「自分は個人事業主だけど、建設業許可を取得できるのかな?」その様に考えている方もいらっしゃるのではないでしょうか。結論からいいますと、個人事業主でも建設業許可は取得できます。建設業許可には主に常勤役員、営業所技術者、誠実性、財産要件などの要件があるのですが、この要件は個人事業主でも法人でも、超えなくてはならない要件です。逆にこれらの要件がクリアできれば、個人事業主でも建設業許可を取得することができるのです。今回は個人事業主が建設業許可を取得する場合について、注意点も含めて解説します。
(1) 建設業許可の必要性と個人事業主の可能性
建設業許可は前述したとおり、様々な要件をクリアすることで、国や都道府県から建設工事を請け負うことを、許可される制度です。この許可を取得することにより、500万円以上の規模の工事を、受注できるようになります。
(2) 個人事業主がクリアするべき4つの要件と具体的なポイント
下記以外の要件もあるのですが今回は、大きな要件として4つご紹介します。
要件1:常勤の役員等(経管)
この要件は、建設業における経営経験を持つ人物を、事業所に置くことを求めています。
- 申請者本人が建設業に関し、5年以上、役員等の経験があること
- 申請者本人が建設業に関し、6年以上、経営業務に補佐する経験があること
個人事業主の場合は原則、申請者本人がこの要件を満たす必要があります。
要件2:営業所技術者(専任技術者)
この要件は、許可を受けようとする建設工事について、専門的な知識や経験を持つ技術者を営業所ごとに常勤で、配置することを求めています。
実務経験で証明する方法と国家資格の保有で、証明する方法があります。
実務経験:10年以上の申請する業種に関する実務経験があること
国家資格の保有:1級、2級建築士、1級、2級施工管理技士など、許可を受けたい業種に応じた資格を保有していること
この要件は、申請者本人の他、家族や従業員が常勤で配置されている必要があります。
要件3:誠実性
この要件は、申請者やその役員等が、過去に不正や不誠実な行為をしていないことを、証明するものです。
- 過去に建設業法違反がないこと
- 詐欺や横領などの刑法上の罪を犯していないこと
この要件は、直近5年以内に建設業法に違反した経歴がないかが、厳格にチェックされます。
要件4:財産的基礎または金銭的信用
事業を継続するだけの財産があることを証明する要件です。
- 自己資本額が500万円以上あること
- 500万円以上の預貯金残高証明書を提出できること
- 金融機関から融資が行けられる信用力があること
個人事業主の場合、事業用口座の残高証明書や自己資本として、事業借の金額を含めて証明することになります。自己資本額が少ない場合でも、残高証明書で要件を満たすことが可能です。
(3) 個人事業主が注意すべきポイント
個人事業主が許可申請する際に、特に注意するべきポイントを挙げます。
経歴の証明は重要
特に経営業務の管理責任者や専任技術者の要件を満たす際、過去の事業経歴や実務経験を客観的に証明する必要があります。客観的な証明書類としては、確定申告書や請負契約書などです。これらの書類は日頃から整理し、必要なときにすぐに出せるようにしておくことが重要です。
営業所の明確化
個人事業主の場合、許可の対象となる営業所が、自宅兼事務所のケースが多いと言えます。この場合、営業所が独立した部屋として機能しているか、事業に必要な設備(電話、机、PCなど)が整っているかを証明する必要があります。
許可取得後の継続的な管理
許可を取得した後も、決算変更届の提出や更新申請など定期的な手続きが必要です。これらを怠ると、建設業法違反として罰則の対象となる可能性がありますので、注意が必要です。
個人事業主でも、建設業許可の取得は可能と言えますが、取得には専門的な知識と時間を要します。日々の業務お忙しい皆様におかれましては、許可申請手続きを行うことは容易ではありません。
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