宅建業を営む中で、事務所以外の場所で契約を締結したり、予約を受け付けたりすることがあります。例えば、分譲マンションのモデルルームや住宅展示場でのイベントブースなどがそれにあたります。
実は、事務所でない場所、例えば案内所などで特定の業務を行う場合、宅建業法第50条第2項に基づき、事前に届け出を行う義務があります。これがいわゆる様式第十二号の届出書です。
今回は、この様式第十二号とは何なのか、どんな時に提出が必要で、何に注意するべきかを解説します。

そもそも様式第十二号の届出とは?

※神奈川県 宅地建物取引業法 免許申請書等の記載手引 抜粋

宅建業者が、免許を受けた事務所以外の場所で、以下の業務を行う場合には、あらかじめその場所を管轄する知事および免許権者に届け出なければなりません。

契約の締結

売買・交換・賃貸の契約を結ぶこと

契約の申込みの受理

購入予約や抽選への申込など
これが広告・宣伝・案内しか行わない場所であれば、この届出は不要です。しかし契約の締結、購入の予約を受けるといった可能性があるなら、届出が必須となります。

どんな場所に設置する時に必要なの?

神奈川県の手引きによると、主に以下の4つのケースが該当します。

①継続的に業務を行うことができる施設を有する場所(出張所的な場所)
②一団の宅地建物の分譲(10区画以上または10戸以上)のために設置する案内所
③他の業者が行う一団の分譲を代理・媒介するために設置する案内所
④展示会などの催しを行う場所(住宅フェアのブースなど)

ここでポイントなのは、10区画・10戸未満の小規模な現場については、法律上の届出義務はないという点です。ただし、実務上はコンプライアンスの観点から慎重な判断を求められます。

忘れてはいけない2つの鉄則

この届出には、守らなければならない厳しいルールがあります。

①10日前までに届け出ること

案内所等で業務を開始する日の10日前までに、届け出を完了させなければなりません。中10日間を開ける必要があるため、例えば、10月30日から営業したいのであれば、10月19日以前に提出を済ませる必要があります。直前に忘れていることに気付いても、日付を遡ることはできませんので注意が必要です。

②専任の宅建士を1名以上置くこと

案内所等で契約行為などを行う場合、その場所に専任の宅地建物取引士を最低1名配置しなければなりません。この宅建士は、他の事務所の専任宅建士と兼務することはできません。あくまでその案内所に専任である必要があります。

届出に必要な書類と提出先

必要書類

・様式第十二号(届出書)
・案内図

案内図は最寄駅からの経路や所要時間を明記した地図を添付します。

提出先(神奈川県の場合)

・神奈川県知事免許の業者

神奈川県知事あて(正副各1部)

・国土交通大臣免許の業者

場所を管轄する知事。神奈川県の場合は神奈川県知事となります。
また、主たる事務所を管轄する地方整備局(関東地方整備局など)あて

大臣免許の場合は、両方の提出が必要な点に注意してください。
ここが混乱を招くポイントなのですが、宅建業の免許更新や事務所の変更などでは、知事経由で大臣に提出するのが一般的です。しかし、この案内所の届出の大臣免許業者については、経由ではなく、それぞれの窓口に直接提出するというのがルールとなっています。

変更があった時、どうすればよい?

一度提出した届出の内容が変わる場合、出し直しが必要になるケースと、変更届で済むケース、そして不要なケースがあります。

区分内容の例
新たに届出が必要業務期間の延長(最長1年まで)、案内所の場所の変更
変更届が必要専任の宅建士の交代、業務種別(媒介→代理など)の変更
届出不要代表者の変更、案内所の所在地のみの変更

特に期間の延長は、新規扱いになるため、営業を継続したい場合は、早めの手続き(10日前までに届出)が欠かせません。

まとめ

様式第十二号の届出は、一見シンプルですが、10日前という期限の厳守や、専任宅建士の確保など、実務上のハードルが意外と高いものです。万が一、届出をせずに案内所で契約行為を行ってしまうと、業務停止処分などの厳しい行政処分の対象となる恐れがあります。
提出したいけど、書類を作る時間がないという方は、当事務所へご相談ください。コンプライアンスを守って、安心・安全な不動産取引を進めていけるようにサポート致します。
グラス湘南行政書士事務所