建設業許可は建設業法という一つの法律に基づいているものの、その審査基準は自治体ごとに若干の違いがあります。特に10年の実務経験を証明するためのハードルは、東京都と神奈川県で異なります。
今回は、実務経験の証明について異なる点を解説します。
東京都の3ヶ月ルールという高い壁
東京都知事許可で実務経験を証明しようとする場合、避けて通れないのが3ヶ月ルールです。
これは、工事実績を証明する資料(契約書、注文書、請求書など)の間に、3ヶ月以上の空白があってはならないという運用です。
これはどういう事かというと、前の工事の完了から次の工事の開始までが3ヶ月を超えると、その期間は経験としてカウントされない、あるいは継続性がないと判断されるリスクがあります。
10年間の証明をするためには、3ヶ月に1回、空白期間のないように120ヶ月分の期間を埋めるような作業が求められるのです。
神奈川県は社会保険と通年の整合性が肝
一方で、神奈川県知事許可の審査は、資料の密度というよりかは、実態としての在籍と稼働を重視する傾向にあります。
神奈川県では、社会保険の加入記録を厳格にチェックします。厚生年金に加入しているとうことは、その会社でフルタイムで働いているという推定が働くため、期間中の工事実績については、東京都ほど、細かく区切って資料を出すことは求められません。
1年に数件で認められるケース
神奈川県の場合、1年を通じてその業種の工事を継続的に行っていることが確認できれば、1年に数件、例えば各年度1~2件程度の資料提示で1年分の経験として認められるのが一般的です。
なぜ東京都と神奈川県で異なるのか?
同じ建設業法に基づく手続きなのに、なぜ運用が異なるのでしょうか。
それは、各自治体が「いかにして虚偽申請を防ぐか」という点において、異なるアプローチをとっているからです。
東京都
膨大な申請件数を効率的に、かつ厳格にさばくため、資料の連続性という定量的な物差しを重視します。
神奈川県
社会保険の加入状況という公的な記録を軸に据え、そこに実務の裏付けを数点添えるという、実態に即した柔軟な審査を行っているといえます。
| 項目 | 東京都(知事許可) | 神奈川県(知事許可) |
| 工事資料の頻度 | 原則として毎月1件 | 1年につき数件(実態重視) |
| 入金確認 | 通帳原本との照合が厳しい | 請求書中心(疑義があれば通帳) |
| 年金記録の扱い | 必須資料として厳格に運用 | 期間認定の柱として重視 |
| 審査の印象 | 形式に厳しく、1枚でも欠けると困難 | 実態を重視するが、説明責任が重い |
神奈川県の注意点
神奈川県の方は証明する資料が少ないからといって、もちろん適当で良いわけではありません。資料が少ない分、提出する1枚1枚の質が問われます。
例えば、請求書の内容で、本当にその業種の営業所の技術者(専技)としての経験が証明できるのか、厚生年金加入期間と、工事の時期が一致しているか、などを的確に整理し、行政庁を納得させることができないと、結局は追加資料を求められたり、最悪の場合は申請ストップに陥る可能性があります。
また、神奈川県独特の実務経験証明書(様式第七号)の書き方のコツや、他業種との兼ね合いなど、専門家でなければ気づかない落とし穴が随所にあることも事実です。
まとめ
10年前の書類なんて、3ヶ月おきに揃っていない・・
前職の社会保険記録はあるけど、工事の控えが少ししかない・・
当事務所では、神奈川県特有の審査傾向に基づき、お客様の手元にある限られた資料から、最大限に実務経験を証明するルートを構築します。
もちろん、東京都の許可申請も承っています。お気軽にご相談ください。
「グラス湘南行政書士事務所」