都市部や狭小地での建築工事、外壁改修、重量物の搬入出において、クレーン車やレッカー車による作業があります。
しかし、敷地内にクレーンを据え付けるスペースがないため、やむを得ず道路上に車体を停めてしまったり、アウトリガーが歩道や車道にはみ出してしまうといった現場はよくあります。
ここで問題になるのが、警察署へ提出する道路使用許可や、状況に応じた道路管理者との協議や手続きです。

道路をふさいで作業をしたら、警察から指導が入って工事が止まった・・
特殊車両の許可を取っているから、現場でクレーン作業をする許可も一緒だと思っていた・・

このようなトラブルや誤解は、致命的な工期遅れやコスト増を招きます。
今回はクレーン車を使用する工事において、工事計画への影響を最小限に抑え、スムーズに許可を取得するためのポイントを解説します。

クレーン車作業で道路使用許可が必須になるケース

道路交通法上、道路を本来の通行以外の目的で使用する場合や、交通に影響を及ぼす作業を行う場合には道路使用許可が必要です。クレーン車を用いた作業では、以下のようなケースで確実に許可が必要となります。

・道路上にクレーン車本体を完全に停車させて作業を行う場合
・車両本体は敷地内にあるが、左右のアウトリガーが車道や歩道にはみ出す場合
・クレーン作業に伴い、レッカー車や資材搬入車が車線をふさぎ、片側交互通行や通行止め等の交通規制を行う場合
・資材の道路上空を旋回・通過するにより、歩行者や一般車両の安全確保が必要な場合

たとえ短時間の作業であっても、道路の交通に影響を与える以上、事前の許可取得が必須となります。

特殊車両通行許可と道路使用許可の混同

大型クレーンを動かすために特殊車両通行許可を取っているから、道路での作業も行えるという誤解があります。
しかし、特殊車両通行許可は道路での作業を行うための許可ではありません。

特殊車両通行許可

車両の重量や寸法が一般制限値を超える車両が、道路を通行することを認めるための許可

道路使用許可

道路上で車両を停止させ、クレーンを架設して作業を行うことや交通規制を行うための許可
現場までクレーン車を走らせる許可と現場でクレーンを据えて作業する許可は別々に取得しなければならないのです。警察署によっては、道路使用許可申請の際に特殊車両通行許可証の提示や確認を求められるケースもあり、事前の綿密な確認が欠かせません。

道路管理者への対応と反力・路面保護の重要性

クレーン車特有のものとして、警察署の道路使用許可だけでなく、道路管理者(国、都道府県、市区町村)との協議や承認が問題になるケースがあります。
特に大型のクレーン車の場合、以下の点が厳しく審査されます。

アウトリガーの接地荷重の計算

クレーンが重い資材を吊り上げた際、数トン~数十トンに及ぶ強烈な荷重がアウトリガーの接地部分に集中します。道路の耐荷重を超えるおそれがある場合、道路管理者から構造計算や反力計算書の提出を求められることがあります。

路面・地下埋設物への影響と養生計画

アスファルトやインターロッキングブロック、あるいは歩道橋や地下にガス管・水道管などの埋設物がある場合、路面が陥没・破損する危険性があります。そのため、鉄板敷きなどの適切な路面養生計画を事前に協議・提示しなければならないケースが少なくありません。

工事計画への影響を最小限に抑える4つのアプローチ

クレーン作業を伴う工事で、手戻りや工期遅延を防ぐためには、計画段階から次の4つを意識することが重要です。

➀施工計画の初期段階から道路事情を織り込む

クレーンをどこに据えるかやどの範囲が道路にかかるかを、施工の初期段階で明確にします。前面道路の幅員やバス路線であるか否かによって、許可の難易度や警察との協議期間が大きく変わるためです。

➁余裕を持ったスケジュール設定

道路使用許可は通常、申請から交付まで数日〜1週間程度かかりますが、大規模な全面通行止めや片側交互通行を伴う交通規制の場合や、道路管理者との協議が並行する場合は、1ヶ月近く前からの準備・協議が必要になることも珍しくありません。スケジュールは常に前倒しで動く必要があります。

➂警備員配置計画や迂回路の精緻化

クレーン作業に伴う交通誘導員の人数、配置場所、一般車・歩行者の迂回路を具体的に作成します。警察署との事前協議で、この警備体制では不十分と指摘されると、計画の練り直しを余儀なくされるため、実効性の高い安全計画が求められます。

➃行政書士への依頼

現場監督や施工管理担当者が、不慣れな警察署の窓口への足しげく通うことや、細かな図面修正に時間を取られるのは、現場全体の生産性低下に直結します。 専門の行政書士に依頼することで、法令・ローカルルールに準拠した申請書類・図面の作成、警察や道路管理者との事前協議をスムーズに進め、確実な工期遵守をサポートできます。

まとめ

クレーン車を用いた工事は、わずかな道路のりはみ出しや手続きの不備が、工事全体のストップや行政指導を受ける可能性があります。
現場のクレーン作業で、道路使用許可や管理者との協議などに不安のある方は当事務所までお気軽にご相談ください。
グラス湘南行政書士事務所