建設業許可を取得している事業者様にとって毎年やってくる決算変更届(事業年度終了届)は、意外と忘れがちな手続きではないでしょうか。
法人税の確定申告が終了して、許可の更新もまだ先だとほっと一息。そこには4ヶ月の落とし穴が潜んでいるかもしれません。
今回は、建設業許可の決算変更届の提出期限である4ヶ月という期間について、なぜこの届出が遅れがちになるのかについて解説します。

そもそも決算変更届とは何か?

建設業法第11条第2項により、許可を受けている事業者は、毎事業年度終了後4ヶ月以内に、その事業年度の決算内容を許可行政庁に届け出なければなりません。
これが決算変更届です。主な内容は以下の通りです。

・工事経歴書:その期にどの発注者から、いくらで工事を請け負ったか。
・直近3年度分の工事施工金額:業種ごとの売上実績。
・財務諸表:建設業簿記のルールに則って書き換えた貸借対照表・損益計算書など。
・納税証明書:法人税または所得税を正しく納めているかの証明。

ここで注意が必要なのは、法人税の決算書(税務署提出)をそのままコピーして提出してはいけません。

法人税の決算書が完成するまでの時間を考慮

なぜ4ヶ月という期間が、これほどまでに短く感じるのでしょうか。そこには税務申告と決算変更届の提出の期間が、合わせて4ヶ月以内だと認識することにあります。

税務申告が終わらないと、決算変更届の作成に着手できない?

法人の場合、通常は決算日から2ヶ月以内に法人税の確定申告を行います。建設業の決算変更届に添付する建設業財務諸表は、この確定申告で確定した数字をベースに作成します。
つまり、実質的な作業スタートは決算日から2ヶ月後からになるのです。
例えば、現場が忙しく、資料を税理士の先生に渡すのが遅れてしまったり、税理士事務所も繁忙期で、決算書が上がってくるのが期限ギリギリであるなどの理由があります。
このような事態になると、手元に決算書が届いたときには既に4ヶ月の期限まで残り1ヶ月を切っている・・というケースが多々あります。
そこから工事経歴書を整理し、何十件、何百件もの工事を業種別に振り分け、さらに建設業独自の勘定科目に組み替える作業を行うことになるのです。

4ヶ月を過ぎるとどうなる?3つの致命的なリスク

少しくらい遅れても、更新時までにまとめて提出すればいいでしょ・・

そのようにお考えであれば、非常に危険です。

①許可の更新・業種追加が受理されない

これが最も恐ろしいリスクです。5年に一度の許可更新や、新しい業種を追加したい時の申請において、過去5年分の決算変更届がすべて提出されていることが絶対条件となります。期限を過ぎてまとめて提出しようとすると、受付窓口で厳しく指導されたり、最悪の場合、更新が間に合わずに許可が失効する恐れもあります。

②経営事項審査(経審)が受けられない

公共工事への入札を希望される方にとって、決算変更届の遅延は致命的です。経審は決算変更届を出していることが前提となるため、この届出が遅れると公共工事の格付けに間に合わず、入札チャンスを逃すことになりますので注意が必要です。

③コンプライアンス違反としてのペナルティ

建設業法違反として、行政処分の対象となる可能性があります。近年、コンプライアンスを重視する元請業者が増えており、決算変更届を適正に出していないことが発覚すると、現場への入場を断られたり、契約を切られたりするリスクもあります。

行政書士と税理士の連携

この4ヶ月以内の対策として早めの準備しかありません。

①工事台帳をリアルタイムで整理する

決算が終わってから「あの工事は何だっけかな?」と思い出すのは時間がかかります。

②税務決算の早期確定

税理士の先生に対し、建設業の届出があることを、あらかじめ伝えておくことが重要です。

③当事務所のような行政書士を活用する

確定申告が終わる前から、工事経歴書の作成に着手できるのが専門家の強みです。

まとめ

建設業許可は、一度取得すれば安泰というものではありません。毎年の決算変更届の提出の積み重ねが、社会的信用を守り、許可という大きな看板を支えているといえます。
許可は取得よりも維持することの方が難しいといえます。
今回の記事で、少しでも不安に感じられたら、当事務所へお気軽にご相談ください。法人税の決算書の完成を待つ間にも、できる準備は多々あります。4ヶ月以内の落とし穴を回避しましょう。
グラス湘南行政書士事務所