宅建業の新規免許申請や更新申請、あるいは専任の宅地建物取引士の変更届など、手続きの際に必ず提出するべき資料があります。それは宅地建物取引業に従事する者の名簿(以下、従業者名簿)です。
一見すると、単に従業員の名前を並べるだけの書類に見えますが、従業者証明書番号の採番ルールや役職の書き方など、行政書士でも細心の注意を払うポイントが凝縮されています。
今回は、神奈川県の手引きを基に、失敗しないための書き方のコツを解説します。
従業者名簿とは?なぜ必要なの?
宅建業法第48条に基づき、宅建業者は事務所ごとにこの名簿を備え付ける義務があります。「誰が、いつから、どのような役割で働いているか」を明確にすることで、消費者保護と業務の適正化を図るためのものです。
(証明書の携帯等)
第48条 宅地建物取引業者は、国土交通省令の定めるところにより、従業者に、その従業者であることを証する証明書を携帯させなければ、その者をその業務に従事させてはならない。
2 従業者は、取引の関係者の請求があつたときは、前項の証明書を提示しなければならない。
3 宅地建物取引業者は、国土交通省令で定めるところにより、その事務所ごとに、従業者名簿を備え、従業者の氏名、第1項の証明書の番号その他国土交通省令で定める事項を記載しなければならない。
4 宅地建物取引業者は、取引の関係者から請求があつたときは、前項の従業者名簿をその者の閲覧に供しなければならない。
神奈川県 宅地建物取引業法免許申請書等の記載手引 引用
免許申請時だけではなく、5人以上の従業員に対し、1人以上の専任の宅地建物取引士がいるかという設置要件を確認するための極めて重要な書類になります。
記入を始める前に3つの鉄則
作成に当たって、まず以下の3つを押さえておきましょう。
①事務所ごとに作成する
本店なら本店、支店なら支店ごとに、その事務所に勤務している人を記入します。
②監査役は記入できない
ここが意外と落とし穴です。法人の監査役は、宅建業の業務に従事することができないため、この名簿には載せられません。
③100名を超える場合は桁が変わる
通常は後述する6桁ですが、100名を超える大規模な事務所の場合は7桁になります。
項目の書き方ステップ解説
それでは、具体的な書き方を見ていきましょう。
①従業者証明書番号
ここが最も間違えやすい項目です。原則として6桁の数字で構成します。
(採番のルール)
西暦の下2桁 + 採用月2桁 + 個別の連番2桁
例えば、2019年5月に採用された5番目の従業員の場合は19(年)+05(月)+06(連番)で190506となります。
新規免許申請の場合
採用月は申請する日の月を記入します。
連番の注意点
本店・支店がある場合、会社全体で通し番号にします。また、退職者が出てもその番号は欠番とし、使い回しはしません。
②主たる職務内容
以下の5つの分類から実態に近いものを選んで記入します。
・代表者
・営業
・経理
・総務
・事務
③宅地建物取引士であるか否かの別
ここには専任の取引士か、それ以外かを記入します。
専任の宅地建物取引士の場合
登録番号の前に「〇」を付け、カッコ内に登録番号を記入します。例えば〇((神奈川県)第12345号)といった具合です。
専任以外の宅地建物取引士の場合
「〇」は付けず、カッコ内に登録番号のみ記入します。
宅建士でない場合
記入不要(空欄)です。
作成時の注意点とよくある質問
よくある質問として、以下のようなものが挙げられます。
非常勤の役員は載せる必要があるの?
非常勤の役員も載せる必要があります。非常勤であっても、宅建業の業務に従事する役員であれば記載の対象です。
従業員が1枚に収まりきらないときは、どうしたらいいの?
同じ様式を複数枚使用して記入していきます。その場合、2枚目以降も事務所名などのヘッダー部分はしっかり記入しましょう。
まとめ
従業者名簿は、一度作成して終わりではありません。従業員の入退社があるたびに更新し、事務所に備え付けておく必要があります。
特に専任の宅地建物取引士が退職した場合は、15日以内に変更届を出さなければならないという厳しい期限があります。この名簿が正しく管理されていないと、いざという時の手続きで戸惑ってしまいますので注意が必要です。
記入方法で不安のある方は、一度当事務所へご連絡ください。複雑な書類作成からスケジュール管理まで、トータルでサポートいたします。
「グラス湘南行政書士事務所」