建設業界で事業を営む上で、建設業許可は事業の信用と継続性に不可欠なものです。しかし、この許可を不正な手段で取得しようとしたり、他者に名義を貸したりする行為は、建設業法に違反する重大な犯罪行為であり、その罰則や社会的制裁は計り知れないものがあります。安易な考えで不正を行い、その代償として事業のすべてを失うリスクがあります。
今回は、建設業許可における不正取得と名義貸しが発覚した場合にどのような罰則が科されるのかを解説し、皆様の事業を守るための注意喚起とさせていただきます。

なぜ建設業許可の不正取得・名義貸しは許されないのか?

建設業許可制度は、適正な施工体制と経営基盤を持つ業者を選別し、発注者(国民)の保護と建設業の健全な発展を目的として設けられています。
許可の要件として求められる常勤役員等(経管)や営業所の技術者(専技)は、名前を借りるだけの制度ではありません。これは会社の技術的な責任と経営の継続性を確保する、会社の要となる存在といえます。
これらの要件を満たしていないにもかかわらず、虚偽の申請によって許可を受ける行為や、他者に名義を使用させる行為は、以下の点で制度の根幹を揺るがす行為といえます。

消費者・発注者の信頼を裏切る行為

許可制度が保証するはずの適正な業者という看板を偽ることになります。

不公正な競争の助長

要件を満たしたうえで堅実に事業を営む他の業者との間で、不公正な競争環境を生み出します。

重大な事故、トラブルのリスク増大

実務経験や技術力のない者が工事を行うことで、手抜き工事や重大事故を引き起こす危険性が高まります。

恐ろしい行政処分とは?

不正取得や名義貸しが行政庁に発覚した場合、行政処分が下されます。

①許可の取消処分

最も重い行政処分が許可の取消です。
虚偽の申請や不正な手段で許可を取得したことが判明した場合、建設業法第28条に基づき、その許可は取り消されます。

許可取消後の5年間の欠格期間

許可が取り消されると、その法人(会社)および処分時に役員等であった個人は、取消の日から5年間は新たに建設業許可を再取得できません。これは、事業の実質的な停止を意味します。
もし、許可を必要とする500万円以上の工事を受注していれば、それらの契約を履行できなくなり、違約金や損害賠償請求に発展する可能性が極めて高くなりますので注意が必要です。

②営業停止処分

取消に至らない場合でも、情状によって営業停止処分が下されることがあります。営業停止期間中はもちろん工事を請け負うことができません。特に公共工事の入札参加資格を持つ事業者は、この処分により公共工事の指名停止措置も連鎖的に受けることになり、公的事業からの撤退を余儀なくされます。

最も恐るべき刑事罰の可能性は?

不正取得や名義貸しは、行政処分に留まらず、刑事罰の対象となります。建設業法に定める虚偽申請等に対する罰則は非常に重く、「知らなかった」では済まされないケースとなります。

①不正取得、虚偽申請の罰則

建設業法第47条、第50条により、虚偽や不正な手段で建設業許可を取得、更新した場合、あるいは申請書に虚偽の記載をして提出した者は、以下の懲役刑または罰金刑に処される可能性があります。

違反行為の例建設業法上の主な罰則
虚偽・不正な手段での許可取得3年以下の懲役または300万円以下の罰金
許可申請書・添付書類への虚偽記載6ヶ月以下の懲役または100万円以下の罰金

②名義貸しの罰則

建設業法は、許可を受けた建設業者がその名義を他人に使用させることを明確に禁止しています。

名義を貸した側

許可の取消処分に加え、虚偽申請にあたる場合は、上記の刑事罰の対象となります。

名義を借りた側

無許可営業として、3年以下の懲役または300万円以下の罰金の対象となります。
名義を貸した側も借りた側も、両者が刑罰を負うことになります。特に、法人(会社)の代表者や従業員が罰則を受けた場合、法人自体にも罰則が科される両罰規定が適用されます。

信用失墜という見えない制裁

行政処分と刑事罰を受けてしまった場合、法的な制裁のほかに見えない制裁ともいえる信用失墜が挙げられます。

①金融機関からの融資ストップ

許可取消や営業停止処分、刑事罰を受けた事実が公になりると、金融機関は融資の停止や回収、新たな融資拒否に繋がるリスクがあります。その結果、資金繰りを一気に悪化させ、倒産に繋がる恐れがあります。

②取引先・元請けからの取引停止

コンプライアンスを重視する現在の建設業界において、不正行為で行政処分を受けた業者は、元請業者や取引先から即座に取引を停止されることがほとんどです。

③従業員の離職と採用難

会社の不正が公になれば、従業員は不安を感じ離職し、新たな人材の採用も極めて困難になります。

まとめ

建設業許可は、時間をかけて要件を整備し、正しく申請することで、初めてその価値が発揮されるといえます。
許可要件等でご不安を抱えていましたら当事務所までご連絡ください。合法的な方法で最適な計画を一緒に策定し、サポートさせて頂きます。
グラス湘南行政書士事務所