建設業許可を維持するうえで、営業所技術者(専技)は、非常に重要な立場です。営業所技術者(専技)が不在になると、最悪の場合は許可そのものを失い、500万円以上の工事を受注できなくなるというリスクがあります。
万が一、営業所技術者(専技)の退職が決まったら、すぐに次の対策を講じる必要があります。
今回は、営業所技術者(専技)が退職する際、会社がやるべき3つのことを解説します。
営業所技術者(専技)の退職は、許可失効の危機?
営業所技術者(専技)は常勤で一定の資格や実務経験を持つ者が、各営業所に常駐していなければなりません。そのため、その人が会社を去った時から許可要件を満たさなくなってしまいます。
この状態を放置してしまうと行政から重いペナルティを科されるリスクがあります。そうした事態を防ぐため、以下の3つのステップを速やかに進めてください。
➀後任となる営業所技術者(専技)の要件確認
営業所技術者(専技)の退職届を受理したら、速やかに後任の確保に動かなければなりません。
社内に対象者がいないか確認
社内の既存社員の中に、代わりを務められる資格や実務経験を持った人材がいないか確認します。
・国家資格者(1級・2級施工管理技士、建築士など)の保有者
・指定学科を卒業し、一定期間(大卒3年、高卒5年など)の実務経験がある者
・資格はないが、10年以上の実務経験を証明できる者
外部からの即時採用
社内に該当者がいない場合は、要件を満たす営業所技術者(専技)を至急採用する必要があります。
空白期間は原則NG!
建設業許可において、営業所技術者(専技)の不在期間が生じることは原則認められていません。前任者の退職日と、後任者の入社日は、空白期間が生じないことが原則です。空白期間が空いてしまうと、その期間は要件を欠いていたとみなされ、手続きが難航してしまいますので注意が必要です。
➁退職、交代から14日以内の変更届提出
後任を採用した場合、あるいはどうしても採用できなかった場合であっても、営業所技術者(専技)が退職、変更になった事実は行政庁に届け出る義務があります。
建設業法では、営業所技術者(専技)に変更があった場合、変更があった日から14日以内に管轄の都道府県(または国土交通省)へ変更届を提出しなければならないと定められています。
役員の変更などは30日以内ですが、営業所技術者(専技)の変更は14日以内ですので、注意が必要です。
変更届に必要な書類
後任の営業所技術者(専技)を配置して変更届を提出する際、以下の証拠書類をセットで提出します。
| 求める確認内容 | 必要となる主な資料 |
| 技術者としての要件 | 国家資格証の原本(写し)、実務経験証明書など |
| 会社への常勤性 | 会社名が記載されたもの、在職証明など |
| 前任者の退職証明 | 雇用保険被保険者離職票の写し、退職届の写しなど |
これらの資料を14日以内にすべて揃えて提出しなければならないため、退職が決まった段階から逆算して準備を始めなければ間に合いません。
➂後任不在なら、一部廃業届を提出
14日以内にどうしても後任が見つからない場合、自主的な一部廃業届の提出を検討します。
許可取消処分と自主的な廃業届の決定的な違い
後任がいない状態で放置していると、行政庁から要件を欠いていると指摘されるリスクがあります。その場合、行政庁から許可取消処分の対象となります。
放置して許可取消処分を受けた場合
行政処分を受けた事実が都道府県の公報などに企業名とともに公表されます。公表によるリスクは、法令遵守の欠如というマイナスイメージと、元請企業からの取引停止、銀行融資のストップなど、実質的な営業停止状態に追い込まれます。
自主的な廃業届を提出した場合
自ら営業技術者(専技)がいなくなったので、一度この業種の許可を廃業しますといった、一部廃業届は、提出することで行政処分になりません。当然、企業名が不名誉な形で公表されることもありません。
復活への最短ルートを検討する
自主的に一部廃業届を提出しておけば、その後、無事に新任の営業所技術者(専技)を採用したタイミングで、いつでも許可を再取得することが可能です。
会社の信用に傷をつけず、復活への道を繋ぐためにも、後任がいない場合は期限内に引き際を見極める決断が必要です。
まとめ
営業所技術者(専技)の退職は、会社の存続に影響する問題です。代表者ご自身が営業所技術者(専技)であることが望ましいですが、代表者が営業所技術者(専技)でなければ、退職を告げられる前に、社内に営業所技術者(専技)を複数人いることが最も対策となります。
当事務所では、要件確認から変更届の作成、一部廃業届の作成など承ります。
まずは一度、お問い合わせください。
「グラス湘南行政書士事務所」