつけるべき3つの注意点
注意点1:会社法上の事業報告書との違い
株式会社であれば、株主総会用に会社法に基づいた事業報告書を作成しているはずです。建設業法の決算変更届に添付するものは、そのコピーでも構いません。ただし、内容があまりに簡素すぎたり、「例年通り」の一文だけだと、行政指導の対象になるケースもあるため注意が必要です。
注意点2:数字との整合性
損益計算書の売上高と、事業報告書に記載する今期の概況に矛盾があってはいけません。例えば、受注が好調だったと書きながら、利益が大幅に減っている場合は、その理由(資材高騰の影響など)も併せて記載しておかないと、書類としての信頼性を損なわれますので注意が必要です。
注意点3:提出期限の厳守
決算日(決算期末)から4ヶ月以内です。3月決算の会社なら7月末まで。この期限を過ぎてしまうと、経営事項審査(経審)を受ける会社は加点に響いたり、更新手続きで厳しくチェックされたりします。
忙しい経営者はどうするべきか?
現場を飛び回り、資金繰りや人員配置に追われる経営者様にとって、文書作成や書類整理は大きな負担といえます。
事業報告書に何を書けばいいかわからない・・
決算変更届が毎年も止まってしまっている・・
もし、そのような不安をお持ちであればぜひ、当事務所へお気軽にご相談ください。
まとめ
事業報告書は、1年間の業務成果を公的に証明するものです。正しく、丁寧な書類作成を心掛けることが、巡り巡って会社の社会的信用を守ることにつながります。
御社の状況に合わせた最適なアドバイスをさせていただきます。
「グラス湘南行政書士事務所」