産廃業の許可申請において、経理的基礎という要件があります。この経理的基礎という要件の曖昧さに頭を抱えている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
今回は、この経理的基礎の曖昧さを解き明かし、特に混同しやすい赤字と債務超過の違い、そして要件に抵触した場合の解決策を解説します。
経理的基礎の必要性
産業廃棄物の収集運搬業を開始、あるいは更新する際に必要な要件として経理的基礎というものがあります。
なぜ産廃業者にこの様な財務の健全性が求められるのでしょうか。
それは、万が一業者が倒産してしまった場合、回収した廃棄物が不法投棄されるリスクがあるからです。つまり自治体は、最後まで責任を持って運ぶことのできる財産的能力があるかをチェックしています。
しかし経理的基礎という非常に曖昧で、基準も自治体ごとに微妙に異なります。
赤字は損益計算書の話?
赤字とは平たくいうと、一年間の収支がマイナスだったという状態です。これは損益計算書上の話です。例えば、新車を購入した、大きな設備投資をした、あるいは売上が振るわなかった等、様々ですが単年度の赤字だけで即、不許可が決まるわけではありません。
債務超過は貸借対照表の話?
一方で、審査でより厳しくチェックされるのが債務超過です。
債務超過とは、貸借対照表において負債の部合計が資産の部合計を上回っている状態を指します。
債務超過は損益計算書ではなく、貸借対照表で判断されます。会社を設立した際、通常は資本金があります。これは手元にあるプラスの資産ですから、創業時は一般的にプラス(純資産がある状態)からのスタートです。
しかし、毎年の赤字が積み重なると、会社が抱える負債の方が持っている資産よりも多くなってしまった状態が債務超過です。
経理的基礎の曖昧さ
前述したように、債務超過だからといって即、不許可というわけではありません。
例えば、神奈川県を含む多くの自治体では、以下のような基準を設けています。
あくまで一般的な傾向ですので、参考程度にご覧ください。
・直近の自己資本比率10%以上、かつ経常利益がプラス→問題なし
・直近は赤字だが、純資産はプラス→基本的には問題なし
・直近は債務超過だが、過去3年の平均では利益が出ている→個別判断
・直近3期連続で赤字、かつ債務超過→かなり厳しい
このように、単一の数字だけではなく、過去3年間の推移や今後の見通しを総合的に判断されるため、一見してNGと思うような財務状況でも、諦めてはいけません。
厳しい際の経営改善計画書とは?
万が一、直近の決算で債務超過に陥っており、そのままでは経理的基礎が認められないと判断された場合、まだ策はあります。
許可行政庁は現在の数字が悪いことだけを理由にNGを出すのではなく、今後どのように立て直すのかを確認してくれます。そこで経営改善計画書の提出があります。
経営改善計画書を提出するパターン
債務超過や継続的な赤字がある場合、追加書類として今後5年間でどのように財務状況を改善し、債務超過を解消するかを具体的に示した計画書を提出します。
➀現状分析:なぜ赤字・債務超過になったのか、要因は一過性か?
➁具体的な対策:経費削減、新規顧客の獲得、役員借入金の免除など
➂収支計画表:先々5年分の予測損益計算書
多くの場合、この計画書に中小企業診断士や税理士といった専門家の知見や署名捺印を添えることで、計画の実行性が担保され、許可が下りる可能性が高まります。
まとめ
債務超過は貸借対照表で見るものです。この基本を押さえるだけでも、自社の状況を正しく把握できるようになります。
たとえ数字が厳しくても、創業時の資本期の蓄積があったり、あるいは説得力のある改善計画を書くことで、道は開けます。
神奈川県内での申請はもちろん、財務面でも不安がある方は、まずは一度当事務所へご相談ください。
「グラス湘南行政書士事務所」