工事をめぐるトラブルは、契約内容の解釈、技術的な問題、費用の清算など、専門的な知識がないと解決が難しいケースが多いです。特に、建設工事請負契約に関する紛争は、工事の規模が大きくなるほど、その解決には多大な時間と労力を要してしまいます。
そこで重要な役割を果たすのが、建設工事紛争審査会の役割です。今回は、この審査会がどのような機関で、どのような役割を担い、私たちにどう役立つのかを解説します。

建設工事紛争審査会とは?

建設工事紛争審査会は、建設業法第25条に基づき設置された公的な機関です。その目的は、建設工事の請負契約に関する紛争について、専門家が公正・中立な立場で、迅速かつ簡便な解決を図ることにあります。
建設工事のトラブルは、一般の裁判所に持ち込まれると、解決までに長い年月と高額な費用がかかることが少なくありません。これに対し、審査会は、裁判よりも専門的かつ迅速な解決をサポートするための、機関として位置づけられています。

設置場所

審査会は、中央(国土交通省)と各都道府県に設置されています。

中央建設工事紛争審査会(国土交通省内)

主に当事者の一方または双方が大臣許可の建設業者である場合の紛争などを扱います。

各都道府県建設工事紛争審査会

主に、当事者の一方または双方が知事許可の建設業者である場合の紛争などを扱います。神奈川県の場合、「神奈川県建設工事紛争審査会」がこれにあたります。

審査会が担う3つの役割

審査会は、主に次の3つの方法で紛争の解決を図ります。

①斡旋(和解の仲介)

・内容
当事者双方の主張の要点を確かめ、和解が成立するように仲立ちをします。
・特徴
話し合いによる解決を目指す最も簡易な手続きです。委員から和解案が提示されることもあります。

②調停(専門家による解決案の提示と受託の働きかけ)

・内容
専門家である調停委員が、当事者双方の主張を聞き、事実関係を調査した上で、具体的な解決案(調停案)を作成し、双方に受託を促します。
・特徴
あっせんよりも踏み込んだ手続きで、技術的・専門的な見地から適切な解決策が提案されます。当事者双方が調停案を受け入れれば、調停成立となります。

③仲裁(裁判所の判決と同等の効力を持つ裁定)

・内容
当事者双方が、仲裁によって紛争を解決することに合意した場合、審査会が裁判所と同様に、判断(仲裁判断)を下します。
・特徴
この仲裁判断は、裁判所の判決と同一の効力を持ちます。つまり、当事者双方を法的に拘束し、強制的に紛争を終結させることができます。最も強力な解決手段といえます。

審査会のメリット

建設業者や依頼主にとって、審査会を利用するメリットは多数あります。

専門性と迅速性

建設工事のトラブルは、図面の解釈、施工技術の適否、材料の品質など、建設業特有の専門知識が不可欠です。審査会の委員は、建築・土木の専門家、法律家、行政経験者など、その道のプロで構成されています。
これにより、専門性の高い問題を、一般の裁判所よりも的確かつ迅速に判断・解決に導くことが可能です。スピーディな解決は、建設業者が次の工事にスムーズに取りかかるためにも非常に重要です。

低コストと非公開性

裁判と比較して、審査会への申請手数料は一般的に定額です。また、手続きが非公開で行われるため、企業間の機密情報やトラブルの内容が外部に漏れるリスクを最小限に抑えられます。これは、企業の信用維持の観点からも大きなメリットいえます。

柔軟な解決

特に斡旋や調停では、当事者の意向を最大限に尊重した柔軟な解決が可能です。将来的な取引関係も考慮に入れた、実務的な和解に繋がりやすいという特徴があります。

行政書士としてのアドバイス

トラブルを未然に防ぐことや迅速に解決するために、次の点をお勧めします。

契約書の整備と履行の記録

紛争の大半は、契約書の不備や口頭での合意から生じます。着工前の見積書、図面、請負契約書は、建設業法の規定に従い、曖昧な点を残さず明確にしておくことが重要といえます。また、工事の進捗や変更、追加工事に関するやり取りは、すべて書面やメールで記録し、証拠を残しましょう。

審査会への申請サポート

万が一紛争が発生した場合、審査会への申請手続きは複雑です。どのような資料を提出するべきか、どのような主張を構築するべきかなど、専門的な知見が必要となります。
特に、神奈川県の業者様は、県建設工事紛争審査会を活用することで、時間とコストを抑えながら、公正な解決を目指すことができます。
当事務所では、紛争の事実関係を整理し、必要な証拠書類の作成や、審査会への申請手続きをサポートすることで、建設業者様の負担を軽減し、迅速な解決を支援します。
お気軽にご相談ください。
グラス湘南行政書士事務所